Todos los capítulos de 自称・漆黒の堕天使が異世界を改革するようです: Capítulo 1 - Capítulo 10

32 Capítulos

第一話 †漆黒の堕天使†様、降臨!

122 †漆黒の堕天使†ルシフェル・アシュタロス 2016/11/11(金) 19:34:47 我を崇めよ123 名無しさん@666ちゃんねる 2016/11/11(金)  19:37:32 出たよクソコテ()124 名無しさん@666ちゃんねる 2016/11/11(金)  19:39:15 >>122 厨房乙 ルシフェルなのかアシュタロスなのかはっきりしろよ126 †漆黒の堕天使†ルシフェル・アシュタロス 2016/11/11(金)  19:41:22 >>123-124 愚民どもめ。地獄の業火に焼かれよ  ……ふう、下らん奴らだ。黒のルームウェアを着た、666ちゃんねるの名物コテハン『ルシフェル・アシュタロス』こと、俺『鈴木良太』は、PCのキーボードをタイプする手を止め、手元の五百ミリペットボトル入りの「ほ~い紅茶」を一口飲んだ。 少し休憩しよう。椅子を反転させ、自室を見渡す。蛍光灯に照らされた室内には、シングルベッドに本棚にクローゼット。左手の閉め切ったカーテンの上にはエアコン。右手に出入り口のドア。そして後ろにさっきまで使っていた机とPC一式。それだけ。味気ない部屋だが、ここが俺の聖域だ。中二の五月に、中二病を発症しいじめられて引きこもりになってから、もう半年と少しか。 少し目を閉じて、再びPCに向き直る。PC越しに見知らぬ連中と罵り合う日々。こんな毎日、誰かが壊してくれないだろうか。 そんな思索にふけっていると、突然足元がまばゆい光に包まれた! ◆ ◆ ◆ 光が収まると、そこには異様な光景が広がっていた。俺を取り囲む群衆と篝火《かがりび》。しかも、どうやら夜の古めかしいヨーロピアンな町並みのド真ん中。俺は少し高い広い台に尻もちついて乗ってるようで、そこには魔法陣らしきものが描かれている。 は!? 意味分かんないんですけど!! ……いかん、地が出た。  何か、よくわからない言葉でみんなざわざわしてるし。何これ、怖い。「あなたが漆黒の堕天使様ですか!?」 黒ローブの一人が、俺に問いかけてきた。フードを目深に被ってるせいで顔がよく見えないが、声の感じからすると若い女のようだ。ていうか日本語?「いかにも。我は漆黒の堕天使、ルシフェル・アシュタロス!」 立ち上がり、顔に指の隙間から目が見えるように右手
last updateÚltima actualización : 2026-07-15
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第二話 バルム砦奪還戦!

「ルシフェル様! 夜が明けたら、早速バルム砦を奪還しましょう!」 適当呪文で『六六六の獣』をインフェルノに送還していると、ベルが提案してきた。「そう言えば、そこが落ちたとか伝令が言っていたな。どのくらいの距離があるのだ?」「およそ四十セグタルです」 何だよその単位。「む。ジュデッカが永かったものでな。その……セグタルとやらで例えられると分からぬ。そうだな、乗り物でどのぐらい時間がかかると訊き直そうか」「馬で行けば、およそ丸一日です」 馬か。文明レベルは、やはりそのあたりなのか。でも俺、馬なんて乗ったことねえよ。「その、あれだ。そこは馬車で頼む。ジュデッカが永くて馬の乗り方はとんと思い出せぬのでな」 でまかせで言った割には凄え便利ワードだなー、「ジュデッカが永かった」って。「畏《かしこ》まりました。用意させます!」「うむ。しかし、ここの守備はどうする? また天使が襲ってこないとも限らないだろう」「はい。そのことですが、選りすぐりの少数精鋭でバルム砦に向かおうかと思います。ルシフェル様のご負担が大きくなりますが……。シトリー! ウィネ! フォル!」 ベルが背後の魔導師隊に振り向き呼びかけると、三人の少女が前に進み出た。「ボクはシトリー・カイムです! で、こっちが……」「ウィネ・ストラス……です」 見事なAAカップの、快活そうなブロンドショートカット猫耳&猫尻尾少女が威勢よく敬礼する。彼女に促され、Aカップぐらいのシルバーブロンドショートカット猫耳&猫尻尾少女が、もじもじと消え入りそうな小声でシトリーの背後に隠れがちに続いて自己紹介。「フォル・ネウスです。今後とも宜しくお願い致します」 長いブロンドの、現代風の眼鏡をかけたクールな雰囲気の少女が、眼鏡のブリッジをくいと上げながら言う。「この三人と私、そして世話役一人で、ルシフェル様と共に出立する予定です」 そんな陣容で大丈夫か? まあ、俺が居ればどうとでもなる気はするが。「宮殿にご案内致します。ルシフェル様、こちらへ」 ベルが後に付いてくるよう促すので、それに続いた。 ◆ ◆ ◆ 翌朝。宮殿にて皇帝バフォメットとの謁見後、アニメや漫画でしかお目にかからんような最高級のベッドで一睡した俺は、外でチュンチュンと鳴く小鳥の声で目を醒ました。この世界でも、朝は雀っぽい鳥なんだな。 
last updateÚltima actualización : 2026-07-15
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第三話 ありがとう、ネット塾と昔の偉い人!

