All Chapters of 私の死後、冷酷な夫は絶望に泣き濡れる: Chapter 11 - Chapter 13

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第11話

ひどく酔っ払っているらしく、玄関のドアが開いた瞬間から、むせ返るような強い酒の匂いが漂ってきた。何があったのかと私たちが首を傾げる間もなく、彼は足元をふらつかせながら寝室へと直行した。そして、ベッドの傍らに安置されていた私の骨壺をきつく抱きしめると、突然、獣のように低くしゃくり上げて泣き出したのだ。幽霊の友達たちは全員、目を丸くしてポカンとしている。私も驚きのあまり、手に持っていたトランプをバサバサと床に落としてしまった。朔夜は喉の奥から唸り声を上げ、正気を失ったかのように、自分の拳を何度も激しく壁に打ち付けた。「なぜだっ! 結乃……っ! どうして、もっと早く俺に言わなかった!?どうしてこんな残酷なやり方で、俺を罰するんだ……!俺が出張から帰ったら、空港まで迎えに来てくれるって約束したじゃないか! どうして約束を破った!? どうして俺を騙したんだっ!!」やがて、彼の怒号は次第に弱々しくなり、最後にはすがるような懇願へと変わった。「ごめん……結乃、ごめんな……全部、分かったから……っ。俺が間違っていた。今までずっと、俺が間違っていたんだ。だから頼む、帰ってきてくれ……お願いだ、俺のそばに帰ってきてくれよ……っ!」朔夜は血の気の引いた真っ白な唇を小刻みに震わせながら、私の骨壺を痛いほどきつく抱きしめていた。そのあまりに惨めで卑屈な姿は、事あるごとに私を痛めつけ、雫のために全てを捧げろと強要してきたあの冷酷な男と、本当に同一人物なのだろうかと疑ってしまうほどだった。「朔夜くん……死んだ人は、もう生き返らないのよ。これ以上、自分を痛めつけるのはやめて。もし結乃ちゃんが見ていたら、きっと悲しむわ」いつの間にか、雫が寝室の入り口に立っていた。迷いのないその足取りを見る限り、彼女がこの家に出入りしているのは一度や二度ではないらしい。薄れかけていた記憶が、ゆっくりと蘇ってきた。生前、朔夜が彼女をこの家へ連れ帰ってきた日のことを。あの日、私がひどく嫉妬して彼女を追い出そうとすると、朔夜は「嫉妬深い女だ」と私を冷たく責め立てた。そして「こいつは酷く酔っているから仕方ない」と言い訳をし、私を押し切って彼女を泊めたのだ。結果として、朔夜はその夜、徹夜で彼女の看病につきっきりだった。それからというもの、雫
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第12話

