Semua Bab 男装令嬢の恋と受胎~国一番の顔面偏差値を持つ隠れ天敵な超絶美形銃騎士に溺愛されて幸せです~: Bab 11 - Bab 20

35 Bab

11 デビュタント・パーティー ~妖精~

 本日のフィオナのドレスは、ジュリアスの髪色に合わせた白金色を基調に、チュール素材をふんだんに使用したふんわりとした印象のドレスだ。 しかしその輝くような「白金色」を出せる布地や糸は、この世に存在していない。 社交界では誰も着たことのない、魔法色とも呼べる特別製のドレスを着たフィオナに驚く者もいたが、多くの者は彼女をエスコートしている隣の美少年から、多大な衝撃を受けていた。 女性のドレスデザインの多様性とは違い、パーティーにおける男性の衣装デザインは、流行りはあれど画一的なことが多い。 しかしフィオナと揃いである白金色のテールコートを身にまとったジュリアスは、色味以外はよくあるデザインの衣装を着ていても、持って生まれた容姿が輝きすぎていることもあって、天空の世界からやってきた神の御使いがごとき彼にふさわしい、素晴らしい衣装に見えた。 銃騎士隊の制服とは違う、貴族然とした彼のその装いと美麗すぎる顔面が至高の組み合わせとなって、その場にいる者たちにぶん殴るような衝撃を与え、とりわけ女性たちのほぼ全員の動きを停止させて、その上で彼女たちの心まで奪った。 ジュリアスがフィオナをエスコートしながら一歩一歩足を踏み出して移動するだけで、ジュリアスの美しさに何人かの女性たちがバタバタと失神していくが、ジュリアスの輝きにやられているのは女性だけではなかった。 男性の多くも魂を抜かれたようにもジュリアスを見つめていて、頭を抱えていたり、よろけて周囲に支えられている者もいる。 魔性美少年ジュリアスはその場にいる人間たちの全員を虜にしていた。 その場で声を出す者は誰もいない。誰もが本日デビューする二人の一挙手一投足を固唾を呑んで見守っている。 フィオナとジュリアスはまっすぐに本日の主催であるバルト公爵の所に向かった。二人が移動するたびに、人垣がサーッと割れて道ができていく。 公爵との挨拶を済ませた二人が、会場中央のダンススペースに進み出たところで、天国にいるかのような心地よい音楽を奏で続けていた楽団が、ダンス用の曲目を演奏し始めた。 実はこの楽団は仕込みで、ジュリアスの華麗で端麗すぎる姿に衝撃を受けて倒れないようにと、全員が男性で構成されていた。 彼らはパーティ開始前にジュリアスとも対面していて、ある程度の耐性はつけてい
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-22
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12 彼の弟 ―ノエル―

「キャンベル! へばるな! これ以上遅れたら貴様に基礎特訓追加三セットを課すぞ!」 「は、はいぃ……!」 (追加は絶対に嫌~~!!)  デビュタントも無事にすませ、年が明けて銃騎士養成学校に兄フィリップとして入校したフィオナは、今日も今日とて訓練に四苦八苦していた。  教官の言う「基礎特訓」とは通称「地獄の特訓」と呼ばれている銃騎士隊名物の筋トレと走り込みを組み合わせた訓練法だ。  しかし担当する教官次第では、課される回数が多すぎて筋肉が悲鳴を上げたまま終わらない地獄と化すため、そう呼ばれている。  フィオナは貴族であるし、小柄な体格にも合わせて回数を調整されることも多かったが、本日担当の教官は「俺はそんな生ぬるいことはしないっ!」と言い放ち、全員一律に同じ回数を課していた。  他の訓練生たちとは性差もあり、フィオナは一人だけ周回遅れをし始め、鬼教官から発破をかけられていた。 (うえぇ…… なんか気持ち悪くなってきたかも……)  ヘロヘロになりながら必死で体を動かすも、入校後から一ヶ月程度経った現在も季節はまだ冬のはずなのに、発汗が止まらず、視界もグニャグニャしてきて、フィオナはまともに訓練できる状態ではなくなり、今にも倒れそうになっていた。  しかし、フッと視界が暗闇に覆われそうになった瞬間、フィオナは急にシャキーンと視界が鮮明になり、全身の疲労もどこかへ吹き飛んだ感じになった。 『まだまだいけるっ!』と自らを鼓舞したフィオナは、足に力を込めて爆走した。   「いいぞキャンベル! その調子だ! 貴族から銃騎士になろうとする気骨のある男よ! 貴様は銃騎士隊の希望の星だ!」  鬼教官からは褒められたが、訓練終了後、フィオナの体はそれまでの疲労が一気にズーンと蓄積されたようになってしまい、訓練場に仰向けになって倒れ込んでいた。 「あまり無理するからですよ。調子に乗りましたね」 (誰……?)  フィオナと同様に疲労困憊の同期たちが寮に引き上げたり帰路に就こうと歩き出す中、同期たちにしては妙に高い声を聞いたフィオナは、声のした方に視線をやった。 (……ああ、目の保養)  そこにいたのは十代前半くらいの超絶美少年だった。  少年の髪色は灰色だが、瞳の色はジュリアスと同じ透き通るような青色で、顔の造形も似ている感じだったので、ジュリアスの
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-23
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13 初遠征での初目撃 

