年の瀬が迫ると、都心のセレブ妻の間では、福の神にお参りするくらいなら、私、松浦莉子(まつうら りこ)に願ったほうがいいなんて冗談が飛び交っている。なぜなら復縁後、私は都心で一番がめつい本妻として有名になったからだ。松浦純一(まつうら じゅんいち)が愛人をどれだけ可愛がろうと、もうどうでもよくなった。息子の松浦俊介(まつうら しゅんすけ)が愛人のことを「ママ」と呼んでも、私は何も言わなかった。この家には、ただ一つだけ新しいルールができた。愛人の栗原茜(くりはら あかね)の名前を一度言うごとに、私に200万円払うこと。おかげで、2週間もしないうちに6億円も貯まった。結婚記念日に、純一はまた俊介に茜の話をした。二人の顔がこわばる中、私はただ、慣れた手つきで手を差し出した。「200万円。口座に振り込んどいて」とうとう俊介が我慢できなくなり、私を軽蔑するような目で見て言った。「ママ、本当に俗っぽい。頭の中はお金ばっかりなの?そんな些細なことで金を要求するなんて、茜さんには大違いだよ」私は言い返さず、ただ俊介にも手を差し出した。「200万円。先に名前を出したのはあなただから、あなたも払って」……俊介は、信じられないとでも言うように目を見開いた。まるで私のことが、まったく知らない人のように見えた。それでも私は、ただ手をもう一度前に突き出した。「200万円。ママに何度も言わせないでくれる?」パリン、と音がした。純一がコップを叩き割り、俊介を背中にかばいながら、眉をひそめて私を見ていた。「莉子、そんなことをして楽しいか?」私は顔を上げて彼を見つめ、ふっと笑った。「どうして楽しくないの?俊介をあの女に会わせたのは、私じゃないもの」純一の顔は一瞬こわばったものの、すぐに元に戻った。彼は私の手を握りしめ、優しい口調で囁いた。「俺が悪かった。今日は結婚記念日なんだ。怒らないで、な?」昔は、純一が謝る言葉を聞くのを夢見ていたこともあった。だけど今では、うんざりするだけだった。「怒ってないわ。俊介の分、あなたが払ってちょうだい」純一の我慢は、ついに限界に達した。「ああ、そうか。結構だ。莉子、お前のこと、本当に見損なったよ」彼はカバンから手形を取り出し、400万円と書き込んで私の
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