夫と愛人に地獄に突き落とされた私を救ってくれたのは「若」と呼ばれる裏の世界の人でした

夫と愛人に地獄に突き落とされた私を救ってくれたのは「若」と呼ばれる裏の世界の人でした

last updateÚltima actualización : 2026-05-08
Por:  籘裏美馬Actualizado ahora
Idioma: Japanese
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夫と夫の愛人の裏切りによって無実の罪で刑務所に入れられてしまった音羽 刑務所で暴行を受け、救急搬送された事がきっかけで、夫との子供を妊娠していたと知る 音羽を刑務所から出すと優しく告げた夫 だが、当初の刑期が何故か伸びてしまった 子供も夫と愛人に奪われ、実の母は死んだと言われる 夫は、音羽の筆跡を偽造し、勝手に離婚をしていた 途方に暮れる音羽の前に現れたのは、どこか危険な香りを纏う男だった 「表の世界に戻れないなら、俺と一緒に来ればいい」 表の世界で、輝かんばかりの日々を送る元夫と、愛人 せいぜい表の世界でふんぞり返っていればいい 私は、裏の世界からあなた達を引きずり落とす 元夫が泣いてすがっても、もう遅い

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里美
里美
いや〜マジで 面白い! 早く連載の続きを出してください
2026-04-23 19:45:35
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179 Capítulos
1話
「この性悪女が!」 「人まで焼き殺したらしい、とんでもない女だ!」 「私達も殺されるかもしれない!殺される前にやらないと!」 ガツン、ガツン、と女が頭を蹴られる。 髪の毛を掴まれ、壁に叩きつけられ、女は大きく咳き込んだ。 背中を強かに打ち、息が詰まった女は、そのまま意識を失い倒れ込んでしまった。 「──うわっ、気絶した……っ」 「やばい、本当に死んでないよね?」 「やり過ぎた……?」 「いや、でも痛めつけてくれって言われたし……」 「逃げよう。看守に見つかったら私達まで罰せられる!」 倒れた女はそのままに、女を囲って暴行していた数人の女達は蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ出した。 そこに、騒ぎ声を聞き付けて興味本位にやって来た女がいる。 「──何だ?リンチかな?」 やってきた女は、わくわくそわそわとしたような顔をして、ひょこり、と壁から顔を覗かせた。 そして、目の前の光景に瞬間、目を見開く。 「お、おい!あんた!大丈夫かい!?」 慌てて駆けつける女の視界の先には、傷だらけで倒れている女──女性が、居た。 ◇ 女性刑務所。 関東から遠く離れた寒い土地にあるこの刑務所には、数多くの受刑者が服役していた。 そこで、救急搬送された女性が居た。 女性の傍には、女性刑務官と発見者の先程の40代くらいの女が、ストレッチャーで運ばれる女性に付き添っていた。 ストレッチャーで運ばれて行く女性は、年は20代半ば頃。 ほっそりとしなやかな手足に、きめ細かな肌。 化粧などしていないのに、美しい女性が救急車に搬送された。 その女性の名前は、玉櫛 音羽(たまくし おとは) 玉櫛財閥の御曹司、玉櫛 樹(たまくし たつき)の妻で、この刑務所に入所して数ヶ月。 音羽は、ずっと無実を訴えていた。 裁判でもずっと無実を訴えてはいたが、音羽の訴えはあっけなく退けられ、実刑判決を受けたのだ。 刑務所に入れられた後もずっと無実を訴えていたが、それは誰にも聞き入れられず。 そして、今日。 突然音羽はガラの悪いグループに呼び出され、集団で暴行を受けてしまったのだ。 頭の打ち所が悪く、気絶した音羽を見つけた同じ受刑者はすぐに看守に知らせ、こうして救急車が呼ばれ、搬送に至った。 「465番。発見し、教えてくれて感謝する。後は任せて、戻りなさい
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2話
