로그인夫と夫の愛人の裏切りによって無実の罪で刑務所に入れられてしまった音羽 刑務所で暴行を受け、救急搬送された事がきっかけで、夫との子供を妊娠していたと知る 音羽を刑務所から出すと優しく告げた夫 だが、当初の刑期が何故か伸びてしまった 子供も夫と愛人に奪われ、実の母は死んだと言われる 夫は、音羽の筆跡を偽造し、勝手に離婚をしていた 途方に暮れる音羽の前に現れたのは、どこか危険な香りを纏う男だった 「表の世界に戻れないなら、俺と一緒に来ればいい」 表の世界で、輝かんばかりの日々を送る元夫と、愛人 せいぜい表の世界でふんぞり返っていればいい 私は、裏の世界からあなた達を引きずり落とす 元夫が泣いてすがっても、もう遅い
더 보기部屋の入口に唖然と立ち尽くす樹。 樹の登場に、裕衣は先程までの興奮状態から一気に真っ青になっている。 飯野は恭を抱いたまま、樹の隣をすり抜けた。 樹は微動だにせず、信じられないものを見るように裕衣を凝視している。 部屋を出た飯野は、自分を追って来たお手伝いさんを見つけた。 お手伝いさんもしっかりと裕衣の言葉を聞いたのだろう。 信じられない、と言う様子でおろおろとしている。 「──すまないが、警察に通報しておいてくれ」 「か、かしこまりました……っ」 泣きそうになりながらしっかりと頷いたお手伝いさんを見て、飯野は迷わず外に向かう。 (このまま、坊っちゃまをこんな所に置いておく訳にはいかない……!このままでは本当に殺されてしまう……っ) 飯野は駆け足で玄関に向かうと、迷いない足取りで車に向かった。 車のロックを解除し、恭を後部座席に寝かせて自分は運転席に回り込む。 ロックをして、焦りつつシートベルトをする。 恐怖に手が震え、いつもはすんなりとシートベルトを出来るはずが、何度も失敗してしまう。 焦りつつ何度目かの挑戦でようやくシートベルトをし、車のエンジンをかける。 アクセルを踏み込もうとした所で、家の玄関が勢い良く開き、中から焦った様子の樹が飛び出して来た。 樹は今にも走り出そうとしている車に気付くと、慌てて駆け寄って来る。 乗っているのが飯野と恭だと分かったのだろう。 引き留めようと手を広げ、口を開いた。 「待て、飯野!恭をどこに連れて行くつもりだ!まさか、音羽のもとじゃないだろうな!?」 車の窓を締め切っていてもはっきりと聞こえる樹の怒声。 だが飯野は樹の質問には答える事なく、アクセルを踏み込んだ。 手を広げ、行く手を阻もうとしていた樹を避けて車の速度を上げた。 「坊っちゃまをここに置いておく訳にはいかない……!伏見さんに連絡をしなければ……!」 飯野はそう叫びながら、伏見の電話番号を呼び出し、電話をかけたのだった。 ◇ 「──飯野運転手だ」 「飯野さん?」 「ああ。こんな時間に何だろうな?」 伏見の実家。 夜、夕ご飯を食べ終わったあと、ダイニングでまったりとしている時間だった。 音羽の肩を抱き、他愛のない話をしていると、テーブルに置いてあった伏見のスマホが震えた。 不思議に思い、表示された名前を
「──あっ、ぅあっ」 「このっ、クソガキさえいなければ……!お前さえ生まれていなければっ!そうすれば私が依頼なんてしなかったのに……っ!」 バタバタ、と恭の小さな足が空中を蹴る。 その間にも裕衣の手の力は増して行く。 ギリギリ、と締め付けられる苦しさに恭の目には次第に涙が沢山溜まって来た。 「くそっ、くそ……っ!あの女に返してなんかやらない!あの女は、大事な息子を永遠に失って絶望しろっ!」 裕衣の叫び声が、意識も朦朧としだしている恭の耳にはしっかり届いていた。 どう言う事──。 恭はそう聞きたいが、息ができなくなり目の前が霞んでくる。 だが、その時。 廊下をドタドタと走る大きな足音が聞こえ、半開きだった扉が物凄い音を立てて開かれた。 「坊ちゃん!!」 飯野の悲痛な叫び声が聞こえた。 恭は聞きなれた飯野の声に「助かった」とほっとした。 