初めて結ばれて、海を見ながらプロポーズされた日から、もうすぐ三年が経過しようとしていた。「ジュリアス、あのね……」「うん? フィー、『おやすみなさい』かな?」 フィオナは恋人との時間を多く持つため、住まいを首都のキャンベル伯爵家のタウンハウスから、ジュリアスと同じ銃騎士隊員用独身寮に移していた。 夜、フィオナは隣のジュリアスの部屋にお邪魔して、朝までお邪魔を続けたかったが、読書に没頭しているらしきジュリアスは、エロ事よりも本の方が気になる様子で、その気ではないようだった。 ニコッと聖人のごとき清らかなる美しき笑みを向けられてしまうと、欲望をここで伝えるのも何だか違う気がして、フィオナは全身にくすぶる「今日は抱いてほしい」熱を、何とか抑え込もうと思った。 ジュリアスとは頻繁に体を重ねていたが、時々今回のように「エッチなことは全くしませんよオーラ」を出してきて、紳士対応をされてしまう時があった。「う、うん、おやすみ。また明日、ね」 フィオナは夜の挨拶をしてから、すごすごと、隣の広々とした貴族仕様の独身部屋に戻った。 ****** 三年前、男女の関係になった後すぐに、結婚を保留にしていたジュリアスの態度に変化が起こった。 いわく、すぐにでも結婚したいと。 しかし、そこから約三年経過しても結婚に至っていないのは、ひとえにフィオナ側に理由があった。 フィオナが銃騎士になったのは殺された家族の仇を討つためだ。あの獣人王と呼ばれているおぞましい赤髪の獣人を狩るまで。銃騎士を辞めるわけにはいかない。 結婚したらきっと子供も出来るのだろうし、銃騎士を続けるのは無理がある。ジュリアスからも、仕事中に一緒にいられるのは嬉しいが、危険がつきまとう仕事なのだからとそれとなく言われている。 危ない仕事を最愛の人にしてほしくないのはこちらも同じなのだが、銃騎士を相手に選んでしまった時点でそれは仕方のないことなのかもしれない。 いつまでも性別を偽り続けることはできない。 ジュリアスは無理を通して銃騎士になったフィオナの思いを汲んでくれて、「いつまででも待つ」と言ってはくれる。 国中の女たちが結婚したいと焦がれるような相手なのに、その男を待たせてしまっていることを申し訳なく思う。 どこかで区切りをつけなければいけないことは、フィオナもわかっていた
Terakhir Diperbarui : 2026-04-29 Baca selengkapnya