 翌日の昼のこと。他のメンバーが偵察に出る中、俺とフォルは休憩中である。ユコは川で洗濯中。 フォルが、なにやら地面に枝で数式と思しきものや円だのを書いていた。何をしているのか気になるので、尋ねてみよう。「これですか? 天の星ではなく、この大地が動いているのではないかということの検証です」 彼女が立ち上がり、答える。なるほど、天動説がまだはびこっている世界なのか。まあ、何ぶん異世界のことなので、そちらが正しいのかも知れんが。「ほう……。やはり、教会に弾圧でもされていたのか」「はい。地が動いていると主張した者は、数多く処刑されてきました。教会が滅んだことにより、やっと公に研究ができるようになったのです。その結果、やはりこの大地のほうが動いているのは間違いないと判ったのですが、壁にぶつかってしまいまして」 眼鏡のブリッジを上げながら、深いため息をつくフォル。「壁とな?」「星は円運動をしているはずなのですが、どうしても計算が合わないのです」 地面に書かれた計算式と図面を改めて見る。式の方は何を書いてあるのかさっぱりだが、描かれた円が真円であることに気付いた。「フォル、真円ではなく楕円で計算してみよ。それで合うはずだ」 彼女は雷に打たれたように地面に向かい、式と楕円を大量に書き始める。「……合います! 完璧です! さすがですルシフェル様! 素晴らしいお知恵を頂きました!」 地面が式で溢れかえると、彼女は再び立ち上がってこちらを振り返り、『尊敬』の二文字が瞳に書かれてそうな視線を向けながら、両手の指を顎の下あたりで組む。 フハハハハ! いいってことよ。学校ではまだ天体については習っていなかったが、無料のネット塾で楕円運動の話を知っていた。ありがとう、ネット塾と昔の偉い人! そうこうしているうちに、「敵襲」の叫び声とともに偵察部隊が駆け戻ってきた。 ベルたちの駆けてくる方を見やると、天使どもがわらわらと迫ってくるのが見える。とりあえず、爆裂魔法を超長距離用にセットする。某アニメキャラを真似て、距離を測るために人差し指を立ててみるが、実はやり方がさっぱり分からん。まあいいや、適当で。見栄えはしてるはずだ、うん。 詠唱を終えて爆裂魔法をぶっ放すと、ちょうどいい距離で炸裂して、かなりの数の天使が落ちた。「この距離であれだけの数を……! お見事です、
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第四話 少女な少年&LOVERS