だが、安心したからか恭の意識はそこでふつり、と切れてしまった。 ◇ 恭が危ない、とお手伝いさんに呼ばれた飯野は、急いで使用人部屋を出て恭の部屋に駆け付けた。 途中、樹と裕衣の夫婦の寝室の前を通る時、あまりの想像しさに樹が顔を出した。 だが、飯野は説明している余裕もなく、雇い主を無視して恭のもとへ走った。 嫌な予感に逸るような気持ちになりつつ、恭の部屋が見える所まで来た飯野は、部屋の扉が薄っすらと開いている事に気付き、最悪な結果を想像した。 「──奥様!」 叫びながら恭の部屋に転がり込んだ飯野は、信じられない光景を目にする。 裕衣が恭のベッドに乗り上げ、幼い子供を亡きものにしようとしているのだ。 幸い、恭は意識があったのだろう。 飯野が部屋に入るなり、恭の顔が僅かに自分に向いたのが分かった。 その事に安堵した飯野は、突然乱入してきた自分に驚いている様子の裕衣に体当たりをして突き飛ばした。 ドタン!と大きな音を立てて裕衣が床に落ちる。 その隙に飯野は気を失ってしまった恭を素早く抱き上げた。 「──飯野!」 「このまま、坊ちゃまをここに置いておく事は出来ません!!」 「お前っ!待て……!」 裕衣が物凄い形相で立ち上がり、飯野が抱いている恭に手を伸ばす。 飯野は裕衣から距離を取ると、その場から逃げ出そうとした。 「待ちなさい飯野!そのクソガキを寄越せ!殺してやる!」 裕衣は
──そうだ、あのガキさえいなければ。 ──誘拐が成功していれば。 (そうしたら……私がこんな思いをしないで済んだのに……っ) 裕衣はぎりっと奥歯を噛む。 ぐしゃぐしゃと髪の毛を掻き乱し、恨みの籠った視線を恭の部屋に向け続ける。 「……私がやってやる」 ぼそり、と呟いた声は信じられないほど低く、冷たい。 血走った目を恭の部屋に向け続けている裕衣を、この家にいるお手伝いさんは心配そうに見つめている。 樹は既に寝室に戻り、自分は締め出されてしまっている。 着替える事も出来ない。 だからといって、リビングで腫れ物に触るように扱われるなど裕衣のプライド的にそれは許せなかった。 「……私が、やってやるんだから」 「お、奥様……?」 何だか鬼気迫る。 そんな様子の裕衣に、お手伝いさんは恐る恐る裕衣に声を掛けた。 だが、裕衣の耳にお手伝いさんの声は届いていないのだろう。 ふらり、と体を揺らしながら裕衣が歩いて行く。 歩いて行く先は、恭の部屋がある。 「──〜っ」 お手伝いさんは顔を真っ青にすると、急いで飯野が寝泊まりしている使用人用の部屋に駆けて行った。 ◇ ぎいい、と扉が開く音が聞こえ、眠りに落ちていた恭は微睡みの中ぼんやりと目を開けた。 真っ暗な部屋の中、開いた扉から廊下の明かりが細く入り込んでいる。 「……だれ?」 恭は幼さの残る微睡んだ声で問いかける。 だが、恭の問いに扉を開けて入ってきた人物は返事をしない。 「……だれ、ですか」 その瞬間、恭の意識が一気に覚醒する。 何だか、怖い──。 急いでベッドから起き上がり、抱いていたぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。 逆光になってしまっているのか、扉から入ってくる人物は影に覆われていて誰だか顔が分からない。 だが、その影の華奢さや髪の毛が長い事が分かる。 (裕衣お母さんだ……) 恭はすぐにそれが誰か分かると、更にぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめ、そっとベッドの端に向かう。 いつでもベッドから降りて、掛け出せるように。 もしもの時は、抱きしめているぬいぐるみを投げつけて、隙が出来たら走り出そう。 そして、大きな声で叫ぶのだ。 (今、僕が逃げ出そうとしたりしたら……あの人はきっと凄く怒る……だから、今はまだ様子見だ……。あの人が怖い事をしたら、逃げるんだ……!)
