ブラックサンドでの交渉は、予想していた以上に危険なものだった。廃港の倉庫に籠もり、私はサラザールと十数人の武装した手下を相手に、6日間にもわたって一歩も引かない対峙を続けた。何度となく、銃口を額に突きつけられた。それでも最後には、私が持っていた最後の切り札を使ってサラザールに署名させた。その直後、街では対立していた組織同士が突然殺し合いを始め、激しい銃撃戦が勃発した。私と共に来た護衛たちは、私を逃がすため、一人、また一人と倒れていった。私は頑丈なコンクリートの遮蔽物の陰に身を隠した。飛び散った破片が腕を切り裂き、血がたちまちトレンチコートを真っ赤に染めていく。凍えるように冷たい壁に背を預けながら、私は暗号化された通信端末を起動した。署名済みの協定書を撮影し、サン・セラーノへ送信する。プログレスバーが少しずつ伸びていく間も、銃弾がトタン屋根を激しく叩き続けていた。銃弾の開けた穴からは、銃口から放たれる閃光が激しく明滅している。その瞬間、私の中に記憶が一気に押し寄せてきた。凍える冬の夜になっても、決して修理されることのなかった孤児院の廊下の明かり。あの古びたアパートで、ジュリアンと一皿のパスタを分け合ったクリスマス。あまりにも早く生まれ、保育器の中で息をしていた我が子。小さな指は、ただの一度も私の指を握る力すら持っていなかった。書斎でヴィットリオが、あの古い懐中時計を私の手のひらに押し込んでくれたときの温もり。そして、肖像画の中にいる父の瞳――私とまったく同じ瞳だった。画面に文字が表示された。【送信完了】協定書がファミリーのもとへ届いた、その瞬間――私が身を隠していた場所を塞いでいた鉄くずの扉が蹴破られ、銃を構えた男たちが一斉になだれ込んできた。私は血で汚れたコートの襟を静かに整え、目を閉じた。降り注ぐ銃弾を受け入れる覚悟を決めたそのとき、轟音が倉庫中に響き渡った。エンジンの爆音が、倉庫の波板を震わせる。何台もの黒い防弾車が、まるで獰猛な獣の群れのような勢いで壁を突き破り、倉庫内へ突入してきた。直後、激しい制圧射撃が始まった。サン・セラーノでも最凶と恐れられる殺し屋たちが次々と車から降り、残っていた敵を数秒のうちに片付けていく。そして、私を中心にして隙のな
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