彼氏が何かにつけて私より優先する女友達、川島絵里香(かわしま えりか)が、また腹を立てた。付き合って5年の記念日に、彼氏の黒田智也(くろだ ともや)が、私――桜井千尋(さくらい ちひろ)にだけプレゼントを用意し、絵里香の分を忘れていたからだ。絵里香が泣いて騒ぎ出すと、智也はいつものように私に別れを切り出し、ブロックして友だちリストからも削除した。さらに、おそろいだったアイコンまで別のものに変えた。「絵里香って、すぐ機嫌悪くなるからさ。ちょっと機嫌取ってくるよ。千尋はいい子で待ってて。終わったら、アイコンもすぐ戻すから」私は念を押した。「これで100回目だよ」智也は笑いながら、私の唇に軽くキスをした。「分かってるって。今回は長引かせないから」その晩、絵里香がSNSにこんな投稿をした。【誰かさん、今回は上出来。特別に3日だけ自由にしてあげる】智也はすぐに私のブロックを解除した。【もう大丈夫。千尋、おそろいのアイコンに戻そう】ところが、私とおそろいのアイコンを使った男性名義のアカウントから、智也に友だち申請が届いた。続けて、こんなメッセージが送られてきた。【おそろいのアイコンって、3人で使うものなんですか?】……見覚えのない男から届いたメッセージを見ると、智也はふっと笑った。「千尋も、こんなことして俺を怒らせるようになったんだな」智也はスマホを軽く振って見せると、立ち上がって私を抱きしめた。「俺が悪かったよ。今まで99回も何も言わなかった千尋が、今回はとうとう拗ねちゃったか」「拗ねてない」私は智也を押しのけた。「本当に、私たちはもう別れたの」智也は馬鹿にするように笑い、私をぐいと腕の中へ抱き寄せた。「はいはい、俺が悪かったって。仏の顔も三度までっていうのに、千尋は99回も許してくれたんだ。さすがの俺だって、そろそろ本気で謝らないとまずいって分かってるよ。だから今回は、ちゃんと千尋に許してもらいに戻ってきたんだ」そう言って、智也は私の目の前に箱を差し出した。蓋を開けると、中にはピジョンブラッドと呼ばれるルビーが12石、きれいに並んでいた。「去年の今頃、サンライズ・ルビーを買ってくれた人と結婚するって言ってたよな。12石で、ちょうど12か月分だ。この1年分の俺の頑張
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