スマホの読み上げ機能が、無機質な声で理穂の投稿を読み終えた。続いて、写真も添付されていると告げられた。けれど、私は何も見えない。もう、完全に視力を失っている。だから、二人の関係を疑っても、自分の目で確かめることすらできないのだ。夏だというのに、ウェディングドレスを着ている私は肌寒く感じてしまう。手探りで歩きながら、理穂と将司を探す。二人を見つけて、直接問いただすつもりだ。けれど、扉の枠に手が触れた瞬間、少し離れた場所から理穂の笑い声が聞こえてきた。「将司、二人の誓いの言葉を見せてよ」紙を取り上げる音がする。そして、理穂が声に出して読み始める。「俺はこれからも君の目になる。愛している。君は俺の足枷だ」周囲から笑い声が上がる。将司も、笑いながら言う。「勝手に変えるなよ。怜が怒ったら、また機嫌を取らなきゃ」すると、理穂の声がふいに低くなる。「本当に彼女と結婚するの?」将司は少し沈黙した。「怜は俺を助けようとして目を失ったんだ。もう10年以上ずっと一緒にいる。式の準備だって、ここまで進んでるし、俺が責任を取るしかないだろ」長い間、何も見えない世界で生きてきたせいか、耳は人一倍鋭くなっていた。理穂が将司の腕を引き、少し離れた場所へ連れていく気配がする。そして、泣きそうな声で言う。「昨日のことも、ちゃんと責任を取ってくれるよね」理穂は少し間を置いて、続けて言う。「私、まだ痛いんだから」やはり。昨夜、二人の間に何かあった。スタッフに呼ばれ、そろそろ会場へ向かう時間だと告げられる。ドレスの裾を強く握りしめ、爪が手のひらに食い込む。自分がひどく滑稽に思えた。「責任なら、もちろん取るさ」将司が優しい声で答える。「だって理穂は、俺の体をこんなふうにした、悪い女だからな」理穂が甘えるように笑い、将司の胸を軽く叩く音がする。「私が悪い女?違うわよ。将司を一生縛りつけてるのは、怜のほうじゃない」「わかってるよ。理穂に言う『悪い女』は、愛情表現みたいなものだから」そういうことか。将司が私に言っていた「悪い女」という言葉には心底からの嫌悪が込められていたのだ。6歳の時、私は将司と一緒に拉致された。危険な目に遭った将司を助けようとして、私は目を傷つけられ、視力を失った。けれど将司にとっ
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