 アナエル襲撃の翌朝、後詰めが来た。千人弱に及ぶ魔導師と、肉体労働担当の男たちが、魔導師よりやや少ないかぐらいだ。むろん、補給物資もある。 葬儀の後、魔導師たちの死体は埋葬された。安らかに眠るがいい。仇は必ず取ってやる。「お召し物が出来上がりましたので、お試し下さい」 ユコが俺の新しい服を持ってきた。そういえば、帝都で一泊した時採寸したんだったな。袖を通してみると、黒いローブだった。帝国では、黒は高貴な色とされているらしい。実に肌触りがいいし、何より俺は黒が好きだ。「うむ。気に入ったぞ」 そのとき、ラッパの音が鳴り響いた。ユコによれば、食事の合図のようだ。連れ立って食堂に向かうことにした。 砦というからには当然、戦のための無骨な施設なわけで、VIP室のようなものはない。なので、皆と一緒に食事を摂る次第である。帝都でも経験しているが、食卓を囲むというのは、実に懐かしい感じがする。俺、引きこもりだったものな。 あまり期待はしていなかったが、やはり食事はパンと謎のハムっぽい肉である。早く、まともな農業をできるようにしてやりたいものだ。 それにしても、視線が気になる。もちろん、その主は斜向かいのフォルである。何度かそちらを見ると、彼女は慌てて視線を逸してしまう。幾度か目が合ったときは、慌てて互いに視線を外した。なんともはや、面映い。「ユコ。そう言えば気になっていたのだが、この世……地上では近頃、男も女装するのが普通なのか? 見た所、他の男の召使いは女装をしていないようだが」 どうにも気恥ずかしいので、横に座ってパンを食んでいたユコにパスを放り投げた。「私の場合は、皇帝陛下にお赦しをいただききました。私、産まれてこのかた、自分を男だと思えたことがないんです」 あれか。性同一性障害というやつか。「そうか。ならば、我も漆黒の堕天使ルシフェルの名に於いて赦そう。大手を振って生きるが良い」 ユコの頭をポンポンと叩くと、彼は上目遣いでもじもじし始める。若干頬も紅いような。これはあれか、落としてしまったのか。チョロ過ぎるだろう、君も……。ユコに放ったパスは、ラブ光線というビーンボールとなって返ってきたようだ。 ◆ ◆ ◆ どこなんだここは……。 砦に後詰が来た夜のこと。どうにも寝付けず、気分転換のために砦の中
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第五話 ふたりはセクンダディ

 シトリーに導かれた先は、砦の少し高いところにあるテラスだった。そこにはすでに制服のベルとフォル、隠れるようにユコも居た。彼はシミーズ姿である。流石にメイド服では寝ないか。眼下には、千近い魔導師隊とそれを纏める風にたなびく帝国の旗が見える。 ベルが拡声器で号令を下し、魔導師隊が陣形を整える。素人の俺が見ても分かるぐらい、よく整った美しい陣形だ。しかし何だな、みんな制服ということは、あのエロコスのまま寝てたわけか。大変けしからんな。ほどなくして、ウィネもテラスに合流してきた。 そう言えば、つい今しがた、悪魔学で思い出したモンスターが居る。オカルトが現実のものとなっている世界なら、こいつも『獣』のように呼び出せるはずだ。「白銀に輝く蟲よ! 全てを切り裂く顎よ! 無間の神秘より姿を現し、我が敵を八ツ裂け!」 十字架のポーズと自分で名付けた、足を揃えて両手を大きく広げ、掌を上向きにするというかっこいいポーズ(ちょっと曲げた指がポイント)をしながら適当詠唱すると、巨大な機械ムカデが魔法陣を通じて虚空に出現した。ベルたちが感嘆の声を上げる。ソロモン王の伝説に出てくる、シャミールという蟲だ。その顎は、あらゆる物質を切断する。 そして、駄目押しにおなじみの『獣』も召喚! 準備は万全だ。アナエルの手勢を屠った時のように、まずは超長距離から敵の数を減らす。距離が縮まると魔導師隊によって障壁が張られ、攻撃魔法の応酬が始まる。もちろん、乱戦に『獣』とシャミールも放り込んである。 しかし、今回はいつにも増して天使の数が多い。当社比二倍! って感じだ。そして、その理由が程なくしてわかった。「悪い子のみんなー! こーんばーんわー☆ セクンダディのオフィエルちゃんだよーっ♪」「同じくサマエルだ。死ね、蛆虫ども」 金髪ツインテール幼女天使と陰気そうな黒髪ボブの男天使が、障壁を魔法で破壊しながら名乗りを上げる。無論、共に六枚羽根。セクンダディが二人がかりか! 魔導師隊が破壊される端から幾重にも障壁を張り直すが、修復に追われて攻撃に転じることができない。「それにしてもー、オフィエルちゃんさっき観察天使ちゃん通じて見ちゃったんだけどぉー。女同士でキスとかきっもーい☆ やだー、吐き気しちゃーう」 キャハハと癇に障る笑い声を上げながら、オ
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第六話 駄狼マルコ