事が済み衣服を整えていると、樹の私用スマホが震えた。 樹が何の気なしにスマホの画面を確認する。 どこからか電話がかかってきたようで、樹はスマホを手に取り、電話を受けた。 「──もしもし?」 〈あっ、玉櫛 音羽さんの旦那さんですか?〉 「……ええ、音羽は私の妻ですが。そちらは……?」 〈私、──病院の者です。落ち着いて聞いてくださいね……。奥様ですが、その……暴行を受け、大怪我を……その際に全身の検査を行ったのですが──〉 電話を受けていた樹の顔色が、見る見るうちに変わる。 秘書の裕衣は、じっと樹を見つめていた。 裕衣の拳は、ぎりぎりと握りしめられ、震えている。 「分かりました。すぐに向かいます。妻は無事なんですね?」 〈はい。命に別状はございません〉 「良かった……数時間以内に到着するかと。ええ……はい、妻をよろしくお願いします」 樹は、そう言って電話を切ると、急いでシャツを羽織り、汚れたスラックスを履き替えた。 「樹……?奥さん……音羽さんに何かあったの……?」 裕衣は、心配そうに眉を下げて樹に話しかける。 樹はちらり、と裕衣に視線を向けたがすぐに逸らすと「ああ」とだけ頷いた。 「すぐに音羽の元に向かう。今日は戻らないから、仕事が一段落したら帰ってくれて構わない」 「い、家にも帰らないの!?」 「ああ。音羽は個室に入れるように手配した。今日は音羽に付き添うから帰らない」 「わ、私も音羽さんが心配だから一緒に行くわ……」 「いや、駄目だ。音羽は俺がお前を抱いているのを知っているんだ。……下手に刺激したくない」 そっけなく樹に告げられ、裕衣は取り付く島もない。 裕衣が樹に触れようと伸ばした腕は、足早に去る樹には届かず、樹は1度も裕衣を振り返る事なく社長室を後にしてしまった。 先程まで激しくお互いを求め合っていたのが嘘のように、あっさりと捨て置かれた裕衣は、悔しさに唇を噛み締めた。 情事の気配が色濃く残る社長室の中。 裕衣がのそのそと仕事に取り掛かり始めた頃。 会社のヘリポートに、ヘリがやって来た。 「──っ、まさか樹……音羽如きのためにヘリを手配したの……!?」 信じられない──。 裕衣は、悔しさに奥歯を噛み締める。 結局、樹にどれだけ抱かれても。 その行為が激しくても。 樹の妻の座には座れないのだ
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3話
病院内は、清潔で掃除が行き届いているのが良く分かり、樹はほっと胸を撫で下ろした。 (受刑者とは言え……玉櫛財閥の嫁だ。ぼろい病院じゃなくてまだ良かった。……だが) 樹は顎に手を添え、考える。 (この先の事を考えれば、音羽の刑期を短くさせて早く出した方がいいだろう。都内の大病院に入院させねば……) 考えながら歩いていると、あっという間に音羽が入院していると言う病室の前に着いた。 「玉櫛様、こちらです」 「──分かった。ひとまず妻と2人きりにしてくれ。話は後で聞きに行く」 「かしこまりました」 頭を下げ、去って行く院長や医師達。 その背中を数秒見つめた後、樹は特別室の扉をスライドして開け、中に入った。 「──音羽」 病室に入った途端、強い消毒液の匂いに樹は顔を顰めた。 音羽の細い腕には、点滴が繋がれ。 音羽のきめ細やかで滑らかな肌にはいくつもの青あざがある。 そして、樹の視線は真っ平らの音羽の腹に向かった。 「──無事で、良かった」 「……たつ、き?」 「音羽!」 音羽のか細い声が聞こえ、樹は慌てて音羽に駆け寄る。 痛みに震える音羽の手を、樹はぎゅっと優しく包み込む。 「嬉しい……こんな、遠くまで来てくれたの……?」 「ああ。勿論だろう?愛する妻が、大怪我をしたと聞いたんだ。駆け付けるのは当然だ」 「でも、お仕事忙しいんでしょう……?」 「いや、仕事はどうとでもなる。暫くはこっちで仕事をしてもいいしな。音羽が回復するまで、寄り添いたい」 「樹……」 樹の言葉を聞き、音羽の大きな瞳にはぶわり、と涙が溜まる。 「心配するな、音羽。すぐに出してやるから……」 「ありがとう……ありがとう、樹。本当に、私は何もやっていないの……それなのに、誰も信じてくれなくて……悔しい……っ」 「ああ。俺も音羽は無実だと信じているさ。もう少しだけ辛抱してくれ。必ず俺が音羽をあんな場所から出してやるから」 「──樹……んっ、う」 樹は、音羽の怪我に触らないよう、額に散らばっている髪の毛を優しく払い、そのまま音羽に口付ける。 優しく、だが次第に深くなる口付け。 音羽は痛みに喘ぎながら、それでも自分を求めてくれる樹に涙を零し、必死に口付けに答えた。 どれだけ口付けを交わしていただろうか。 音羽には数秒にも感じるし、数分間にも感じた