 ノエルにもらった「魔法のドリンク」のおかげもあり、その後のフィオナは、他の訓練生たちに遅れを取ることなく訓練をこなすことができた。 訓練学校は二年間あり、徐々に戦闘技術や肉体の成長を――胸以外で――感じていたフィオナは、「貴族だけは学校を一年修めれば銃騎士になれる」という特例制度は使わずに、他の隊員と同じように二年頑張ろうと思っていた。 ところが、その考えを覆す出来事が、訓練学校に入校して初めての遠征先で起こってしまった。 ――銃騎士養成学校は人里離れた自然豊かな場所に、銃騎士たちの訓練や合宿に使う大きな施設を持っている。その一つで「九番隊砦」と呼ばれる施設に泊まりで遠征に来たフィオナは、夜、集団で男風呂に入らなければならない場面に遭遇していた。 男装がバレないように、普段はキャンベル伯爵家のタウンハウスでしか入浴していないが、遠征ともなればそうはいかない。しかも九番隊砦の遠征では、「夜は皆で風呂に入って裸で親睦を深め合う」というのが一つの伝統らしい。 遠征時の風呂対応については、「ジュリアスが秘密裏にフィリップ姿になって代わりに風呂に行き、フィオナは浄化魔法で入浴したのと同じ状態にする」という手はずだったのに、その肝心要のジュリアスが、いつまで経っても現れなかった。 後から知るが、ジュリアスはその時、駆り出された獣人との戦闘において何度も魔法を乱発するという無茶をし、危機的な状況は回避したものの、魔力切れを起こして気絶していたらしい。 フィオナは本日の入浴を取り止めたい気持ちと、昼間の訓練で汗を掻いて単純に入りたい気持ちの中で葛藤したが、考えている間に「時間内に入らないと先輩に怒られるから」と言う同期に手を引かれ、風呂場の前室である脱衣場まで強制的に連れて来られてしまった。 目の前で脱衣場の扉が開くと、ムワッと湿った空気と共に、鍛えられた肉体を余すところなく披露している訓練生たちの全裸やら半裸が視界に入り、フィオナは自然と彼らの茂みの中心部に存在する、大小様々な鎮座物をいくつも目撃する羽目になった。 通常ならばここで悲鳴を上げて逃げ帰るか、赤面して手で顔を覆うかするだろうが、そんなことをすれば女だと怪しまれると思ったフィオナは、平静を装った。しかし、心の中では『ギャァァーッ!』と盛大なる叫び声を上げていた。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-23
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14 彼の弟 ―セシル―

