All Chapters of 婚約者を寝取られた夜、財閥御曹司に溺愛されました: Chapter 281 - Chapter 286

286 Chapters

第281話 甘え上手な男は得をする

第281話 甘え上手な男は得をする 蓮は人の心の機微を読むのがうまい。美月の言葉に滲む柔らかな含みを、聞き逃すはずもなかった。 ――これは脈ありだ。 「……なあ、俺のこと、かわいそうだと思ってくれよ。なあ、早く来てよ。このままお前に会えなかったら……俺、死んじまう。本当に死んじまうからな……なあ、いいだろ?」 ――会えなさすぎて、死にそうだ。 美月は呆れて言葉も出なかった。 ――この男は、どうして一日中こんなでたらめばかり口にしているのだろう。 甘えたような表情を浮かべる彼から目をそらし、美月はなんとか「行かない」とだけ告げた。 「なあ、頼むよ。さっきから言ってるだろ、俺のことかわいそうだと思ってくれよ! 本当にお前に会いたいんだ」 美月は、このまま電話を切ってしまおうかと思った。 しかし、蓮はその隙を与えなかった。 「本気で言ってるんだ。会社には今、ちゃんと任せられる人がいるし、ゲームもまだテスト中で、そっちの技術者が対応してくれてる。会社に顔を出さなくたって、何の問題もないんだ」 「それに、パソコンさえ持ってくれば、どこでも仕事はできるだろ? 仕事にも何の支障もない。なあ、来てくれよ! こっちの用事が片づいたら、二人で何日か遊びに行くことだってできるんだぞ」 話せば話すほど、蓮の目は輝いていった。 できることなら、今すぐ帰国して美月を抱えてでも連れてきたいくらいだった。 美月は複雑な表情で彼を見つめた。 「そんなに
last updateLast Updated : 2026-10-20
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第282話 うちの嫁は優しすぎる

第282話 うちの嫁は優しすぎる 電話を切って航空券を手配しに行ったものの、蓮はまだ内心落ち着かなかった。美月がやっぱり行かないと言い出すのではないかと、不安だったのだ。 だからこそ、先に電話を切った。 そして今、美月の口から「わかった」という言葉を聞いた蓮は、嬉しくてたまらなかった。 興奮のあまり、顔じゅうがぱっと輝いた。 もともと端正な顔立ちが、今はさらに輝きを増し、思わず目を奪われるほどだった。 美月は、そんな彼の顔に思わず見入ってしまった。 そして、自分の心臓がまた妙に速く鼓動していることに気づいた。 慌てて視線をそらし、話題を変えた。 「そっちに何か持ってきてほしいものはある?」 「何もいらない。お前が来てくれるだけで十分だよ」 蓮の心は、甘い幸福感でいっぱいだった。 ――本当に俺のことを気にかけてくれている。わざわざ遠くまで来てくれるうえ、何か持っていくものまで聞いてくれるなんて。 これが愛じゃなきゃ、何なんだ。 間違いなく、俺を愛している。 当たり前だ。俺にはこれだけの魅力がある。毎日顔を合わせているんだから、俺を好きにならないはずがない。 美月は彼の甘ったるい声を聞き、腕に鳥肌が立つのを感じた。 ――まったく、この人は相変わらずお調子者なんだから。 「そういえば、午後は母さんとエステに行ってたのか?」 美月はうなずいた。 
last updateLast Updated : 2026-10-20
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第283話 自家用ジェットで送らせましょう

第283話 自家用ジェットで送らせましょう 蓮は、今日は本当にいいこと続きだと思っていた。 ――まず、美月が自分のところへ来てくれること。そしてもう一つは、瑛士がまたお見合いをすることだ。 どちらも、この上なく喜ばしいことだ。 「あいつらのことは本人たちに任せておけばいい。俺たちが口を出すことじゃない。そうだ、明日はそんなにたくさん荷物を持ってこなくていいぞ。こっちに来てから買えばいい。何でも揃うからな。荷物は少ないほうが楽だろ? 必要なものは全部、俺が用意しておくよ」 ――買えば済む話だ。できることなら、世界中のいいものを全部、彼女の目の前に並べてやりたい。 ビデオ通話を終えると、蓮はさっそくデパートへ買い物に出かけた。 美月はもともと、荷物をたくさん持っていくつもりはなかった。 ――お金に困っているわけでもないし、足りないものがあれば、向こうで買えばいい。 「そういえば、いつ帰ってくる予定なの? こっちの予定も立てたいから」 「半月くらいはどうだ? そうすれば、何日か多く遊べるだろ」 蓮はすでに、どこへ遊びに行こうかと計画を立て始めていた。 美月は少し考えてから答えた。 「半月は長すぎるわ。十日にしましょう」 ――十日じゃ短すぎるだろ。 だが、今ここで彼女に逆らうわけにもいかない。 せっかく来てくれる気になったのに、また行きたくないと言い出されたら困る。 どうせ、こっちに来てからでも説得する機会はある。 まずは何と
last updateLast Updated : 2026-10-21
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第284話 よりによって、こんなところで