パーティー会場では、音羽と伏見の周囲には沢山の人が集まっていた。 大々的に噂を流してくれている波多野夫妻のお陰だろう。 彼らは、いかに音羽が息子を大切にして愛しているか。 そして、そんな音羽を大切に慈しむように支え、音羽の息子さえ包み込むように愛情深い伏見がどれだけ出来た人間か。 それを、大袈裟なほど周囲に語って聞かせていたのだ。 その話を聞いた参加者達は、音羽と伏見と少しでも話したい、と思い。 そして話してみると噂通り音羽は思慮深く、愛情に溢れ、出来た女性だ。 伏見もそんな彼女を丸ごと愛しているようで、愛おしそうに音羽を見つめている。 それに。 伏見の経営している会社は、最近急成長を遂げている。 玉櫛と付き合いのある取引先を次々買収していく財力と、豪胆な経営手腕。 その裏にあるのは、恐らく伏見が愛して止まない音羽のためだろう。 それは、誰が見ても明らかだ。 それらに興味を引かれ、野次馬の如くわらわらと群がる。 地位も財力もある人間は時間を持て余している。 刺激を欲している。 ようは、人生が退屈なのだ。 だからこそに刺激的な話を投げ入れてやれば、すぐに噂は広まるし、圧倒的な悪に対して正義感が強まる。 そこを刺激してやればいいのだ。 「我々も音羽さんの味方ですよ、息子さんを取り戻しましょう!」 「あなたの罪だってでっち上げだ」 「そもそも、玉櫛 樹、彼は昔から酷い荒れた生活をしていた。私の娘や妻も彼に酷い言葉を投げかけられた事だってある」 「玉櫛 樹と裕衣の罪を明らかにしてやりましょう!」 音羽と伏見はにこやかに答える。 「ありがとうございます」 「ですが、その気持ちだけ受け取らせていただきますね」 「彼らにきちんと罰を受けさせるのは、私たちが直接……」 音羽がそう口にすると、周囲の人間は「確かにそうですな」と納得してくれる。 音羽の心情も分かっているのだろう。 「それでは、我々は噂を流し、広める程度に抑えておきます」 「我が社は、玉櫛ホールディングスとの提携を見直させていただきます」 「そうだな、それがいい。我が社も玉櫛ホールディングスとの取引を見直します」 誰かが口にすれば、右に習えとばかりに同調する。 (反応は上々だな。これ以上ここに居る必要は無い) そう考えた伏見は、音羽の肩を抱き寄せてに
「──えっ!?」 「……静かに。誰かに聞かれていたら大変だろう?」 音羽がぎょっとした声を上げると、すかさず伏見が声を潜めるように告げる。 音羽は慌てて自分の口元を押さえると、周囲をちらり、と確認した。 「……だ、だけど一体何のために……」 音羽の質問に伏見はさらり、と答える。 「誘拐か……脅迫か……そこら辺だろう。この園に通っている子供達は、皆裕福な家の子供だ。社長子息、社長令嬢が多いだろう?……恭だって、社長子息だ。……経営者ってのは周囲に敵が多いからな。誰かの恨みを買っている人間は多い」 音羽が驚愕に声を失っている間も、伏見は足を進め、続ける。 「犯人の目的が何なのか
◇ 恭の園外学習の当日。 音羽と伏見は、飯野に迎えに来てもらい園外学習の保護者待ち合わせ場所に向かっていた。 恭は飯野が既に園に送り届けているらしく、音羽と伏見が来てくれる事を本当に楽しみにしているらしい。 車を運転しつつ、飯野が2人に2人の立ち位置の説明をした。 「今日、伏見さんと奥さんは、坊っちゃまのご両親として振る舞ってください」 「──えっ!?だけど、大丈夫なんですか?」 「はい。坊っちゃまの園に旦那様と奥様が来た事は1度もございません。苗字は玉櫛、と呼ばれてしまいますが、お2人は普段からお名前で呼び合っておられますから、大丈夫ですよね?」 「それは大丈夫ですが……
「ありがとうございました」 「どういたしまして」 写真を撮ってくれた親子にお礼を告げ、公園から去って行く親子を見送る。 恭は先程3人で撮ってもらった写真に釘付けだ。 伏見のスマホで写真を撮ったため、伏見がベンチに座り、膝に恭を乗せて一緒に小さなスマホの画面を見ている。 傍から見れば、本当に仲睦まじい様子の親子だ。 そんなに沢山写真を撮ったのだろうか? そう不思議に思いながら音羽が2人に近付いて行くと、恭が伏見に話しかけている。 「このドレスを着ているおばさん、すっごく綺麗です!」 「そうだろう?まるで天女のようだった。この会場にいる人全員の視線を音羽は独り占めしていたよ」
◇ 「おばさん、こんにちは!」 「こんにちは、恭ちゃん。今日も凄く元気ね」 翌日。 音羽は伏見と一緒に恭が保育園から帰って来るのを待っていた。 音羽が近くに住んでいる。 それが分かった樹と裕衣が、恭を保育園に行かさずに家に閉じ込めるのではないか。 そんな不安があったのだが、恭は変わらず保育園に行っている。 それに、音羽や伏見の事を樹や裕衣から聞かされていないのだろう。 恭の態度は今までと変わらず、音羽にも伏見にも笑顔で挨拶をしてくれる。 恭の運転手である飯野も、樹達から何も聞いていないのだろう。 普段と変わらずにこにこと笑って恭を音羽と伏見に送り出している。 「伏見
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