「……――おねーえさん、フィーおねーさん? 気がついた?」 目を覚ました時、フィオナはソファの上に横になっていて、ジュリアスを幼くしたようなショタ美少年の柔らかい膝の上で膝枕されていた。(……美しい) 少年は幼いが、ジュリアスによく似た整いすぎた顔面をしていた。髪色はジュリアスと同じ白金色で、瞳の色も同じ澄んだ青色をしている。「フィーおねえさん、初めまして。ジュリ兄の弟で、ブラッドレイ家四男のセシルでーす」 フィオナは一瞬、ジュリアスが魔法でセクシー全裸姿からショタ姿へと変貌したのかと思ったが、違った。「ジュリ兄は今来られる状況じゃないみたいだから、代わりに俺がおねーさんのピンチを救うために来ました」 至近距離でニコッと笑いかけてくる顔が可愛すぎて、意味不明な状況なのに胸がときめいてしまう。「お風呂場で色々なモノ見ちゃって衝撃受けてて可哀想だったから、俺が魔法でジュリ兄の綺麗なカ・ラ・ダを見せて心を浄化させようと思ったんだけど、びっくりさせちゃったみたいで、ゴメンね」 セシルの口調に若干、この状況を面白がってるような様子がうかがえたこともあり、フィオナは彼が先に会ったノエルのような品行方正なショタ美少年ではなく、いたずらっ子属性持ちショタ美少年だと思った。 おまけに、セシルがこちらを見下ろしながら、少し人を食ったようにも見える微笑みを浮かべていたので、『この子は一筋縄ではいかない』とフィオナは直感した。 フィオナが冷静だったならばジュリアスがしそうにもない行動や発言だと気づいたかもしれないが、つまり、先ほどのセクシージュリアスの姿や声は、セシルが魔法で作り出した幻だったようだ。「ちなみに、さっきのジュリ兄の体は本物と全く同じやつだからね」 言われたフィオナは、網膜に焼きついて一生離れなそうなジュリアスの美しすぎる裸身を思い出してしまい、顔を真っ赤にさせてまた鼻がモゾモゾしてきたが、セシルのペースに呑まれてはいけないと、膝枕状態から体を起こして距離を取った。「いくら兄弟とはいえ、人の裸を勝手に見せちゃ駄目でしょう」「だけどフィーおねーさんだって、女なのに男風呂に入って、色んな男の人のハダカを勝手に見ようとしてたじゃない?」 フィオナはいたずら好きらしいセシルに説教をかまそうと思ったが、痛い所を突かれてしまって、ぐうの音も出なかった。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-23
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15 フォギー村のレイン

 初めての遠征以降も、宿泊の訓練や一人きりの時に訓練生たちの魔の手が迫りそうになると、必ずジュリアスか、ノエルかセシルのうちの誰かがやって来て――セシルだけは用事がない時でも瞬間移動でいきなり遊びに来たが――助けてくれて、フィオナは順調に学校の課題をこなしていった。  入校して半年ほど経過した初夏の頃、フィオナは初めてジュリアスの実家「ブラッドレイ家」にお呼ばれする機会があった。  学校が休みの日、初めての彼の実家へのご挨拶に緊張しつつ、兄の姿になれる魔法の指輪を外してカジュアルな夏用のドレスを着たフィオナは、迎えに来たジュリアスと共に護衛の従者も連れて伯爵家の馬車に乗り込み、ブラッドレイ家に向かった。  フィオナがあまりにも表に出てこなさすぎて、巷では「フィオナ死亡説」まで出てきている始末である。本当は転移魔法を使えばブラッドレイ家までは一瞬で着くが、たまには動向を表に出して婚約が順調であることを示すのもよいと、本日は男装はせずに、貴族令嬢の姿で「婚約者の実家に遊びに行く」ことになった。  ジュリアスは人気者なので、馬車の中にいるのをすぐに発見されて、老若男女問わず道行く人にぽ~っと姿を眺められたり、歓声を上げられたりしていた。 彼らが見つめるジュリアスの隣にはフィオナの姿もあるので、「フィオナ死亡説」の否定だけではなくて、「不仲説」や「婚約破棄間近説」も多少は払拭できるかなと思った。  ただ実家と言っても、ジュリアスの人気がものすごいためにブラッドレイ家に突撃する者が多く、混乱を避けるためにジュリアス自身は現在、女人禁制の銃騎士隊員用独身寮に住んでいるという。  ブラッドレイ家は平民一家だが、父アークは銃騎士隊二番隊長を務めていて稼ぎはよい。子だくさんで家族も多いため、閑静な高級住宅地の一角に広めの庭付き一戸建てを構えている。  不審者の侵入を防ぐためか、敷地内には柵がぐるりと一周巡らされていた。 ジュリアスの乗る馬車に気づいた町の人たちの中には、走って後を追って来る者もいた。しかし馬車ごと庭に入って門を閉めると、パシャパシャと写真を撮る者はいたが、侵入する者まではいなかった。  フィオナはジュリアスに手を取られながら馬車を降りた。 「こんにちは」  ジュリアスにエスコートされながら玄関に向かっていると、庭で遊んでいた三、四歳くらいの幼児
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-24
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16 良い獣人、悪い獣人