「ここは俺と結乃の家だ。あいつの魂は、きっとここにいる。死んだあいつの視界に、これ以上お前という汚物を映したくない」その瞳は絶対零度よりも冷たく、そこにはもう、微塵の容赦も未練もなかった。雫は半狂乱になって泣き叫んだ。「朔夜くん、信じて! 私は本当に結乃ちゃんを殺してなんかいない! 彼女の死と私は無関係よ!!」彼女がどれだけ必死に弁明しようと、朔夜はもう一切耳を貸さなかった。「すでに警察には通報した。とっとと出て行かないなら、ここで連行されるのを待つんだな。真実がどうであれ、言い訳なら警察の取調室で存分にすればいい」彼の言葉が終わるか終わらないかのうちに。遠くから、けたたましいサイレンの音が近づいてきた。パニックに陥った雫が逃げ出す間もなく、数人の警察官が家に踏み込み、彼女の両腕を掴んで強引に連行していった。雫がどれほど泣き叫び、彼の名を喚き散らそうとも。朔夜は二度と、彼女の方を振り返ることはなかった。その結末を見届けて、幽霊の友達たちは「ざまぁみろ!」と大盛り上がりだった。「あの俺様社長、今頃死ぬほど後悔してるね! でもまあ、結乃さんの濡れ衣を晴らして、犯人を捕まえてくれたんだから少しは見直したかな」しかし、私は静かに首を横に振った。「違うの。雫は私を殺してなんかないわ。……私を殺したのは、私自身だから」朔夜と結婚したあの日から、私の心はすでに壊れ始めていた。自傷行為を繰り返し、毎日のように「死にたい」と願うようになって初めて心療内科を受診し、自分がすでに「重度のうつ病」の末期にいることを知った。医者は「心を穏やかに保ち、前向きに治療していきましょう」と励ましてくれた。けれど家に帰るたび、私を待っていたのは朔夜の冷酷な言葉の暴力と、不信感と、監禁されて強制的に血を抜かれる地獄だった。私の病状は悪化の一途を辿った。彼のもとにいては絶対に救われない。このままでは確実に殺される。そう悟った。だから、朔夜が出張から帰ってくるあの日に合わせて。私はついに、自ら命を絶つ決意をしたのだ。ただ、犬死にする気はなかった。だから私は、ひそかに計画を巡らせた。私が死んだ後、朔夜が「偶然」見つけるように仕向けたのだ。私が彼を深く愛していた痕跡と、雫が彼を騙していたという決定的な証拠を。確かに雫は私
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第13話

私は、彼を汚物でも見るかのような冷たい目で見下ろした。「もう遅いのよ、朔夜」「どうしてだ……!」彼は血走った目を真っ赤に腫らし、悲痛な声で叫んだ。「お前の仇は俺が討ったじゃないか! 俺はもう心の底から後悔している! 自分が間違っていたと認めているんだ!! どうして最後のチャンスすら与えてくれないんだ!?」狂乱して泣き叫ぶ彼の姿を見ても、私の心は驚くほど凪いでいた。「だから何?あなたが間違いを認めて、後悔して、心を入れ替えたら……私が今まで受けてきた血の滲むような痛みや絶望が、全部なかったことになるとでも言うの?」「俺は、お前を陥れた雫を……っ!」「私を地獄に突き落としたのは、彼女一人じゃないわ!!」私は彼の言い訳を冷酷に遮った。「どうして彼女だけが罰を受けて、あなたは私が許してくれるなんていう都合のいい夢を見ているの!?確かに、雫は嘘をついてあなたを騙したわ。でも、実際に私の血を抜き、私の子供を殺し、私を虐げたのは……『あなた』じゃない!! 盲目的に彼女を信じ、私の言葉に一切耳を貸さなかったのは、あなたでしょう!?結婚したあの日からずっと分かっていたわ。あなたは自分のことしか愛せない、底なしに身勝手な人間よ。九条家の後継者の座を手に入れるために私と結婚しておきながら、雫と結ばれなかったのは私のせいだと責任転嫁した。私を痛めつけて八つ当たりすることで、自分の無力さや罪悪感から目を逸らし、歪んだ安堵感を得ていたのよ。そして今だって同じ。ずっと私に暴力を振るい、私を追い詰めてきたのはあなた自身なのに。最後の最後で全部雫のせいにして、自分だけは『騙された被害者』として綺麗なままで終わろうとしている。……どの口が許してくれなんて言っているの? 朔夜」私は氷点下の眼差しで、彼を真っ直ぐに射抜いた。生前、一度たりとも彼に逆らったことのない私が、ここまで強硬な態度に出たのは初めてだったからか。彼は雷に打たれたように硬直したまま、一言も反論できずに立ち尽くしていた。私はその姿を見て、これまでにないほどの軽さと、深い安らぎを感じていた。まるで、ずっと魂を縛り付けていた見えない重い鎖が、音を立てて砕け散ったかのようだった。「……あっ! 結乃さん、体が……透けてる!」周囲を囲んでいた幽霊の友達たちが、驚いた
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