情事を終え、柊夜は瑠奈のベッドで上体を起こした。部屋の空気には、まだ情事の匂いが漂っていた。一糸まとわぬ姿の瑠奈が柊夜の背中にすがりつき、その瞳にはとろけるような色香が宿っていた。「柊夜……ここまで来たんだもの、今夜はこのまま泊まっていって……」だが、柊夜は突如として、ひどく興醒めしたような感覚に襲われた。長年待ち焦がれていた極上の料理を、いざ口にしてみたら「なんだ、こんなものか」と失望したような感覚。彼は狂おしいほど、凛音に会いたくなった。「一回だけだと約束したはずだ」柊夜は不快げに眉をひそめ、すがりつく瑠奈を冷たく突き放した。引き止める声にも耳を貸さず、足早に服を着て車に乗り込み、自宅へと車を走らせる。深夜の道を、赤信号をいくつも無視して猛スピードで駆け抜けた。柊夜は片手でネクタイを引きむしるようにして緩めた。胸の奥に、えも言われぬ苛立ちが込み上げる。これまでずっと自分を苛んでいた、あの胸を掻き毟るような不満や渇望――それらが、瑠奈と肉体を重ねた途端、嘘のように霧散してしまった。柊夜はようやく一つの残酷な真実に気がついた。自分は、瑠奈のことなど愛していなかった。ただ、不満だけだ。かつて瑠奈に「結婚式から逃げられた」という事実が。その不満が長い時間をかけて、身勝手な執着へと変貌していたに過ぎない。いざ手に入れてしまえば、その執着も消え失せ、後にはただドロドロとした嫌悪感だけが湧き上がってきた。柊夜はスマホに目をやった。凛音からの返信は未だにない。少し前、何度電話をかけても、彼女はすべて着信を拒否した。一時間前、凛音に投げつけたあの言葉を、彼は後悔し始めていた。だが、凛音が人を雇って瑠奈を拉致し、強姦しようとした挙句、自分の電話まで切ったのだ。だからこそ、腹立ち紛れにあんな言葉をぶつけてしまった。そうすることで道徳的な優位に立ち、自分が不貞を働いているという事実から目を逸らそうとしていたのだ。だが今なら、自分の本当の気持ちがはっきりと分かる。この数ヶ月の心の迷いなど、ただ男としてのつまらない自尊心が引き起こした、暴走に過ぎなかったのだと。最初から彼が愛していたのは、凛音ただ一人だった。明日になったら、瑠奈を警察署へ連れて行き、虚偽告訴を自白させよう。そうすれば
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