 レインとは激烈な初対面の後も、幾度となく会う機会があった。  レインはブラッドレイ家に居候していたので、実家にお茶しに行くたびに、忠犬のような喜びの表情を浮かべながら、ジュリアスと親睦を深める場であるはずの茶の席に、彼もちゃっかり同席していた。  初対面こそグイグイ来すぎてびっくりしたが、レインは基本的には紳士なようで、様子がおかしくなったのは初回だけだった。  ジュリアスは、フィオナを前にしても落ち着いた行動が取れるようになったレインが同席することを許していて、むしろ「レインが元気になるからよいことだ」と言っていた。  次第にジュリアスが席を外すことが多くなって、反比例するようにレインと交流する時間が増え、彼とは自然と仲よくなった。  レインとは色んな話をした。獣人の襲撃で父親と一つ下の妹を亡くしたというレインが、その時の話をする時は、彼はとても苦しそうな、そして憎しみがにじみ出た顔をする。 「フィーは獣人をどう思う?」  もう一ヶ月もすれば年が新しくなるという冬の初めの頃、急な仕事で呼ばれたジュリアスが茶の席から退出した後、レインと二人きりにされたフィオナは、打ち解けすぎて愛称呼びに加えて敬語も取り払うようになったレインから、そんな質問をされた。  一応部屋の扉は開けていて、廊下に伯爵家の護衛も控えているが、ジュリアスは毎回用事が発生するたびに、お茶会をお開きにはせずに、「二人でゆっくりしてて」と言って、フィオナとレインを二人きりにして出て行ってしまう。  フィオナはジュリアスとの心の距離が離れたような寂しさを感じていた。 『ジュリ兄はフィー姉とレイ兄をくっつけたいのかもね。レイ兄は平民だけど、貴族家の養子になるとか結婚する方法はいくらでもあるし』  という分析は、いつもタウンハウスの自室にいる時に限って瞬間移動でいきなり遊びに来るセシルの言葉だ。  セシルはフィオナの恋心を知っているので、悩みを打ち明けられる恋の良き相談相手だった。  ジュリアスとは偽装婚約だし、「ジュリアスがフィオナの次の婚約者探しに責任を持って尽力する」ということは、ジュリアスとの約束の中にも入っているから、彼の行動もわからなくはないが、モヤモヤする。 『銃騎士と貴族令嬢の結婚はよくある話だけど、でもレイ兄は思い人がいるから、どうだろうね』  セシルはそう言
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-24
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17 気づき

 年が明けた新春、特例により銃騎士養成学校の卒業資格を得ていたフィオナは、養成学校から銃騎士隊に籍が移り、夢だった銃騎士になることができた。  入隊したフィオナは銃騎士隊二番隊の配属になり、同時に二番隊長代行であるジュリアスの専属副官に指名された。  仕事は基本ジュリアスに付き従い、その補佐をすることだ。「二番隊長代行」は二番隊長とほぼ同じ権限や仕事内容があり、その中には「銃騎士養成学校入学式の出席」もあった。  本来は、二番隊長でありジュリアスの父親であるアークが行けばすむ話だが、アーク不在――アークは大抵いつもどこにいるかわからない――のため、ジュリアスにお鉢が回ってきた。  卒業したばかりなのに養成学校に戻ってきたフィオナは、ジュリアスの背後に控えて立つ式典の最中、新入生として出席していたレインの姿を見つけた。  新入生はかなりの人数がいるので、その中からレインの姿を見つけるのは本当は簡単ではない。それなのになぜ見つけられたかと言えば、当のレインが、正面の壇上で挨拶をする学校長を見るのではなくて、思いっきり横を向いて、フィオナのことをじぃぃぃーっと、穴が空きそうなほどの強視線で見つめてきたからだ。  一人だけ変な方向を向いていたのでわかった。  フィオナはレインのその行動に、初対面の時に感じたような妙な胸騒ぎを覚えながらも、今は「フィリップ」であるので関係性はないはずなので、「お前のことなど知らん」という表情を貼りつけて、式が終わるのを待った。 「フィオナ様」  しかし、嫌な予感とは的中するものである。  フィオナは式典の終わった会場から出てジュリアスと共に歩いているところを、愛称ではなくてよりにもよってフィオナの名前で呼び止められた。  フィオナは無視しようとしたが、隣のジュリアスが立ち止まったので、フィオナも立ち止まって振り返った。 (なんか怒ってるっ!)  レインは、これまでの茶会での穏やかな様子から一転、目に殺意に似た強烈な怒気を宿していて、数歩後ずさりしたくなるくらいには怖かった。  レインはフィオナではなくてジュリアスを激しく睨みつけながら言い放った。 「我が領の姫を銃騎士にするとは、一体どういうつもりだ!」  フィオナと、そしてジュリアスやたぶん彼の家族も、レインには何も喋ってない。なーんにも喋ってないの
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-24
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18 魔力補充

