All Chapters of 婚約者を寝取られた夜、財閥御曹司に溺愛されました: Chapter 271 - Chapter 278

278 Chapters

第271話 おばあさまと散歩

第271話 おばあさまと散歩 「美月ちゃん、まずは朝ごはんね。ダイニングへ行きましょう。今朝はいつもより品数を増やしていろいろ用意させたから、たくさん食べてちょうだい。やっぱり少し痩せすぎよ」 美月は思わず言葉を失った。「……」 ――自分、そんなに痩せてる? いや、そんなはずない。つくべきところにはちゃんとついてるし。 こんなに優しい姑がいるなら、結婚した甲斐もあるってもんだ。 三人はダイニングへ向かった。 「おじいさまとお父さんは? お呼びして、一緒に食べませんか?」 雅はすぐに答えた。 「おじいさまは朝早く散歩に出かけて、もう朝ごはんを済ませたの。お父さんは今日出張で、六時に出発したから。今朝は私たち三人だけよ」 美月はそれを聞くと、それ以上は何も言わなかった。 神崎家の朝食は品数が多く、栄養バランスもよかった。 「美月ちゃん、遠慮せずにいっぱい食べてね。どれも体にいいものばかりよ」 「はい!」 美月はうなずいた。 「お母さん、自分で取りますから」 三人で朝食を終えても、美月はすぐには出かけなかった。会社までは車で三、四十分ほどだ。 八時過ぎに出れば、十分間に合うはずだ。 「おばあさま、少し一緒にお散歩しませんか?」 清子はぱっと顔をほころばせた。 「ええ、行きましょう!」 
last updateLast Updated : 2026-10-15
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第272話 グッズ化権を買いたいという人が現れた

第272話 グッズ化権を買いたいという人が現れた 「ちょっと待って。バッグを置いてくるわ」 美月はまだバッグを手に提げていた。 「それなら、私が書類を持って行きます」 「じゃあ、お願い」 美月は自分のオフィスへ向かった。 彼女が席に着いたばかりのところへ、大沢が書類を持って入ってきた。 「社長、こちら、すべてご署名いただきたい書類です」 美月は大沢にかなり大きな権限を任せていた。 特別な事情がない限り、普段の業務は大沢の署名だけで済む。 美月は書類に目を通してからペンを手に取り、一枚ずつ署名していった。 書類は三通だけだった。署名を終えると、彼女は大沢に返した。 「そういえば、報告があるって言ってたわよね? 何のこと?」 美月は少し離れたところにあるソファを指し、座って話すよう促した。 大沢はソファまで歩いていき、腰を下ろした。 「社長、うちのスマホゲームをグッズ化したいという人から連絡がありました」 美月は少し意外そうな顔をした。 「つまり、うちのゲームの商品化権を買いたい人がいるってこと?」 大沢はうなずいた。 「はい! クローズドβテストの盛況ぶりを見れば、このゲームに大きな市場性があるのは明らかです。商才と資金力のある人なら、当然このチャンスを見逃しません」 美月は少し考えてから尋ねた。 
last updateLast Updated : 2026-10-15
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第273話 志織の目論見

第273話 志織の目論見 美月は彼を呼び止めた。 「待って。十時から会議があるの。あなたも出てちょうだい」 大沢はうなずいた。 「分かりました。私から皆に伝えておきます」 そう言って、彼はオフィスを出ていった。 美月はもともと、グッズ事業は後回しにするつもりだった。でも、どうやら少し出遅れてしまったようだ。 彼女はパソコンを開き、仕事に取りかかった。 十時になると、美月は時間どおりに会議室へ入った。 他の社員たちはすでに揃っていた。 美月は上座に歩いていき、腰を下ろした。 余計な前置きはせず、さっそく本題に入った。 「剛、まずはクローズドβテストのデータを報告してちょうだい」 名前を呼ばれた剛は、すでに準備万端だった。 用意していたプレゼン資料を開き、報告を始めた。 会議は三十分ほどで終了した。解散する際、美月は広告宣伝部の主任を呼び止めた。 「佐野さん、明日の退勤時間までに宣伝案、直せる?」 佐野は慌ててうなずいた。 「できます!」 「じゃあ、仕事に戻ってちょうだい」 美月はそう言って、彼を下がらせた。 彼女自身もオフィスへ戻った。 十一時になると、美月は荷物をまとめ、少し早めに会社を出た。 何しろ、
last updateLast Updated : 2026-10-16
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第274話 最悪の鉢合わせ

