その言葉を聞いた瞬間、不思議なくらい胸の奥が静かになった。 普通なら怖くてたまらないはずなのに。 九条さんがそう言うと、本当に大丈夫な気がしてしまう。 その時、部屋のドアが開いた。「失礼します」 入ってきたのは黒いスーツ姿の榊さんだった。 いつも通り落ち着いているけれど、空気が張っていた。「あいつら、かなり露骨ですね」 榊さんが苦笑する。「黒蛇の連中、隠す気ありませんよ」「三流の脅しか、それとも余裕アピールか」 九条さんが煙草を揉み消す。「どっちにしろ気に食わねぇな」 榊さんは私を見る。「美月さん、大丈夫ですか」「……はい」 本当は全然大丈夫じゃない。 でも二人を見ていると、不思議と落ち着いてしまう。 すると榊さんが少し真面目な顔になった。「若頭、流石にそろそろ必要かと」「あぁ」 九条さんが短く返す。 何の話だろうと思った瞬間。 九条さんが棚の引き出しを開けた。 中から取り出されたのは黒いケース。 私は嫌な予感がして息を呑む。 カチャ、と音を立ててケースが開かれる。「……っ」 中から取り出された物を見て私の心臓は跳ねた。 ……本物だ。 映画でしか見たことのないような冷たい黒。「九条さん……これ……」「護身用だ」 そう言って見せられたのは小型の拳銃だった。「今後、万が一って事もある」「で、でも……!」 私は思わず後ずさる。「わ、私なんかに無理です……!」「必ず撃てとは言ってねぇ」 九条さんが静かに言う。「ただ持っとけ」 その目は真剣だった。「黒蛇は脅しだけで済む相手じゃねぇ。お前が一人になる可能性もゼロじゃない」 怖い……こんな人の命を簡単に奪える物が目の前にあるなんて……。 ナイフなんかの比じゃない。これは人の命を奪うための道具。「……そんな顔するな」 九条さんがこちらへ来る。「これはお前を怖がらせるためじゃねぇ」 大きな手が私の頭へ触れた。「生き残らせるためだ」 胸が詰まる。 私は小刻みに震えながらケースを見る。「……私、こんなのを人に向けるなんてできません」「出来なくていい。いや、できない方が本来は良いんだ。俺達極道だってこの道に足を踏み入れると自らが決めたやつでも引き金を引く……いや、持つことすらビビるやつなんて大勢居る。それにチャカは持ってるだけで状況
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