会場は一斉にどよめいた。大勢の記者が驚愕しながらカメラを構え、シャッター音が激しく鳴り響く。「詩織……やっと見つけた……2年間、ずっと捜してた……」律人は私の足元に跪いたまま、血の気を失った顔で見上げていた。人目もはばからず、声を上げて泣いていた。激しく震える両手で、擦り切れたコートの内ポケットから、分厚い書類の束を取り出した。書類は、何度も握りしめたように皺だらけだった。「詩織、見てくれ……これを見てくれ……」まるで叱られた子どものように、その公正証書を両手で頭上へ掲げた。見る影もないほど卑屈な姿だった。「俺の全資産を譲渡するための公正証書だ!東都にある不動産も、預金も、俺名義の法律書の著作権も、以前、法律事務所で稼いだ金も……すべて無条件で君に贈与する手続きを済ませた。名義は全部、君に変えてある!」律人のかすれた声が、泣き声とともに会場へ響いた。「もう何もいらない……大学も辞めた!俺が欲しいのは、君だけだ!」律人は私を見つめ、この2年間で自分がしてきたことを必死に並べ立てた。それで私の心を、ほんのわずかでも動かせると思っているようだった。「詩織、真相は全部分かった!救急外来の防犯カメラも見た……君がひとりで手術同意書に署名したことも、どれほど苦しんでいたかも分かった……美羽のメッセージも復元した!あいつがうつ病でも何でもなくて、最初から君を陥れるために仕組んだことも、全部分かったんだ!」美羽の名を口にした瞬間、律人の目に激しい憎悪がよぎった。だが、すぐに私へ功績を認めてもらおうとする卑屈な表情へ戻る。「あいつを許してはいない!詩織、俺は自分が最も得意とする法律で、美羽を地獄へ送った!あいつは一生、施設の中で強制的な治療を受け続ける。二度と外には出られない!生きているほうがつらい目に遭っている!」律人はすがるように手を伸ばし、私の裾に触れようとした。「詩織、君の仇は取った……俺たちの子どもの仇も取った!苦しみを生んだ元凶は、俺が始末したんだ!」律人は顔を上げ、涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、縋るように私を見つめた。「頼む……許してくれないか。命だって君にやる。俺と家に帰ってくれ……一緒に帰ってくれないか?」すべてのプライドを捨て、人前で跪く律人。莫大な価値を持つ資
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