第274話 最悪の鉢合わせ 茜はしばらく黙り込んだ。彼女にとって、あまりにも予想外の話だった。 娘が何も答えないので、志織は思わず眉をひそめた。 「どうしたの? 瑛士じゃダメなの? あれだけ条件のいい相手なのに。じゃあ、誰が好きなのよ?」 茜の心は複雑だった。 「でも、瑛士は優香と婚約を解消したばかりじゃない? 今すぐ近づくのはよくないと思う。それに、この話、瑛士は知ってるの? 私、優香と同じ目に遭いたくない」 今や優香は、帝都の令嬢たちの社交界で完全に評判を落としていた。悪評どころか、誰もが眉をひそめるほどだった。 名門・白井家の令嬢が、二人の男のせいでここまで惨めな目に遭ったのだ。 周囲は彼女を笑いものにしながらも、自分たちも気をつけなければと身を引き締めていた。 誰も、次の優香にはなりたくなかった。 しかし、志織は娘の懸念など気にも留めなかった。 「婚約を解消したんだから、もう関係ないでしょ? 別れてからどれだけ経ったかなんて、問題じゃないわ。まずは二人で接点を持てばいいのよ。うまくいけばそれでよし、だめならそのとき考えればいいじゃない」 志織はわずかに眉を上げ、娘を挑発するように言った。 「まさか、瑛士を振り向かせる自信もないの? 私の娘なら、そんなに頼りないはずないでしょ」 茜は言葉に詰まった。「……」 とはいえ、母の挑発はなかなか効いた。 茜の表情が、少しずつ和らいでいった。 ――うちは桐生家には及ばない。
last updateLast Updated : 2026-10-16
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第275話 まるで本当の母娘のように

第275話 まるで本当の母娘のように 雅も同じ気持ちだった。 ――まさか、こんなところであの二人に出くわすとは。 まったく、運が悪いにもほどがある。 雅は美月のほうに顔を寄せ、声を潜めて囁いた。 「美月ちゃん、あの二人のことなんて気にしなくていいからね。もし何か言ってきたら、遠慮せずに言い返しなさい」 ――あんな奴らのために引き返すなんて、あり得ない。 美月は絶句した。「……」 二人は、そのまま志織たちの前を通り過ぎようとした。 雅と美月を見た瞬間、志織はカッとなった。 でも、人目があるから、ここで暴れるわけにはいかない。 せいぜい、嫌味の一つを言ってやるくらいだ。 「あら、これは雅さんじゃないの。どうしたの? お嫁さんを連れてエステに来たの? 偶然だね!」 雅は志織を相手にするのも面倒だった。 「あんたには関係ないでしょ! そこをどいて。邪魔よ」 そう言い放つと、志織が反応する間もなく、雅は彼女を押しのけて進んだ。 不意を突かれた志織は、よろめいた。 幸い、隣にいた茜がすかさず母親を支えた。 二人は当然、雅の乱暴な振る舞いに腹を立てた。 しかし、当の雅はすでに店の中へ入ってしまっていた。 志織は、顔が真っ赤になるほど怒っていた。 ――くそっ、よりにもよってこんなとこ
last updateLast Updated : 2026-10-17
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第276話 誰が払えないっていうのよ