「フォル、凸レンズと大きめの紙を持ってないか? レンズは大きいのがいい」 オフィエル&サマエル戦の翌昼。昨日負傷した者は、療養中である。治癒魔法と解毒魔法は施されたが、この世界の回復魔法は効果が弱く、魔法一つで元気爆発! とはいかないようだ。同時に砦を修復する作業が進められる中、あることを閃いたので手近に居たフォルに尋ねてみた。「凸レンズと紙ですか? あると思いますけど……」 暫し待つと、彼女がレンズと紙を持って帰ってきた。「何かお書きになられるのですか?」「いや、書き物ではない。もう一つ、その眼鏡も貸してくれ」 怪訝な表情で眼鏡を手渡すフォル。片方がやや広くなるように紙で筒を作り、凸レンズをはめ、反対側に眼鏡のレンズをくっつけ、何度か筒の大きさを変えて凸レンズの位置を調整する。「ん、できたぞ。筒を通して見てみよ。太陽は絶対に見るなよ」 筒の形状が崩れないように、そっと手渡す。「え!? 遠くが凄く良く見えます!」 そう。俺が作ったのは簡単な望遠鏡だ。天使の確認がいつも裸眼なので、ひょっとして望遠鏡が発明されていないのではないかと思ったら、案の定だ。小学生の頃、夏休みの自由研究として百均の材料と牛乳パックで簡単な望遠鏡を作ったことがある。それにしても、現代風の眼鏡はあるのに、つくづく歪な技術発展をしてる世界だ。「見ての通り、筒と凸レンズと凹レンズの組み合わせで作れるぞ。もっとしっかりした物を仕上げさせるといい」「素晴らしいお知恵です、ルシフェル様! 皆にも教えてきます!!」 一礼して、ベルたちの居る方へ、フォルがぱたぱたと駆けて行った。 すると、入れ違いに男が引く台車が通りかかった。荷台には、じゃがいもそっくりな物体が多数積まれている。「これは芋か?」 手近に居た魔導師に尋ねる。「はい。やっと収穫できたので、食料として持ってこさせました」「ほう……。そうだ、少し面白い料理を教えてやろう。厨房に運んでくれ。お前も通訳として付いてこい」 男と魔導師とともに厨房に赴く。ちょうど、炊事の真っ最中だった。「少し借りるぞ。お前、油を多めに熱せよ」 料理係の男が通訳の魔導師に言われるままに油を注いだ鍋を火にかける。油が十分熱くなるまでの間、包丁で芋の皮を剥き、続いて薄くスライスした。林間学校のカレー作りを思い出すな……。すでに遠き思い出よ。
last updateÚltima actualización : 2026-07-15
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第七話 つよつよお姉さん

 淡い光に包まれた雲の上の純白の円卓を、男四人、女三人という構成の六枚羽根を持つ天使たちが、取り囲んで座っていた。「セクンダディも随分入れ替わりましたね、ミカエル」 緩くウェーブのかかった青い長髪の女天使が左右を見回し、透き通る声で言う。「そうだな、ガブリエル……。天使の全体数も、この数日で九割に落ち込んでしまった。それはさておき、ベツレヘム、ヴィクター、ケルビエル、ベアトリーチェ。南方の平定大儀であった。主も喜ばれることだろう」 燃えるような逆立つ赤髪の天使の言葉に、シスターのような格好をした、ずっと目を瞑っている女性天使。ヒゲを蓄えた、笑顔の天使。純白のローブを纏う、尖った金髪の天使。幼い印象を与える、前髪を切り揃えたブロンド長髪の女天使が頭を下げた。「それと、皆に伝えておくことがある。主が、あれの封印を解くことをお決めになられた」 ミカエルの言葉に、ざわめく一同。「あれって、まさかあれ!? 封印するのにどれぐらい苦労したと思っているのさ! 僕は反対だよ!?」 嫌そうな顔で吐き捨てる、金髪の優男風天使。「主がお決めになられたことだ、ラファエル」 苦虫を噛み潰したような顔で重々しく告げるミカエル。そう念を押されると、ラファエルも何も言い返せない。「主が、お決めに、なられたことだ……!」 俯き、拳に力を込め、血涙を滲ませながら繰り返す。嗚呼。悲しき哉、中間管理職。 ◆ ◆ ◆ マルコ・インパクトから三日経った昼。 ベルが言うには東に馬で三日行った所に、ひと月ほど前天使に滅ぼされた商業都市・パダールがあるとのこと。四方に大きな街道が伸び、河も近い交通の要所だそうだ。次はここの開放を目指すことになる。今は、俺たち攻略チームの旅支度の最中である。「オレも、オマエといっしょ行く!」 マルコがきらきらした瞳で縋り付こうとしてくる。彼女に付けた首輪のリードを引っ張るベル。人の尊厳とは何だろうと考えさせられる光景である。「マルコ、あなたはお留守番です! 我儘を言うと晩ご飯抜きですよ!」「それでもいい! オレ、ぜったいコイツといっしょ!!」 尻尾を振りながら、抱きつこうとするマルコ。やれやれ、すごい熱意だ。「ベルよ。後方が心配なのは分かるが、我々の戦力の充実も重要であろう。マルコ
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第八話 サタンじゃあ仕方ないな&幼女拾いました

