汚れた部屋。手足を縛られ身動きの取れない私の目の前には一人の女と男が立っている。男は深くフードを被っており顔は確認できないが手には真っ黒なチャカが握られている。 私の服は自身の血で汚れ、頭から流れる血で視界はどんどん悪くなる。 冷え切った身体と鼻孔を刺激する血の匂いが死へのカウントダウンが刻一刻と迫っているのを実感させる。 「はぁ、はぁ……貴方達私が誰か分かっているの!?」 散々殴られ、蹴られた私は残り少ない体力を使い二人に吠えた。 私の問いに二人は不敵に笑った。 「痛ッ!?」 「貴方が誰かって? 桔梗組若頭、皐月慎吾の妻……皐月七瀬でしょう?」 女は私の髪を鷲掴みにして至近距離でそう答えた。 女の顔に見覚えは無い。一体この女は誰なの……。 「なら私をこんな風にしたら桔梗組が黙ってるはずがないって分かるでしょ!」 桔梗組は極道三大組織の一つ。 その中でも桔梗組は東京の殆どをシマとしている最大の極道組織。 「……もしかして南雲組!?」 南雲組は桔梗組と同じ極道三大組織の一つ。 そして桔梗組とは東京の土地や利権等で長年敵対している組織。 私を拉致して何かの交渉材料にでもするつもりなのかしら。でも殺したら交渉材料にならない……何が狙いなの。 「ふふ、確かにここは南雲組のシマの建物……でもね、私は南雲組の人間でも雇われた身でもないわ」 「じゃ、じゃあ貴方は誰なの……」 「どうせ死ぬのに知る必要なんてあるのかしら」 そう言って女は男からチャカと光り物を受け取り私の目の前でゆっくりと抜いた。 そして私の首にドスを当て「特別に選ばせてあげる、ドスかチャカどっちで逝きたい?」と聞いてきた。 首からはわずかに血が滴り落ち間近に迫る死に呼吸が早くなるのが分かる。 「い、今なら命だけは見逃してあげる……私を殺せば慎吾さんが黙ってないわ。桔梗組を敵に回すのがどういう意味なのか分かってないわけじゃないでしょ! 桔梗組を敵にする覚悟が貴方達にあるの?」 私を殺せばこの女もそこに居る男も死ぬ。それもただ死ぬだけじゃない。死にたくても中々死ねない程の拷問を受けながら殺される。 桔梗組と南雲組だけは敵に回すな。この言葉は古くから長年言われている言葉。 構
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