首相は1時間もしないうちに戻ってきた。「陛下、申し訳ありませんでした。引継ぎが不十分でした。」そう言って、尊人の前に座った。既に尊人は王の間におり、小机の前にある玉座に座っていた。「陛下が男性を好まれるのは想定内でした。お血筋ですので。」尊人は衝撃を受けた。何を言っている?「お妃は形だけで良いのです。好いておられなくて結構。そして、お好きな男性をお傍に置いて構わないのです。今もほら、陛下が選ばれたお2人をお傍に置いておいでですよね。もともと宮内庁の方ではそういうつもりだったようでございます。私が聞き及んでおりませんでした。」首相は、玉座の近くに立っている健斗と未来を見ながらそう言った。「何を言っているのです。この2人はそういうのではありません。」尊人はいつもよりも早口で言った。思いもよらぬ事を言われた。顔が熱い。「子孫を残していただかなくてはなりません。けれども人工授精で構わないのです。今までも、ずっと国王はそうして誕生して来られたのですから。」尊人は絶句した。今までの国王……血筋と言ったか?それでは自分も?人工授精で生まれたと?「お傍に置かれる男性は、お好きなように選んでいただいて構いません。後々若いのに取り換えていただいても結構。なので、お妃選びに女性の好みなどは無用。お血筋やお人柄、能力など、ビジネスパートナーとして選んでいただきたいのです。」完全に不意を突かれた。ノックアウトだ。何も考えられない。父と母は愛し合っていたわけではなかった?父は、叔父は、男色だったのか?そして、母や叔母は愛されぬまま、ただ子供を産んで、育てて、公務をこなして……。母が不憫に思えてきた。そして、国王というものがここまで人権を無視され、国に利用されていたのかと、更に憎悪が募った。「首相、とても今はそんな気にはなれません。一度持ち帰っていただきたい。」尊人は頭を抱えながらそう絞り出した。「しかし、早急に……。」首相が言いかけたが、健斗がずいと前に出て、尊人と首相の間に立ちはだかった。「首相、お引き取りを。陛下はお疲れです。」健斗は少し凄みを効かせてそう言った。首相は渋々立ち上がり、礼をして部屋を出て行った。「まぁた、格好つけちゃって。」未来が小さく毒づいた。いつも負ける。先を越される。 首相が言った事は、もちろん健斗と未来にとっても初耳だっ
Huling Na-update : 2026-07-17 Magbasa pa