藤井雅也(ふじい まさや)と結婚して5年。妻の私――藤井香織(ふじい かおり)よりも、雅也が多くの時間を割いている相手は、親友の中村由佳(なかむら ゆか)だった。夫婦で通販アプリのアカウントを共有していたため、雅也が注文した荷物の配送通知も、いつも私のスマホに届いた。最近、雅也が女物をあれこれ買っていることに気づいた。最初は私へのプレゼントだと思った。もうすぐ誕生日だったので、きっと私を驚かせるつもりなのだと、少し楽しみにしていた。その日もまたワンピースが届いた。ところが、箱を開けてみると私のサイズではなかった。私はそのまま雅也のところへ行き、どういうことか聞いた。すると雅也は、何でもないことのように答えた。「ああ、それ?由佳に買ったんだ。あいつ、こういうのが好きだから」雅也が、亡くなった由佳の兄から妹のことを頼まれていたのは知っていたので、そのときはそれ以上追及しなかった。けれど、その後、家の中は赤ちゃん用品であふれ返り、しまいには雅也の上着のポケットから、お食い初めの記念カードまで出てきた。金箔のあしらわれた表紙を開くと、そこにはこう記されていた。【父 藤井雅也】【母 中村由佳】カードに並んだ二人の名前を、私はただ呆然と見つめていた。その名前を見た瞬間、これまでのことが次々と頭に蘇った。私が寝込んだときは、「由佳が落ち込んでいるから」と、私を置いて彼女のもとへ行った。私の誕生日には、由佳から電話が来るなり、振り返りもせずに出ていった。旅行先で私とはぐれたときでさえ、高山病で苦しみながら、由佳の手だけはしっかり握っていた。私と由佳のどちらかとなれば、雅也が選ぶのはいつも由佳だった。気づけば、こぼれた涙で記念カードの文字が滲んでいた。眠ったままの雅也を見ながら、私はスマホを取り出し、電話をかけた。「離婚協議書を作って。なるべく早く」……私は、家中に積み上がった通販の荷物を片づけ始めた。開けたものも、まだ開けていないものも、まとめて黒いごみ袋へ放り込んだ。1袋には入りきらず、結局2袋になった。その間にも、スマホには発送通知が次々と届いた。まだ届いていない荷物は、ひとつずつ受取拒否にした。最後の荷物も受取拒否にしたとき、玄関に置かれたカレンダーが目に入った。お食い
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