「ファミリーレストラン《りんごの木》」 白雪ましろ――私は、木でできた看板に書かれた文字を読み上げた。 ファミリーレストランといえば、いくつか有名なチェーン店が思い浮かぶのだが、ここは個人経営の小さな小さなお店だ。 白い壁に木のドア、赤い屋根が可愛らしい。まるで絵本に出てくるお家のような店構えだ。 私は緊張しながら、ゆっくりとお店のドアを開く。カランカランとドアベルが店内に鳴り響き、椅子を運んでいた男の人がこちらをくるりと振り返った。「いらっしゃいま……。おや、 ましろさん」 見た目は30歳くらい。眠たそうな目にメガネをかけていて、背がとても高い。そして黒色のふわふわしたくせっ毛は、私やお母さんの髪とそっくりだった。「こっ、こんにちは! りんごおじさん、今日からよろしくお願いします!」 ガチガチに固いままペコリとお辞儀をすると、ポニーテールの髪の端っこが顔にかかって、少しくすぐったかった。「連絡をくれたら、駅まで迎えに行ったのに。よく来れましたね。場所が分かりにくくありませんでした?」 「地図を見て、なんとか……。人にも聞きました」 「そうでしたか。偉かったですね。僕の方こそ、ぜひよろしくお願いします」 りんごおじさんはにこりと優しく微笑むと、赤色のエプロンを外しながら歩み寄って来た。近づくとますます背の高さを実感させられ、彼を見上げる私の首は痛くなってしまった。「家は、ここのちょっと先にあるんですよ。一緒に行きましょう。……アリス君、しばらくお留守番をお願いできますか?」 りんごおじさんが言うと、アリス君と呼ばれた高校生くらいのお兄さんが、「大丈夫っす」とお店の奥から返事をした。羨ましいくらいサラサラとしたきれいなチョコレート色の髪だ。けれど、目つきが悪くて少し怖い。 アリス君にも慌ててお辞儀をすると、私の代わりに大きなキャリーバッグを引いてくれるりんごおじさんを追いかけて、急いでお店を出た。 本当はどんなお店なのか気になっていたけれど、仕方がない。りんごおじさんは私のために仕事を中断して、新しい家へ案内してくれるのだ。これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。 そう。私は今日から、おとぎ町に住んでいるりんごおじさんこと、白雪凛悟《しらゆきりんご》さんと一緒に暮らすのだ。りんごおじさんは、私のホゴカントクセキニンシャというやつらしい
Huling Na-update : 2026-10-13 Magbasa pa