「身内びいき」と言われるのを極端に嫌う母・桐生蘭子(きりゅう らんこ)。そのせいで、重度の貧血を抱える私・ 桐生詩凪(きりゅう しいな)は、無理やり集団献血に参加させられた。わずか100ミリリットルを抜いたところで、視界がぐにゃりと歪む。限界を感じ、針を抜こうと手を伸ばした瞬間。看護師の一条柚季(いちじょう ゆずき)にその手首を強く押さえつけられた。「たった100でやめるの?他の子たちはみんな400抜いているのよ」顔面蒼白の私を、柚季は嫌悪感をむき出しにして睨みつける。「献血は名誉なこと。病気のフリをして逃げようとするなんて、わがまますぎるわ。倍の量を抜いて反省しなさい!」傍らに立つ母は、冷ややかな視線を向けるだけだった。「詩凪、そんな風に教えた覚えはないわ。一人だけ特別扱いは許さない。死んでも400ミリ、抜き切りなさい」心臓が、破裂しそうなほど速く脈打つ。3本目の採血管。視界は完全に閉ざされ、私はそのまま地面に崩れ落ちた。抜け出した魂が、ふわりと宙に浮く。申し訳なさで胸を詰まらせながら、ただじっと、地上にいる母を見つめていた。ごめんね、お母さん。嘘じゃなかったんだよ。私、もうこれ以上は頑張れそうにない。……死の淵へと引きずり込まれるような、猛烈な窒息感。視界が真っ暗に染まり、私はそのまま献血台へと突っ伏した。衝撃で針がずれ、チューブを鮮血が逆流していく。「ちょっと、献血中なのよ!動かないで!」担当看護師の柚季は苛立ちを隠そうともせず、私の肩を手荒く揺さぶった。そして、迷うことなく針を引き抜く。私がぐったりとしたまま反応を示さないのを見て、柚季の瞳に嫌悪の色が浮かんだ。彼女はあてつけのように、再び鋭い針先を私の腕に突き立てる。「……あ、外れちゃった。わざとじゃないから、文句はないわよね?」柚季はそれから、何度も執拗に針を刺し直した。私の腕がどす黒い内出血でひどく腫れ上がるまで、その手は止まらなかった。けれど、もう痛みすら感じない。意識が身体から解き放たれ、ふわりと宙へ漂っていくようだった。「ふん、意外と粘るわね。そんなにまでしてボランティアをサボりたいわけ?全く、協調性の欠片もないんだから」柚季は顔も上げずに採血バッグを取り替える。その口からは、毒のよ
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