しかし、男のことは、誰よりも男が分かっているものだ。潤が何を考えているのか、文雄は見抜いた。「充くんは、由理恵が君との子を妊娠し、堕ろしたことも全部知っている。それでも彼は由理恵を大切にしてくれ、二宮家から栄養食や美味しいお菓子を度々届けてくれるんだ。由理恵が痩せ細ったり、元気なく過ごすのを心配してな」そんなに頻繁に何かを送るなんて、とっくに関係ができていて、浮気をしているも同然じゃないか?潤の張りつめていた顔が、すっと険しく沈んだ。「そこまでして俺と由理恵を会わせないようにするんですか?気持ちを断たせるために、あいつにまであらぬ罪を着せるなんて……そんなことして、周りにどう思われるか、気にならないんですか?」「気になるかって?」文雄は動じることなく笑い返した。「北条家と中村家の結婚は、君たちが大学を卒業した時に決めたはずだ。なのに、君は23人もの女性と次々に関係を持ってきたよな?中には君より一回りも年上の女も、君より若い女もいた。ひどい時は付き合って3日で捨てる始末。今だって、由理恵以外の女と付き合い続けているだろう?それでよくもまあ、由理恵が浮気してるだなんて。由理恵が自分を愛してくれる男と付き合うのがそんなにいけないのか?中村家相手の裁判でも、やりたきゃとことん付き合ってやるからな」今まで好き放題やってきたつけが、重苦しい山のように潤の肩にのしかかった。由理恵を取り戻したいという決意が、一瞬にして音を立てて崩れ去る。しばらく迷った末に、怒りをぐっと飲み込み、これまで高く掲げていた頭を静かに下げた。「分かっています。これまで自分が未熟で、由理恵や北条家に傷をつけてしまったことは……ですが、俺と由理恵には積み重ねてきたものがあります。こんなに長い年月の関係は、そう簡単に……」バシャリ。生ゴミが混ざった汚水が、潤の頭から降りかかった。杏が口を覆って、わざとらしく驚き謝罪の言葉を口にする。「あら、潤くんだったのね。最近心労が重なって、目がかすんでいたみたいで。ごめんなさいね。今すぐ脱いだ服を洗わせるか、クリーニング代でも払おうか?」口ではそう言っても、体はしっかりと玄関のドアをふさいでいる。どう見ても潤を家に入れる気配はなかった。入れもしないくせに脱げと言う。明らかな侮辱じゃないか?文雄と二人で自分をこんな目
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