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4話
「──えっ」 「今、妊娠6週目らしい。つわりなどは無かったか?体が辛かったりしないか……?」 「ぜ、全然……気付かなくって……私のお腹に樹の赤ちゃんが……?」 全く気付いていなかったのだろう。 音羽は樹の言葉を聞いて呆然としていたが、次第にじわじわと頬が紅潮し、瞳が潤む。 「本当に……?本当に私と樹の赤ちゃんがいるの……?」 「ああ。間違いない。病院で検査をして、間違いなく妊娠しているそうだ」 「嬉しい……っ!」 「ああ、俺も嬉しいよ音羽。俺の子を妊娠してくれて、ありがとう……!」 樹は、音羽をそっと抱き起こし、自分の腕で抱き締める。 本当は思いっきり強く抱き締め、病室のベッドに押し倒してめちゃくちゃに抱いてしまいたい。 だが、音羽は受刑者に集団で暴行を受けて大怪我をしている。 腹の子が流れなかっただけでも奇跡だ。 「安心してくれ、音羽。音羽をこんな目に遭わせた奴を、思い知らせてやる」 「だ、大丈夫よ樹。私は、樹が私を信じてくれるだけで、とても嬉しい。樹と、この子のためにも私は絶対に屈しないわ。無実を訴え続けて、必ずあの場所から早く出るんだから」 「ああ、そうだな。この子のためにも、音羽には安心して綺麗で、清潔な家で過ごしてもらわないとな」 「あ……、でも樹、私……仕事に戻りたいわ。あなたの会社で、今まで通り仕事をしたいの……この子が大きくなったら無理だけど、それまでは会社に出社してもいいでしょう?」 「──ちゃんと、安定期に入るまでは駄目だぞ?医者からも働いて大丈夫だ、と言われてからじゃないと俺が絶対に許さない」 「ふふっ、樹は怖いお父様になりそうね」 「ああ。俺にとって大事なのは音羽と生まれてくる子供だけだからな」 音羽は、優しい目で見つめる樹にじわり、と胸が暖かくなる。 お腹を撫でてくれる樹の手が温かく、優しい。 じわじわと幸福感が胸に積もり、音羽はそっと樹に寄りかかった。 怪我の痛みが触ったのだろう。 音羽の顔色は悪くなり、痛みに顔を顰めている。 それに気が付いた樹は、慌てて音羽をベッドに戻した。 「すまない、音羽。医者から詳しい話を聞いてくる。すぐにまた戻ってくるからな。少し寝ているんだ」 「──うん、分かった樹。迷惑をかけてごめんね」 「大丈夫だ。迷惑をかけている、なんて思わないでくれ音羽」
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5話
樹が出て行った部屋で、1人。 音羽は痛みに呻きながら嬉しさに涙を零していた。 「樹……樹が、来てくれた……!」 音羽の瞳からは、後から後から涙が零れる。 とても、辛かった。 覚えの全くない罪で捕まり、実刑判決を受け、刑務所に入れられた。 生まれ育った場所を離れ、地方の刑務所に入れられ。 どれだけ心細く、恐ろしかったか。 だけど、樹がわざわざこんな遠い場所まで駆け付けてくれた。 そして、必ず出してくれる、と樹が言ってくれた。 それに──。 音羽は、自分のまだぺったりとしている腹部に目を向け、痛む腕を何とか動かして下腹部に触れた。 「ここに……私と樹の赤ちゃんが……」 ぶわり、と再び涙が溢れる。 「嬉しい……っ、こんなに嬉しい事って無いわ……!」 音羽が樹と結婚して、もうすぐ2年になる。 中々子供が出来ず、音羽は焦っていた。 音羽の夫、樹は玉櫛財閥の御曹司だ。 そして、玉櫛ホールディングスの代表でもある。 そんな彼には、跡取りが必要だった。 子供を周囲から強く望まれていたのだ。 音羽も、樹と共に玉櫛の本家に行く度に周囲から何度も何度も言われてきた。 玉櫛の嫁たるもの、跡継ぎを産まなくてどうする。 嫁としての務めも果たさず、仕事に出るなど言語道断だ、と本家からはいい顔をされなかった。 だが、音羽が本家の者達に言われても、いつも樹が音羽を庇ってくれたのだ。 音羽は、仕事をしたいのだ、と。 子供は焦らずとも自然と出来る、と。 