「……意味が分からないわ」「ラグナシア嬢、俺は王子なんだ。女神に祝福された王家の長男。次期国王だ」「知っているわよ。お上の威光を笠に――、」「だから、全てを察している。君の言葉が妹への愛情から生まれているものだと、知っているんだ」「な、にを――」 雪がピタッとやんだ。 姉に傷つけられることが辛くて雪を降らせてしまっても、彼女も薄々は……気づいていた。だから何度突き放されても姉を慕っている。「これから俺は、君の事情を白日の下に晒そうとしている。恨んでくれていい。俺はただ、皆と楽しくバカをやりたいだけだ。そのために、君の気持ちを一方的に暴露する」「――!!!」 これが正解かどうかなんて分からない。でも俺は、ゲームよりもっといい未来が見たい。「不義の子だとみなされている家からベル子を引き離したいんだろう。もう戻りたくないと思わせたいんだろう」「……っ」「強くかっこいい姉でもいたい。ただ婿をとり、跡取りを産むだけを期待されているだけの傀儡扱いされていると妹に知られたくない。だから、遠ざけたいんだ」「……っ! うるさい!」 怒声が響き、ラグナシアが腰に手を伸ばした。鞘から抜かれた剣が、光を反射してきらりと煌く。その瞬間、リュークも剣を抜き俺の隣で牽制した。「でもね、人は死ぬんだよ。簡単に死ぬんだ」 ラグナシアの剣の刃をコンコン、と軽く叩いた。本気で斬るために抜いた剣ではないことくらい、分かっている。「俺はね、与太話だと思われるかもしれないけど前世で死んだ記憶を持っているんだ」 ラグナシアが目を見開いた。「全部、無になるんだよ。何かを頑張った事実も、その成果も全て消えてなくなる。築いた関係も消え失せて、何も残らないんだ。ねぇ、今君に何かが起きて死んだらどうなると思う?」「お、脅しってこと!? 王子がよくも――っ」「違うよ」 あえて軽い調子で言う。「君が死んだら妹が家に呼び寄せられるだろう。跡取りを産むためだけの傀儡として。誰も味方のいない家で孤独の中で生きることになる。その体質を隠すために軟禁状態におかれるかもしれない。唯一味方だった君のことも、勘違いしたまま誤解を解くことはもうできない」「――――!!!」 ラグナシアの剣の刃先が揺れた。リュークに「剣をしまえ」と言われ、震える手で鞘へと戻す。「君自身がトップに立つことを認め
Terakhir Diperbarui : 2026-08-01 Baca selengkapnya