「いやー、地上のご飯は美味しいねえ! お肉おかわり!」 旨そうに飯食ってんじゃねえよ、サタン。 彼女は砦のベッドに運び込まれたが、ピンピンしていた。ふざけんな、俺の流した涙を返せ。「サタンだからね」 とは、彼女の弁。意味分からんわ。 いやまあ、生きててくれて、普通に嬉しいけどな。俺を慕ってくれる者に目の前で死なれるとか、我慢ならん。 しかし、翼は天使の力の源であり、四枚失ったことで先程までのようなでたらめな能力を発揮することはできず、人間の魔導師ぐらいの魔力しか出せないだろうと彼女は語った。「もしかしたら、また生えてくるかもしれないけどね」 とも言っていたが。ほんとかね?「サタンよ。お前がなぜそこまで我に執着するのか、教えてくれまいか。あれだ、ジュデッカが永くて忘れてしまった」「お姉ちゃんとルシくんは、人間を都合の良い下僕程度にしか見ていなかった神に、反旗を翻したの。だけど、先に私が捕まって天界の牢獄に幽閉されちゃったから、その後のことはよく知らないんだ。永遠とも思える刻《とき》を、身動き一つできず孤独に過ごすのは、本当に辛かった。いつかまた、ルシくんに会えるかもって考えることだけが、唯一の希望だった」 彼女が切ない表情で俺を見つめてくる。吸い込まれそうなぐらい、透き通った瞳だ。改めて見ると、本当に美しい顔立ちをしている。「それにしても、ルシくんどこか変わった? 何か昔の記憶と違うんだよね……。最初わからなくて、探しちゃったぐらいだし」「む、あれだ。人げ……じゃなかった、天使だって、長く生きていれば容姿や雰囲気が変わることぐらいあるだろう」 いかん。変な汗が出てきた。やはり、本物を知ってる奴はやり辛い。でも、いつか真実を皆に話さなければいけない日が来るのだろうな。そのときには、行動と結果を以て救世主の証とするまでだ。 ◆ ◆ ◆ 一方その頃。天界の円卓では、ラファエルが愚痴を垂れていた。「僕は反対したからね? ね、ね? ガブリエルたちが証人!」「主のご決断に対し、不敬であるぞ」 ミカエルに一喝され、不承々々押し黙る。「しかし、サタンはほぼ無力化できたのであろう。脅威はルシフェルただ一人だ」 ケルビエルが腕組みしながら深く頷く。「でも、そのルシフェル一人に、多数のセクンダディが倒されているのですよ」 ベアトリーチ
last updateÚltima actualización : 2026-07-16
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第九話 廃都にて&重責と絆