音羽に浴びせられる心無い言葉たちから、樹は何度も何度も庇ってくれた。 音羽を愛し、慈しむように優しい樹。 だが──。 樹の女好きの性格。 それさえ無ければ最高だったのに、と音羽の頭の中で浮かぶ。 そんな事を考えていた時。 病室の扉ががらり、と開き樹が戻ってきた。 「音羽。そんな泣いていたら辛いだろう」 「樹……、樹」 「ああ、こんなに殴られて……痣まで出来てる……」 樹は愛おしげに音羽の頬に流れる涙を優しく拭う。 樹の目は、本当に痛ましげに歪められていて。 「これじゃあ、痛いだろう……冷やさないとな……」 「樹……?」 労るように、樹の唇が音羽の涙を舐め取り、頬に口付ける。 最初は音羽も大人しく樹の行動を受け入れていた。 樹から、労るような感情がしっかりと感じられた
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6話
いやらしく蠢く樹の手のひらを、音羽は慌てて掴んだ。 「ちょっ、樹……っ!」 「……何故止める、音羽?」 音羽が抵抗した事が面白くないのだろう。 樹は、不機嫌さを隠しもせずに低い声を返す。 だが、樹は音羽の首筋に顔を寄せ、音羽の白くて細い首筋を舌で辿る。 その感触に、快感ではなく嫌悪感からぞっと体を震わせた音羽だったが、樹は彼女が快感に震えたのだと勘違いしたのだろう。 途端に機嫌良さげに笑い、音羽に掴まれた手を振り払い、病院着の中にするりと入れた。 細い音羽にしては大きな胸に、樹は自分の手のひらを食い込ませると我が物顔で揉みしだいた。 「ちょ……っ、止めて、樹……っ!」 「──どうしてだ、音羽?俺たちは夫婦だろう?」 くすくす、と笑う樹の生温い吐息が、音羽の首筋を擽り、寒気を覚えた。 「お腹には……っ、お腹には赤ちゃんがいるのよ……っ!お腹の赤ちゃんに何かあったら……!」 「医者にも確認した。妊娠中の性行為は禁止されてはいない」 「──いやっ、嫌よ樹!」 「……ちっ」 絶対にしたくない、と暴れる音羽に、面倒くさそうに舌打ちをした樹はさっさと事を済まそうと着ていたワイシャツのボタンを外し、脱ぎ捨てる。 彼は、本気で自分を抱くつもりだ──。 それを悟った音羽の顔色が真っ青になる。 今の音羽の体は暴行を受けてボロボロだ。 それに、妊娠だってしている。 それなのに、樹は音羽の体を慮る事などせず、ただただ自分の欲求を満たそうと音羽を抱こうとしている。 それを悟った音羽の瞳から、ぼろりと涙が零れ落ちた。 樹は、自分の下でぐすぐすと泣く音羽の様子に先程まで昂っていた欲望がするすると冷めていくのを感じた。 (俺に抱かれる事は女にとってこの上ない喜びだろう?それなのに、何故こうも音羽は俺を拒む?わざわざ俺が駆け付けたと言うのに!音羽は俺のために喜んで体を差し出すべきだろう!?) 樹の胸中を、激しい苛立ちと劇場版が渦巻く。 (こんな事なら、裕衣を抱いていた方がましだったな) 樹は冷めた目で音羽を見下ろすと、そのままベッドから立ち上がる。 先程脱ぎ捨てたワイシャツを拾うため、音羽に背を向けて床に落ちたワイシャツに手を伸ばした。 しゃくりあげつつ、樹が自分の上から退いてく
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7話
「──ッ」ひゅっ、と喉が鳴る。樹の引き締まり、程よく筋肉のついた背中に、いくつもの引っ掻き傷があった。それはとても生々しく、しかもつい数時間前についたような、新しい引っ掻き傷のように見えた。その傷を見て、音羽は心の中が冷える。(樹は……私が刑務所に入っている間も、裕衣との関係を──?それに、今さっきまで樹は……裕衣を抱いていたの……?)音羽が絶望し、顔色を真っ青にしていると。ワイシャツを拾った樹がきっちりと着込み、感情の籠らない冷たい声で音羽に言い放つ。「……しっかり療養してろ。俺は仕事が詰まっているから、戻る」音羽を一切見ないまま、樹はそれだけを言うと樹はそのまま苛立ちを顕にして病室の扉を開け、外へ出て行ってしまった。 バタン、と閉ざされた扉の音が大きく響く。 音羽はそれからも悲しみに泣き続けた。 だが、樹はそれ以降、音羽の怪我が回復して刑務所に戻るまで。 1度も音羽の前には現れなかった。 ◇ 「──帰ったぞ」 音羽が刑務所に戻ったその日。 