第276話 誰が払えないっていうのよ それを聞いて、雅は上機嫌になった。 自分が褒められるより、ずっと嬉しかった。 「そうでしょう! 本当に綺麗よね! やっぱりうちの嫁が一番だわ!」 美月は思わず言葉を失った。「……」 ――他人が褒めてくれるのはともかく、身内まで一緒になって褒めちぎるとは。 そのとき、店長も知らせを受け、慌てて駆けつけてきた。 二人の前まで来ると、店長は満面の笑みで挨拶した。 「雅さま、いらっしゃいませ! 本当にお久しぶりでございます! こちらが若奥様でいらっしゃいますね! なんてお美しいのでしょう!」 そして、またしても美月を褒めちぎった。 雅はすっかり気をよくし、口元が緩みっぱなしだった。 ちょうどその頃、志織と茜も店に入ってきた。 本当は今すぐ帰りたいところだったが、雨子と約束している。すっぽかすわけにはいかない。 店長が雅にあれほどへつらっているのを目にし、志織はますます不愉快になった。 店員は二人の来店に気づくと、当然のように接客に出てきた。 しかし、目の前の光景を見れば見るほど、志織の不満は募るばかりだった。 ――なぜ雅のところには店長自らが出迎えるのに、自分たちはただの店員なのか。 雅は志織たちを完全に無視して、店長を伴い、美月と一緒に施術室へ向かった。 志織は、二人が二階へ上がっていくのを、ただ見送るしかなかった。 
last updateLast Updated : 2026-10-17
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第277話 まるで長年の親友のように

第277話 まるで長年の親友のように 志織が料金を振り込むと、プラチナ会員カードはブラック会員カードに切り替えられた。 それまでプラチナ会員カードに残っていた金額も、すべて新しいブラック会員カードに移された。 店員は恭しくカードを志織に差し出した。 「どうぞお受け取りくださいませ!」 志織はカードを受け取った。 さすがに高額な会員カードだけあって、手にした感触まで違うように思えた。 それでも、胸中は複雑だった。 たった一枚のカードに、一千万円もの大金をつぎ込んだのだ。 志織は大きく息を吸い込んだ。 ――せっかくこれだけのお金を使ったのだから、それに見合った待遇を受けなければ損だ。 彼女は顎を上げ、いかにも高貴な奥様らしい態度で告げた。 「それじゃあ、さっきのコースを私にも手配してちょうだい」 店員は志織の尊大な態度など気にも留めず、笑顔で応じた。 「かしこまりました。お嬢様も同じコースでよろしいでしょうか?」 「いいえ、娘には結構よ。生まれつき美人だし、まだ若いから、あんな本格的なケアは必要ないわ。基本コースで十分よ」 母の言葉を聞き、茜は少し面白くなかった。 ――なぜ自分だけ基本コースなの? だが、母の表情を見れば、その理由は明らかだった。一千万円もの出費を惜しんでいるのだ。 ――たかが一千万円で、そこまで渋る必要があるのだろうか。 
last updateLast Updated : 2026-10-18
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第278話 反省すべきは、そっちでしょう

第278話 反省すべきは、そっちでしょう 「つまり、雅もここにいるということ?」 雨子はその話を聞き、少し意外に思った。 ――こんなところで鉢合わせするとは、本当に偶然だ。 志織は思わず口元をへの字に曲げた。 「そうよ。ちょうどあの美月を連れてきているわ」 雅が美月をあれほどちやほやしている——その姿を思い出すだけで、志織は吐き気がした。 ――まったく、みっともない。 姑が嫁をそこまで持ち上げるなんて、上流の奥様たちの間では聞いたこともない。 相手がそれなりの家柄ならまだしも、美月のような連れ子ごときに、姑の体面も捨ててちやほやするなんて。 笑い話にもならない。浅ましいにもほどがある。 雨子の表情も、たちまち険しくなった。 内心、不機嫌だったのだ。 ――雅は何を考えているのだろう。あの小娘まで、わざわざここに連れてくるなんて。 まさか、あの小娘がこんな高級エステを利用できると思っているのか。 ふん! 名家に嫁いだくらいで、身分まで上がったつもりかしら。 猫に小判もいいところだわ。 胸の奥に湧き上がった不快感が、雨子の上機嫌をあっさり吹き飛ばした。 ――雅はきっと、姑の寛大さをこれみよがしに見せて、良い姑を演じているのね。私を悪い姑に仕立て上げるつもりかしら。 「あとで、ちょっと挨拶に行きましょうか?」 ――そうい
last updateLast Updated : 2026-10-18
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