第271話 おばあさまと散歩 「美月ちゃん、まずは朝ごはんね。ダイニングへ行きましょう。今朝はいつもより品数を増やしていろいろ用意させたから、たくさん食べてちょうだい。やっぱり少し痩せすぎよ」 美月は思わず言葉を失った。「……」 ――自分、そんなに痩せてる? いや、そんなはずない。つくべきところにはちゃんとついてるし。 こんなに優しい姑がいるなら、結婚した甲斐もあるってもんだ。 三人はダイニングへ向かった。 「おじいさまとお父さんは? お呼びして、一緒に食べませんか?」 雅はすぐに答えた。 「おじいさまは朝早く散歩に出かけて、もう朝ごはんを済ませたの。お父さんは今日出張で、六時に出発したから。今朝は私たち三人だけよ」 美月はそれを聞くと、それ以上は何も言わなかった。 神崎家の朝食は品数が多く、栄養バランスもよかった。 「美月ちゃん、遠慮せずにいっぱい食べてね。どれも体にいいものばかりよ」 「はい!」 美月はうなずいた。 「お母さん、自分で取りますから」 三人で朝食を終えても、美月はすぐには出かけなかった。会社までは車で三、四十分ほどだ。 八時過ぎに出れば、十分間に合うはずだ。 「おばあさま、少し一緒にお散歩しませんか?」 清子はぱっと顔をほころばせた。 「ええ、行きましょう!」
Last Updated : 2026-10-15 Read more