樹は、普段通り仕事を終えて自分の家に帰ってきた。 今までは、音羽と一緒に暮らしていた家。 音羽が捕まり、刑務所に入れられてからその家には樹しか住んでいないはずだった。 だが、樹と音羽の家には、樹が家に帰って来た時には既に明かりが灯り、樹は誰もいないはずの家に向かって声を上げた。 玄関で靴を脱いでいた樹のもとに、ぱたぱたと駆けてくる足音が聞こえた。 「樹、お帰りなさい」 「ただいま、裕衣」 樹は甘ったるい声で甘えてくる裕衣に頬を緩める。 首に手を回し、背伸びをしてくる裕衣が愛らしくて、樹は裕衣の細い腰に手を回して引き寄せた。 裕衣の唇を塞ぎ、新婚かと思うような激しいキスを送る。 「──んっ、樹……ご飯が出来てるから、早く食べましょ?」 「ああ、そうだな。その後は思う存分お前を抱かせてくれ」 「やだ……っ、そんな事言われたらドキドキしてご飯が食べられないわ」 「飯の最中も胸を高鳴らせていればいい。風呂は一緒に入ろう」 「ええ。早くリビングに行きましょう、樹?」 裕衣は樹の言葉に恥ずかしそうに頬を染め、いじらしい態度で樹の手を取り、リビングへと促す。 その間も、樹の手は引き寄せた裕衣の体を忙しなく這い回っているが、裕衣
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8話
◇ 自分の夫、樹が今正に音羽を裏切る行為をしている時。 音羽は、怪我が完治して元の刑務所へ戻ってきていた。 音羽が妊娠していた事は、刑務所の刑務官に伝えられた。 今回のような事が再び起きて、腹の子が亡くなってはならない。 それに、音羽は犯罪者と言えども殺人を犯した凶悪犯では無い。 刑期も1年6ヶ月。 それに、音羽の夫は大企業の玉櫛ホールディングスの社長だ。 何か起きてからでは遅い。 そのような様々な理由から考慮され、音羽を暴行した者達は別の刑務所に移動させられた。 「──良かった、あの人達はもういないのね」 音羽はほっとしたように呟き、下腹部をそっと撫でる。 ここに、樹との子供が居る──。 その事実がとても嬉しい反面、樹はまだ秘書の崎山裕衣と体の関係を続けているようだった。 音羽の瞳が翳り、唇を噛み締める。 子供さえ生まれたら。 樹は家庭を第一に考え、裕衣との関係を綺麗さっぱり切ってくれるだろうか。 「──いえ、きっとそうよね……。樹も、子供を1番に考えてくれる……」 ぽつり、と音羽が呟くと、その呟きに言葉が返ってきた。 「なーにをぶつぶつ言ってんだい、あんた?」 「──あっ、すみません、うるさかったですか!?」 しゃがれた女性の声が聞こえ、音羽は慌てて声のした方へ顔を向ける。 すると、そこには同じ牢──留置所に入れられている中年の女性が、片膝を立て、その膝に頬を乗せてじっと音羽を見つめていた。 どこか独特の雰囲気を持つ女性。 その女性の首筋から、ちらりと刺青が覗いている。 音羽が謝罪を口にすると、女性は「いや」と苦笑いをして首を横に振った。 そして、口を開く。 「あんた、怪我は大丈夫なのかい?」 「──えっ」 「この間、ボコボコにされてただろう?」 女性の言葉を聞き、音羽ははっとする。 そう言えば、刑務官が教えてくれたのだ。 暴行を受けている音羽に気付き、誰かが刑務官を呼んでくれた。 発見が遅れていれば、もっと大事になっていたかもしれない。 発見が早かったお陰で、お腹の子も無事だったのかもしれない、と病院の先生もそう話していた。 もしかしたら、この女性が暴行を受けている音羽を見かけて刑務官に知らせてくれたのかもしれない──。 直感的にそう感じた音羽は、女性に頭を下げた。 「あのっ、もしか
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9話
