一方、純一が、江見市で優里の居場所を突き止めたのは、1週間後のことだった。探偵がようやく手がかりを掴んだ。優里はカードを使っていなかったが、家賃半年分を現金で払っていたおかげで、大家が彼女の電話番号を控えていたのだ。彼はその番号から、優里の居場所を逆探知したのだ。こうして、純一はその日の夜の便で江見市へ飛び、到着した頃にはもう明け方だった。純一は、優里が借りているマンションの前に立った。建物には明かりがぽつぽつと灯っている。でも、中へ入る勇気は出なかった。やっと会えるのに、彼は怖くてたまらなかった。優里の冷たい視線が怖い。「もう関係ない」と言われるのが怖い。そして何より、彼女の隣に別の男がいるかもしれないと思うと、たまらなく怖かった。結局、純一が勇気を出して一歩を踏み出すまでに、丸一晩かかってしまった。優里の住む棟を見つけ、その入り口でしばらくうろついた。そして、ついにインターホンを鳴らした。応答はなかった。もう一度押してみたが、やはり誰も出てこない。純一は壁に寄りかかり、疲れ果てて目を閉じた。もしかしたら、優里は留守なのかもしれない。あるいは、わざと出ないのかもしれない。それとも……「誰かをお探しですか?」そう思っていると優しい男の声が、背後から聞こえた。純一が勢いよく振り返ると、少し離れた場所にジャージ姿の男が立っていた。手には朝食の袋を提げて、警戒するようにこちらを見つめているのだった。男は30代前半くらいで、背はすらりと高い。フレームのない眼鏡をかけていて、知的な雰囲気だった。純一は、すぐに察しがついた――こいつが、探偵が報告してきた男。優里の部屋にしょっちゅう出入りしているという、あの男だ。「優里を探しているんだが」純一はすっと背筋を伸ばし、毅然とした態度を保とうと努めた。「俺は彼女の夫だ」大輔の目つきが少し変わった。彼は純一を値踏みするように数秒見つめ、そして言った。「優里さんは家にいませんよ。毎朝6時に鏡湖沿いを走っていて、戻るのは7時半です」そう言われ純一は腕時計を見た。ちょうど7時だ。「ここで待っていてもいい?」と純一は訊いた。大輔はしばらく黙っていた。「まずは優里さん本人が、葛城社長に会いたいと思っているか確認するべきじゃないでしょうか」「
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