 フィオナが銃騎士になってから、獣人との戦闘の現場へ出動する機会は、わりと早く訪れた。 ジュリアスが魔法が使えることは銃騎士隊の機密情報で、隊長クラスには知らされている。七番隊の管轄での戦闘で苦境を強いられた現地の銃騎士隊は、二番隊の魔法使いの助力を要請した。 二番隊長執務室で事務仕事をしていたジュリアスは、連絡を受けて出動の準備に入ったが、一緒にいたフィオナには「ここに残って」と言ってきた。「私も行く!」 ひよっこ扱いではたまらないと思ったフィオナはジュリアスに主張した。ここで行かなければ、フィオナは自分が銃騎士になった意味がないと思った。 けれどジュリアスは「危険だから」の一点張りで了承しない。 押し問答をしていると、そこに銃騎士隊副総隊長であるロレンツォ・バルトが駆けつけてきた。 宗家第二位バルト公爵家次男であるロレンツォはジュリアスと同期で、ロレンツォの方が三歳年上だがとても仲がよく、親友であるという。中性的な容貌を持つロレンツォは、銀髪と旧王家の血筋を引く者に出やすい薄紫色の瞳を持つ生粋の貴公子だが、銃騎士にしてはやや華奢な体躯をしている。 ロレンツォにはバルト公爵家で行われた先のデビュタント・パーティでもお世話になったが、彼はフィオナの男装のことまでは知らない。「レン、出動だ。一緒に来てくれ」 ロレンツォは普段「ロレン」という愛称で呼ばれることが多いが、ジュリアスは「レン」という愛称で呼んでいる。 対するロレンツォもジュリアスのことを「ジュリ」と呼んでいて、フィオナもそう呼びたいが、名前のストレート呼びが定着していてなかなか呼べない。 ジュリアスはなぜだか副官のフィオナではなく、「銃騎士隊副総隊長」という隊の二番手である、立場的には上のはずのロレンツォを伴って出動しようとした。「ジュリ、その件なんだが、今回は副官のキャンベルと行ってくれ」「時間は作れないのか?」「行けなくはない。だが、お前も副官を得たのだから、副官が『役目を担う』のが筋だろう」「俺はお前がいい」「わがままを言うんじゃない。私もいつまでもジュリの出動につき合えるわけではないんだから、これを機に、『魔力補充』の仕事は専属副官に任せたい」「魔力補充?」 聞き慣れない言葉に、フィオナは思わずつぶやく。この世界では「魔法」はお伽話の中に出てく
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-25
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19 マッサージとキス 

