「7年をそんな簡単に終わりにできるのか?」私は彼を見つめた。その言葉は、かつて何度も自分に言い聞かせていたものだった。7年も一緒にいたのだから、簡単に手放してはいけない。もう少し我慢すれば、いつか彼も変わる。そう自分に言い聞かせてきた。でも今ならわかる。一緒にいた時間の長さは、傷つけられ続けていい理由にはならない。むしろ、その7年が教えてくれた。これ以上自分の時間を無駄にしてはいけないと。「尋人。7年は決して短くない。だからこそ、これ以上あなたのために時間を使いたくない」彼は何も言えず、立ち尽くした。私はその脇を通り抜けようとした。突然、背後から私に抱きついた。声は涙でかすれていた。「行かないでくれ。美月、俺を捨てないで。茉莉とは縁を切る。母さんとも距離を置く。どれだけ責められても構わない。だから戻ってきてくれ」私は腰に回された彼の手を、指を一本ずつ外しながらほどいていった。7年間、私を縛りつけていたものを、一つずつ断ち切るように。「尋人、今になって後悔してるのは、私を心から愛してたからじゃない。何があってもあなたを一番にしてくれる人を失ったと、ようやく気づいたからでしょ。でも私は、都合のいい女なんかじゃない。いつでも戻れる場所でもない」私は最後に一度だけ振り返った。「もう私にかかわらないで。また来たら、集めた証拠を全部公表する」彼は立ち尽くしたまま、何も言わなかった。私は振り返らず、マンションのエントランスへ入った。彼が追ってくることはなかった。……これで終わったと思っていた。けれど、私は茉莉を甘く見ていた。3日後、彼女はSNSに長文を投稿した。タイトルは【愛し合っているだけなのに、どうして責められなければならないの?】だった。自分と尋人は高校生の頃から想い合っていたものの、長い間すれ違ってきたのだと書かれていた。スイスでの式も、付き合っていた頃の約束を叶えただけで、誰も傷つけるつもりはなかったという。さらに、私が勝手に思い詰めて式から逃げ出し、紀野家に恥をかかせたかのように匂わせていた。最後は、こう締めくくられていた。【愛に順番があるのなら、先に彼を愛したのは私です】遥はスクリーンショットと一緒に、メッセージ
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