婚約破棄され売られた欠陥聖女は、隣の大国で『魔獣の聖女』と呼ばれることになった의 모든 챕터: 챕터 11 - 챕터 12

12 챕터

第11話 国境の向こう③

ヴァルミア王国へ向かう馬車は、フランキスの街道を南西へ進んでいた。 窓の外に広がる景色は、少しずつ変わっていく。 王都近郊の整えられた道を抜けると、緩やかな丘陵が続き、やがて遠くに青灰色の山並みが見え始めた。 あの山の向こうが、ヴァルミア。 ワイバーンの国。 ルシアは膝の上に開いた資料へ目を落とした。 昨夜から何度も読み返した記録だ。 ――山岳待機、七時間。 ――夜間気温、著しく低下。 ――翌朝、緊急出撃。 ――帰還後、右翼を下げ、飛行不能。 ――翼膜裂傷、治癒術にて閉鎖。 ――三日後、再発。 文字だけなら、ただの報告書だ。 けれど今のルシアには、その裏にあるものが気になって仕方がなかった。 冷えた岩場。 湿った風。 動けないまま待たされる体。 重い肉餌。 温まらない翼。 それでも命令で空へ上がるワイバーン。 まだ見てもいないのに、苦しみの輪郭だけが紙面の向こうで揺れている気がした。 「酔った?」 向かい側からマグダレナが声をかける。 白衣ではなく、今日は移動用の濃紺の外套を羽織っている。いつもの軍服めいた服装と相まって、医療施設長というより前線指揮官のようだった。 「いえ、大丈夫です」 「ならいいわ。顔が険しいから、資料に噛まれたのかと思った」 隣に座っていたノーマンが、記録板を抱えたまま真顔で頷いた。 「資料は噛みます。特に急ぎで集められた資料は、誤字と抜けで精神をガブリと……あ、施設長の視線が痛いのでここまでにしておきます」 「賢明ね」 「生存判断です」 ルシアは思わず目を瞬いた。 そのやり取りを見ていたアルベルトが、低く笑う。 今回はアルベルトも同行している。 フランキス第一王子として、同盟国ヴァルミアとの調整役を担うためだという。 「緊張しすぎなくていい。ヴァルミア側も、こちらを責めるために呼んだわけではない」 「はい」 「ただし、かなり焦ってはいるだろうね。山岳国にとって、ワイバーンは空の足だ。飛べない個体が増えれば、砦も村も孤立する」 ルシアは資料を閉じた。 「……ペガサスより、生活への影響が大きいのですか」 「地形によるわ」 マグダレナが答える。 「フランキスではペガサスもヒッポグリフもドレイクも使う。で
last update최신 업데이트 : 2026-07-28
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第12話 国境の向こう④

――テレジア王国、王城。 セシリアは、薬務室の机に広げられた記録を見つめていた。 ルシアが残していった調合記録。 新しく薬剤師たちが作った補食の配合表。 そして、ここ数日の移動用魔獣の体調記録。 並べれば、違いははっきりしていた。 同じ材料。 同じ分量。 同じ形。 けれど、結果が違う。 ルシアの補食を食べていた時、長距離移動後の魔獣たちは翌朝には食欲を戻していた。 水も飲み、腹を壊す個体も少なかった。 だが、今は違う。 食べる。歩く。けれど、戻りが遅い。 目に見える傷はない。 呪いもない。瘴気もない。 それでも、確かに弱っている。 セシリアは懐の手紙に触れかけて、指を止めた。 読み返せば、また姉の優しさに甘えてしまう気がした。今見るべきものは、机の上の記録だ。 「……お姉様は、ここで何を見つけたの」 小さく呟く。 机の端には、古い記録帳が置かれている。 ルシアの筆跡だった。 ――湿気の多い日は、乾燥薬草を半量に。 ――胃の弱い個体には蜂蜜を足さない。 ――長距離移動後、すぐに濃い補食を与えないこと。まず水。 ――よく食べる個体ほど、食後の様子を見る。食欲は健康の証とは限らない。 細かい。 あまりに細かい。 けれど、その細かさのひとつひとつが、今のセシリアには痛いほど分かった。 調合法だけではない。 姉は、【魔獣】を見ていた。 食べ方を見て、水の飲み方を見て、眠る前の姿勢まで見ていた。 だから効いていたのだ。 薬が特別だったからではない。 その子に合わせて、薬を変えていたから。 部屋の扉が開き、教会騎士が入ってきた。 セシリアの護衛を務める青年騎士だった。名はレオン。あの日、ルシアを欠陥聖女と呼んでしまった騎士でもある。 今の彼は、以前よりずっと慎重な顔をしていた。 「セシリア様。厩舎の子ですが、先ほどまた食べ残しました」 「水は?」 「飲みます。ですが、飲んだあとに首を下げます」 「補食は」 「半分ほどです」 セシリアは目を伏せた。 ルシアなら、きっとその動作を見逃さなかった。 食べ残した量だけでなく、なぜ食べ残したのかを考えただろう。 「聖眼で診ます」 「はい」 ◇ 厩舎
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