(色気がものすごいーーーー‼) フィオナは、こちらに背を向けて隊服を脱ぎ始めたジュリアスを見つめ、内心で叫び声を上げた。次々と露わになるジュリアスの裸身があまりにも色気満載で妖艶すぎて、心臓をバクバクさせながら、フィオナも自分の隊服に手をかけた。 服を脱げるか脱げないか、という問いに対し、フィオナは「できる!」と、脊髄反射みたいな素早さで答えていた。 元々フィオナは銃騎士隊養成学校の入校試験で、上半身裸を披露するつもりだったこともあり、自分が脱ぐことでジュリアスや銃騎士隊のお手伝いができるのであれば、喜んで一肌でも二肌でも脱げると思った。「下着は取らなくていい。そこまでは、しないで」 決意と共に隊服のベルトを外し、下着ごとズボンを一気に下ろそうとしたところで、フィオナの動きに気づいたらしいジュリアスが声を上げた。 ジュリアスは後ろを向いたままなので、『どうしてこっちの動きがわかったんだろう?』とは思ったが、言われたとおりにズボンだけを脱いで、下着姿になった。 上も下着以外脱いだフィオナは、自分のささやかすぎる胸を見下ろした。まだ成長途中なのでいずれはグラマラスになると思いたいが、フィオナの胸はゆっくり、というか、あんまり成長しない。 そろそろ本気を出して成長してくれてもいいと日々念じているが、訓練のためか胸の脂肪は溜まらずに燃焼していくばかりのようで、思ったようにはいかない。 こんな小ぶりな状態の胸を大好きな人に見られるのは恥ずかしかったので、フィオナは「下着OK」になってよかったと思った。 日常的に男装している影響で、「せめて外から見えない下着くらいはおしゃれしたい!」と思ったフィオナは、都内の有名下着店でオーダーメイドした、デザインも可愛いらしい下着を身につけている。エッチをするわけではないが、ジュリアスに可愛い下着姿を見せられるのはよかったと思った。「準備はできた?」「うん」 了承の返事をするとジュリアスがこちらに向き直った。(あああああ……) 正面から見た、下着だけを身に着けたジュリアスの半裸姿もやはり美しかった。フィオナは自分が興奮して頭に血が上っているのを感じたが、この状態でも鼻血を吹き出さなかったのは、奇しくもジュリアスの裸を前もって目撃させられた「セシルの悪戯」のおかげとも言えた。「よ、よろっ、よろしく
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-25
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20 愛され婚約者 

「フィー……」  目の前の極上半裸美形が破壊的な笑みをこぼしながら、魔法の指輪を外して女に戻った下着姿のフィオナを抱きしめてくる。  国宝級を超えるレベルの麗しきお顔が近づいてくると、フィオナは拒めず、目を閉じて彼の唇を受け入れた。  口の中までマッサージするような優しくて気持ちのよいキスをされると、フィオナも応えなければという気持ちになり、自分の舌をジュリアスのものと絡めた。  今回の出動先はフィオナの故郷キャンベル伯領を含む十一番隊の区域内だ。近くに町があったので、ジュリアスは男女がそういう目的で使うホテルまでフィオナを伴い魔法で移動した。  ジュリアスは部屋に到着するなり、素早い動きでフィオナを柔らかなベッドに押し倒して、魔法で下着以外の服を取り去った。  フィオナは二回目以降からずっと、自分ではなくてジュリアスに衣服を脱がされている。  ちゅ、くちゅ、ちゅむ…… 「ん…… んん……」  唾液の絡む水音とリップ音が室内に響いて、淫らな音にフィオナの心音がドクドクと早くなる。  七番隊の戦地に赴いた時に初めてジュリアスとキスしてから、フィオナは魔力補充のたびに、ジュリアスから毎回キスとマッサージを施されていた。それは暗黙の了解というか、既定路線だった。  最初のキス以降、ジュリアスのフィオナに対する「ビジネス婚約者」のような接し方は変わった。  優しいのは前からだったが、時折顔を見せる厳しさが和らいで雰囲気が柔らかくなり、フィオナには温かさの感じられる極上の微笑みを向けてくることが多くなった。  ジュリアスが家族以外にそのような表情をするのは見たことがなかったので、本当に「愛され婚約者」になったような気さえする。  初回の緊急出動ではフィオナの同行を渋っていたジュリアスだったが、二度目以降は、何も言わずとも必ずフィオナを伴うようになった。  七番隊の先の戦闘におけるジュリアスの活躍は大変素晴らしいもので、「二人の相性は最高だ。間違いない」という銃騎士隊副総隊長ロレンツォのお墨付きまでもらっている。  フィオナがキスの気持ちよさに目をトロンとさせたところで唇が離れた。ジュリアスはそんなフィオナを見つめて、美しすぎるご尊顔に嬉しそうな笑みをたたえながら、フィオナの体を撫で始める。 「あっ…… あぁっ……」  フィオナとして
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