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3話

작가: 籘裏美馬
last update 게시일: 2026-01-30 15:13:33

病院内は、清潔で掃除が行き届いているのが良く分かり、樹はほっと胸を撫で下ろした。

(受刑者とは言え……玉櫛財閥の嫁だ。ぼろい病院じゃなくてまだ良かった。……だが)

樹は顎に手を添え、考える。

(この先の事を考えれば、音羽の刑期を短くさせて早く出した方がいいだろう。都内の大病院に入院させねば……)

考えながら歩いていると、あっという間に音羽が入院していると言う病室の前に着いた。

「玉櫛様、こちらです」

「──分かった。ひとまず妻と2人きりにしてくれ。話は後で聞きに行く」

「かしこまりました」

頭を下げ、去って行く院長や医師達。

その背中を数秒見つめた後、樹は特別室の扉をスライドして開け、中に入った。

「──音羽」

病室に入った途端、強い消毒液の匂いに樹は顔を顰めた。

音羽の細い腕には、点滴が繋がれ。

音羽のきめ細やかで滑らかな肌にはいくつもの青あざがある。

そして、樹の視線は真っ平らの音羽の腹に向かった。

「──無事で、良かった」

「……たつ、き?」

「音羽!」

音羽のか細い声が聞こえ、樹は慌てて音羽に駆け寄る。

痛みに震える音羽の手を、樹はぎゅっと優しく包み込む。

「嬉しい……こんな、遠くまで来てくれたの……?」

「ああ。勿論だろう?愛する妻が、大怪我をしたと聞いたんだ。駆け付けるのは当然だ」

「でも、お仕事忙しいんでしょう……?」

「いや、仕事はどうとでもなる。暫くはこっちで仕事をしてもいいしな。音羽が回復するまで、寄り添いたい」

「樹……」

樹の言葉を聞き、音羽の大きな瞳にはぶわり、と涙が溜まる。

「心配するな、音羽。すぐに出してやるから……」

「ありがとう……ありがとう、樹。本当に、私は何もやっていないの……それなのに、誰も信じてくれなくて……悔しい……っ」

「ああ。俺も音羽は無実だと信じているさ。もう少しだけ辛抱してくれ。必ず俺が音羽をあんな場所から出してやるから」

「──樹……んっ、う」

樹は、音羽の怪我に触らないよう、額に散らばっている髪の毛を優しく払い、そのまま音羽に口付ける。

優しく、だが次第に深くなる口付け。

音羽は痛みに喘ぎながら、それでも自分を求めてくれる樹に涙を零し、必死に口付けに答えた。

どれだけ口付けを交わしていただろうか。

音羽には数秒にも感じるし、数分間にも感じた。

ようやく樹の唇が離れた時には、音羽の息は絶え絶えで。

息を吸う度に音羽の胸が大きく上下する。

樹は、じっとりとした熱を孕んだ目で音羽の胸元を見つめたが、流石に大怪我をしたばかりの音羽を抱くなんて事はせずに、我慢した。

(やはり、音羽の方が裕衣より美人で、身体つきも俺好みだ。……抱くなら、音羽の方が良い。病院に入院している間……また刑務所に戻る前に飽きる程音羽を抱いておくか)

樹はそんな外道な事を考えている事を、微塵も表情には出さずに妻を心配する夫を完璧に演じる。

「音羽……落ち着いて聞いてくれ」

樹は、音羽の細い腕を優しくなぞり、手を握る。

真剣な表情の樹に、音羽は不安そうな表情を浮かべた。

「な、なあに?どうしたの、樹──」

「音羽。音羽の腹には今……、俺との子供が……妊娠しているらしい」

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