音羽は、自分の些細な行動で妊娠を言い当てられた事に驚いた。 驚きにあんぐり、と口を開けた音羽を見た女性は可笑しそうに笑う。 「あんた、素直だね。それに、善人そうだ。それなのに、どうしてこんな所にぶちこまれたんだい?」 「──私も、未だに分からないです……。悔しくてしょうがないんです……」 「……どう言う事だい?」 女性の片眉がぴくり、と跳ね、顰められた。 音羽は、話してもいいものか一瞬だけ悩んだが、それでも自分の心の中で燻る思いを吐き出したく、女性に話した。 どうせ、この刑務所内でだけの仲だ。 刑期を終えれば、もう2度と会う事はないのだから。 「……私は、身に覚えのない罪で逮捕されて、有罪判決を受けたんです」 「──は?」 音羽の言葉に、女性が目を丸くした。 ◇◆◇ あれは、今から2ヶ月ほど前。 音羽は、短大卒業後に夫の樹の会社に務めた。 会社に務め始めて、1年近くが経った頃。 樹の会社に、インターンがやって来た。 そのインターンは秘書課に配属され、代表取締役社長──つまり、音羽の夫樹の専属秘書に抜擢されたのだ。 その秘書の名前が、崎山 裕衣。 当時まだ21歳で、大学を卒業前。 若く、綺麗な彼女はとても目立った。 そして彼女は、秘書として四六時中樹と時間を共にしていたのだ。 そうなれば、見目が良く、尚且つ大企業の社長を務める樹に裕衣が惚れるのも無理は無い。 そして、若く美しい裕衣と四六時中一緒にいる樹。 裕衣から積極的にアピールをされて悪い気はしなかったのだろう。 いつからか、音羽の知らない内に樹と裕衣は体の関係を持つような仲に発展していたのだ。 女性からアピールを受ける事は、樹にとって珍しい事ではなかった。 例え樹が既婚者であろうと。 音羽と言う妻がいようと。 愛人になりたい、と言う女性は多かった。 音羽も、気付いている。 樹は、元々女性好きだ。 そして、性欲が強い男でもある。 だからこそ、外で自分以外の女性を抱いている事には、薄っすらと気付いていた。 裕衣が秘書としてやってくる前は、彼は音羽に気づかれないように細心の注意を払ってはいたが、音羽は樹が不倫をしていたのだと、分かる。 だけど、それは結局妻の音羽に無理を出来ないから仕方なく外で性欲を発散させていただけに過ぎない。 そして、音羽の
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10話
女性を抱くのが、性欲発散のためじゃなくなった。 樹は、裕衣を抱きたくて抱くようになったのだ。 そして、樹はそれを隠さなくなった。 後ろめたさも何もなく、当然のように裕衣を抱くようになったのだ。 「──何だい、そのクソみたいな男。そんなのが夫であんたはいいのか?」 「そう、……ですね。何で私はそんな事を許してきたのか……分かりません」 音羽はぐっと押し黙る。 (惚れた、弱みかもしれない……。樹も、裕衣と出会う前は良い人だったもの……) 音羽は、昔の樹を思い出す。 昔の樹は、音羽を誰よりも大事にしていた。 音羽の事を1番に考え音羽が願えば、何でも叶えてくれた。 だが、裕衣が樹の会社にやって来てから、全てが変わってしまったのだ。 樹の関心も、愛情も今は全て裕衣に向けられている気がする。 だからこそ、樹は音羽が妊娠していると言うのに無理矢理抱こうとしたし、それを拒んだ音羽を置いて帰宅してしまった。 そう、音羽は感じていた。 そして、今回の一件も。 もし、音羽の立場が裕衣だったら。 そうしたらきっと樹は全力で裕衣を庇っただろう事は、想像にかたくない。 恐らく、樹は裕衣を刑務所に入れないように奔走しただろう。 だが、相手が音羽だったから。 樹は音羽をそのまま刑務所に入れたのだ。 「もし、夫の不倫相手に容疑がかけられていたら。多分夫は不倫相手を助けるため、必死になっていたと思います」 「一体あんたはどんな罪で刑務所にぶち込まれたんだい?」 女性の言葉に、音羽は小さく息を吐き出して、何とも言えない表情を浮かべた。 「──公用文書等毀棄罪、で……実刑を受けました」 「公用、文書……?」 「はい。会社の……取引相手の重要書類を紛失した罪に問われ、逮捕されたんです」 「それって……本当にあんたが紛失したのかい?」 女性の言葉に、音羽は曖昧に頷いた。 「そう、らしいです。私が、受け取ったらしいんですが……」 「まさか、覚えていないのかい?」 「──はい。言い訳にしかならないですが……あの頃は、様々な仕事を任せられていて……。はっきりとは覚えていないんですが、私に確かに渡したと言われたのです。その証拠も出てきてしまって。裁判の時に否定したんですが、その証拠が決定打となってしまったんです」 「何だって?そんな事が……?」 女
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