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彼氏と親友が屋根裏で嫌らしいかくれんぼを
彼氏と親友が屋根裏で嫌らしいかくれんぼを
Author: 氷なしで甘さゼロ

第1話

Author: 氷なしで甘さゼロ

日が暮れかけた頃。

恒一と怜奈が、笑顔で帰ってきた。

二人は顔を見合わせると、息ぴったりで、きれいに包装された箱を差し出した。

中に入っていたのは、私がずっと探していた、大好きなピアニスト・ルイスの廃盤レコードだった。

怜奈が私の肩を抱く。

「どう?私、いい親友でしょ?

これ、海外までツテをたどって、苦労してやっと見つけたんだから」

そう言ってから、怜奈は恒一に目を向け、私に顎をしゃくった。

「恒一なんて、ものすごい大金を払って、コレクターからやっと買い戻したんだよ。

この彼氏、なかなかやるでしょ?」

そう言いながら、肘で私を軽くこづく。

恒一も、満面の笑みを浮かべている。

いつものように、私が喜んで飛びついてくるのを待っているのだろう。

私は二人を淡々と見つめた。

そして、肩に回されていた怜奈の腕を、そっと振りほどく。

「ちょっと疲れたから、今日は帰りたい。

荷物をまとめて、もう帰ろう」

恒一と怜奈は、同時に固まった。二人は戸惑ったように顔を見合わせる。

たちまち、場の空気が重くなった。

美咲が私の服の裾を引っ張り、無邪気に顔を見上げる。

「おばちゃん、もう美咲と遊んでくれないの?」

その腕に抱かれているのは、最新モデルのバービー人形だった。

胸の奥が、きゅっと締めつけられる。

「美咲、いい子にしててね。今度のお休みに、また遊びに来るから」

そう言って、私は振り返り、家の中へ入って親戚たちに別れを告げた。

帰りの車では、私は自分から後部座席に座った。

乗り込むなりシートに身を預け、目を閉じる。

車内には重苦しい沈黙が漂い、誰も口を開かなかった。

しばらく走ったところで、助手席に座っていた怜奈が振り返った。

探るような口調で尋ねてくる。

「莉央、今日どうしたの?具合でも悪い?」

私はゆっくりとまぶたを開いた。

「今日、いろいろ考えたの。ちょっと疲れただけ」

怜奈はそれを聞くと、ほっとしたように息を吐いた。

「もう、びっくりした。私と恒一が何かして、莉央を怒らせたのかと思ったわ」

私は口元だけをわずかに歪めた。

それ以上は何も言わず、ただ静かに彼女を見つめる。

怜奈は私の視線に耐えられなくなったのか、気まずそうに前を向いた。

そして今度は、恒一に声をかける。

「恒一、街に戻ったら、やっぱり莉央の誕生日を祝えるところ探そうよ。

だって、この6年間、毎年三人で一緒に誕生日を過ごしてきたんだもん」

その言葉を聞いた瞬間、三人で過ごしてきたこれまでの日々が、次々と脳裏に蘇った。

目頭が、じんと熱くなる。

それでも私は、冷えきった声で答えた。

「いいよ。家に帰って寝たい」

だって、今日が終われば、私はもう、彼氏も親友も失うのだから。

ずっと黙っていた恒一が、私の拒絶を聞いたら、車を路肩に寄せて停めると、声を荒げる。

「莉央、いい加減にしろよ。今日はお前の誕生日だろう?

せっかく祝いに来たのに、ずっとその仏頂面、なんだよ。

俺たちが何をしたっていうんだよ!」

いかにも自分が正しいとでも言いたげな恒一を見て、私はうんざりして、眉間を揉んだ。

「そうね。あなたの言う通り、私、気分屋だから。

もう別れよう」

そう言って、私は車のドアを開け、そのまま降りた。トランクから荷物を取り出す。

すると恒一も車を降りてきた。

「俺がお前なしじゃ無理だと思ってんの?

別れるって言えばいつも俺が謝ると思ってるだろ?」

そう言いながら、ポケットから箱を取り出し、地面に叩きつけた。

箱の中から、ダイヤモンドの指輪が転がり出る。陽光を受け、冷たい光を放っていた。

「莉央。今日ここで帰るなら、俺たちは本当に終わりだ」

怜奈が慌てて駆け寄り、私の手を取った。

「莉央、ちょっと待ってよ!

恒一、今日は本当は莉央にプロポーズするつもりだったんだよ」

恒一は目を赤くして、顔をそむける。

まるで、自分こそこの世で一番傷ついた人間だとでも言いたげだった。

鼻の奥がつんと痛む。

喉の奥が焼けるように熱くなった。吐き出してしまえば楽になるのに、それを許したら負けだと、爪が掌に食い込むほど拳を握った。

そして最後に一度だけ、二人を見た。

これ以上、互いの尊厳を傷つけずに終わらせたいんだ。

私は怜奈の手をそっと振りほどいた。

スーツケースを引きずり、振り返ることなく、その場を立ち去った。

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