 天使を壊滅させると、車座になり、再びリリスをどうするかという話になった。時計がないので正確な時刻はわからないが、午後三時あたりだろうか? リリスは俺の膝の上、サタンは再び哨戒中である。こき使ってすまんな。空を飛べるのが便利すぎるのだ。「我は、リリスをこのまま一緒に連れて行きたいと考え直した。理由は三つある」 俺の言葉に、一同が身を乗り出してくる。「一つ、この子には恐らく身内がいない。彼女はパダールへ向かう街道の、進行方向に倒れていた。高い確率でパダールの者だが、パダールは壊滅している。一方で、どういう訳か我に大変懐いている。記憶もないのに、誰も知った顔がいない所に居るよりは、我と居るほうが安心するのではないかということ」 右手の人指し指を立てる。皆、俺の話に聞き入っている。「二つ、地上にはすでに安全と言いきれる場所がない。天使が我らをすり抜け後方を襲わないという保証はない。それよりか、寧ろ最強である我と共に居たほうが安全なのではないかということ」 中指を立てる。驕りかも知れないが、当を得ているという自信がある。「三つ、先程の我の魔法を見ただろうが、あれはリリスが我に手を触れたことでパワーが増したものだ。良くない言い方かも知れぬが、この子は戦力になる」 薬指を立てる。ここまで理由を並べると、誰も反論はないようだ。 そして、四つ目の隠し理由として、リリスが何者なのか純粋に知りたい。不自然に道端で倒れていたこと、記憶喪失なこと、魔法語しか通じないこと、魔力を増幅させる謎の能力など、不可解な点が多すぎる。 一同はリリスの同行を承知し、再び進軍を再開した。ベル、ユコと馬車で対面になり、リリスが隣りに座る。パンを食む彼女を見つめていると、視線に気づいたのか不思議そうな顔で見つめ返してきた。 うーん、どうもこの子とは以前にどこかで会っている気がする。しかし、帝都の群衆に紛れていたというパターンは、パダールへ向かう道に倒れていたことと矛盾するし……。気のせいなのだろうか。 ◆ ◆ ◆ 翌日、いくばくかの下級天使に襲われたぐらいで、大過なくパダールに到着した。本来防衛にあたっていたベアトリーチェとケルビエルが打って出てきたので、こちらは手薄だったようだ。空を自由に飛べる天使たちにしてみれば、城や街に拘る必要もないのだろう。 パダールは中世ヨーロ
last updateÚltima actualización : 2026-07-16
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第十話 チーレムな日常と、異変と

 雀っぽい謎生物の声で眠りから醒める。帝都の宮殿で味わったベッド程ではないが、これもかなり上物で、すこぶるよく眠れた。大あくび一つして鎧戸を開けると、眩しい陽光が部屋に差し込む。 召喚されてから向こう、戦ってばかりの日々だったが、今は秋頃だろうか。衣類掛けに引っ掛けておいたローブを羽織り、部屋の壁に掛かっている絵画を見る。この家の家族と思しき十人弱の肖像画だ。いずれの顔も、帝都や砦で見かけていない。無事ならば良いのだが。 階段を降りて食堂に行くとすでに食卓に着席し、食事をしていた一同が、マルコとリリス以外起立して挨拶してきたので、挨拶返しの後再着席を促し、俺自身も座った。ラドネスの風習では、準備のできたものからさっさと食事してしまうものらしい。 しかし、この世界というか帝国には「いただきます」だとか食前の祈りとか、それ系の風習ないのな。まあ、この世界に来る前の俺も部屋でそんな感じだったから、大して勝手は変わらないが。 それにしても、食糧事情は厳しい。何しろ冷蔵庫などという便利な物は存在しないので、日持ちのする焼きしめたパンと干し肉がメインだ。これが少なくとも一週間続くのはきつい。何とかしたいところだ。半ば野生化してるマルコを城外の森林にでも置いとけば、勝手に何か狩ってきてくれるんじゃなかろうか。 それにしても、百合ップルとリリス以外の女性陣+ユコのラブ視線がどうにもこうにも俺に突き刺さる。俺、モテ過ぎと違うか。マルコに至っては、ベルが椅子に結んだリードを解いたら、襲い掛かってきそうである。性的な意味で。「ところで皆、食事が終わったら食料を調達しに行かないか? 街を調べれば釣具が手に入るかも知れん」 ちょっと空気を変えたかったこともあり、提案をしてみる。「良いお考えだと思います」「任せろ! オレ、森のヌシ狩ってくる!」 ベルを筆頭に、めいめい快く賛同してくれた。 ◆ ◆ ◆「おお、また釣れたぞ」 昼下がり、用水路の釣りチームと森の狩りチームに分かれて食料調達に励んでいるわけだが、さっきから釣れて釣れて仕方ない。釣具は、幸いなことに近くの民家に十分な数があった。 ちなみに、釣りチームは俺、ベル、サタン、フォル、ユコ、リリス。森に詳しい猫人族の二人と、体力お化けの半野生児は狩りチームである。「ルシくんほんとよく釣る
last updateÚltima actualización : 2026-07-16
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