第284話 よりによって、こんなところで 正直、美月はこれまで、こんなふうに大切に見送られたことなどなかった。 家族全員がそろって空港まで見送りに来てくれるなんて。 父が亡くなって以来、彼女は実の母にさえ疎まれ続けてきた。学費すら出してもらえなかったのだから、母親らしい気遣いや愛情を注いでもらえるはずもなかった。 雅は相変わらず、あれこれと念を押していた。 「着いたらすぐに電話するのよ。それから、もし蓮のやつが迎えに来るのに遅れたりしたら、それもちゃんと電話してちょうだい。あとで母さんがきつく叱ってやるから」 清子も心配そうに、何度も繰り返し言い聞かせた。 美月の胸は、じんわりと温かくなった。 「分かりました。飛行機を降りたら、すぐに電源を入れて電話しますね。それに、ファーストクラスですから、少し眠っていれば、目が覚める頃には着いていると思います」 頃合いを見計らい、源一郎が口を開いた。 「さあ、そろそろ保安検査が始まる時間だ。もう美月を行かせてやりなさい」 二人とも名残惜しくて仕方がなかったが、さすがに搭乗に遅れるわけにはいかない。 「美月ちゃん、じゃあ、行ってらっしゃい」 美月はうなずいた。 「はい。皆さんも、もう帰ってくださいね」 雅は少しでも長く美月と一緒にいたいようだった。 「急がなくても大丈夫よ。保安検査場に入るまで、私たちはここで見送っているから」 美月はそれ以上何も言わず、三人に手を振って別れを告げると、保安検査場へと向かった…&
last updateLast Updated : 2026-10-21
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第285話 腹の虫が収まらない

第285話 腹の虫が収まらない 一方、桐生詩が帰宅したのは、翌日の昼だった。 ここ数日、彼女は友人たちと一緒に海へ出かけ、遊び回っていたのだ。 リビングのソファに座っている雨子の姿を見つけると、詩は思わず声を上げた。 「ただいま!」 だが、娘が帰ってきたというのに、雨子はさほど嬉しそうでもなかった。ちらりと一瞥しただけで、そっけなく答えた。 「おかえり」 詩は、雨子が不機嫌なのをすぐに察した。 「どうしたの? 誰かにそんなに腹を立ててるの?」 雨子はひどく不機嫌だった。何しろ、昨日の出来事で腹が立ったまま、まだ腹の虫が収まっていなかったのだ。 「何でもないわ」 それ以上、話すつもりはないという態度だった。 詩はそんな雨子の隣に腰を下ろした。 ――今、帰ってきたばかりなのだから、母さんを怒らせるようなことをしたはずがない。 母さんが一番かわいがっているのは兄さんだ。兄さんに腹を立てるなんて、まずありえない。 となると…… 詩は目をくるりと動かし、探るように尋ねた。 「昨日、気に入らなかったの?」 ――兄さんが三枝茜とお見合いする話は、母さんから聞いていた。 昨日は自分が家にいなかったから、母さんに付き添えなかった。 もしかして、会ってみたら何か気に入らないことでもあったのだろうか……
last updateLast Updated : 2026-10-22
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第286話 うちの娘を見下してるってわけ?

第286話 うちの娘を見下してるってわけ? とはいえ、胸の内に溜まった不満を吐き出してしまえば、気分がすっきりするのも確かだった。 雨子も、昨日から抱えていた鬱憤をようやく晴らすことができた。 二人はすっかり落ち着きを取り戻していた。 「そういえば、兄さんと茜の件だけど……まだ会わせるつもりなの?」 雨子は冷笑した。 「もちろんよ。あとで志織に電話して、明日会う約束を取りつけるわ」 「兄さんがそんな話、素直に聞くと思う?」 詩には、兄が大人しく母の言うことに従うとは思えなかった。 ところが、雨子は自信たっぷりに答えた。 「承諾するわよ」 詩は言葉を失った。 ……本当? あの兄が茜とお見合いするなんて、どうしても想像がつかない。 詩は慎重に尋ねた。 「どうして承諾するの?」 雨子は得意げに笑った。 「結婚する気がないなら、決まるまで毎週十回お見合いをさせるって言ってやったのよ」 「それに、結婚すれば美月にはもうちょっかいを出さないし、これからあの女に会っても、にこやかに接すると約束してくれたわ」 詩は目を丸くした。 ……なるほど、そういうことだったのか。 「じゃあ、これから本当に美月に愛想よくするつもりなの?」
last updateLast Updated : 2026-10-22
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