日が暮れかけた頃。恒一と怜奈が、笑顔で帰ってきた。二人は顔を見合わせると、息ぴったりで、きれいに包装された箱を差し出した。中に入っていたのは、私がずっと探していた、大好きなピアニスト・ルイスの廃盤レコードだった。怜奈が私の肩を抱く。「どう?私、いい親友でしょ?これ、海外までツテをたどって、苦労してやっと見つけたんだから」そう言ってから、怜奈は恒一に目を向け、私に顎をしゃくった。「恒一なんて、ものすごい大金を払って、コレクターからやっと買い戻したんだよ。この彼氏、なかなかやるでしょ?」そう言いながら、肘で私を軽くこづく。恒一も、満面の笑みを浮かべている。いつものように、私が喜んで飛びついてくるのを待っているのだろう。私は二人を淡々と見つめた。そして、肩に回されていた怜奈の腕を、そっと振りほどく。「ちょっと疲れたから、今日は帰りたい。荷物をまとめて、もう帰ろう」恒一と怜奈は、同時に固まった。二人は戸惑ったように顔を見合わせる。たちまち、場の空気が重くなった。美咲が私の服の裾を引っ張り、無邪気に顔を見上げる。「おばちゃん、もう美咲と遊んでくれないの?」その腕に抱かれているのは、最新モデルのバービー人形だった。胸の奥が、きゅっと締めつけられる。「美咲、いい子にしててね。今度のお休みに、また遊びに来るから」そう言って、私は振り返り、家の中へ入って親戚たちに別れを告げた。帰りの車では、私は自分から後部座席に座った。乗り込むなりシートに身を預け、目を閉じる。車内には重苦しい沈黙が漂い、誰も口を開かなかった。しばらく走ったところで、助手席に座っていた怜奈が振り返った。探るような口調で尋ねてくる。「莉央、今日どうしたの?具合でも悪い?」私はゆっくりとまぶたを開いた。「今日、いろいろ考えたの。ちょっと疲れただけ」怜奈はそれを聞くと、ほっとしたように息を吐いた。「もう、びっくりした。私と恒一が何かして、莉央を怒らせたのかと思ったわ」私は口元だけをわずかに歪めた。それ以上は何も言わず、ただ静かに彼女を見つめる。怜奈は私の視線に耐えられなくなったのか、気まずそうに前を向いた。そして今度は、恒一に声をかける。「恒一、街に戻ったら、やっぱり莉
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