All Chapters of 私の誕生日に、恋人は別の女へプロポーズした: Chapter 11 - Chapter 14

14 Chapters

第11話

私の言葉を聞くなり、悠人は床で泣いていた子供を抱き上げ、そのままDNA鑑定を受けに行こうとした。ところが、美咲が顔色を変えて悠人の腕をつかんだ。「待って、行かないで!柚希ちゃんは私に嫉妬して、私たちを別れさせようとしてるだけなのに、どうしてあの子の言うことを信じるの?私は今まで悠人を裏切ったことなんてないのに、DNA鑑定までするなんて、そんなに私のことが信じられない?」悠人は動きを止め、美咲の手を振りほどこうとはしなかった。ここで鑑定をやめさせるわけにはいかなかった。何より、真相を知った悠人がどんな顔をするのか見てみたかった。「水原さん、ずいぶん慌ててるね。調べられたら困ることでもあるの?」周りの人たちも、鑑定したほうがいいと言い始めた。美咲は私をにらんだものの、何も言い返せなかった。結局、悠人はDNA鑑定を受けることにし、私も2人と一緒に、鑑定を扱うクリニックへ向かった。数日後、鑑定結果が届いた。報告書に目を通した悠人は、それを床に叩きつけ、美咲の頬を張った。「本当に俺の子じゃなかったのか?お前……最初から俺を騙してたのか!」美咲は赤くなった頬を押さえたまま、鼻で笑った。「ええ、騙したわよ。でも、あなたが勝手に信じ込んだんでしょう?もう隠す必要もないから教えてあげる。私はとっくに結婚してるし、この子は夫との子よ。あなたと一緒にいたのも、お金が目当てだったから。そうじゃなきゃ、最初から相手になんてしてないわ」悠人はしばらく何も言えず、美咲をにらんでいた。「だから入籍の話になると、いつもはぐらかしてたのか。最初から俺と結婚する気なんかなかったんだな!ふざけるな!結婚のために500万以上も渡して、妊娠中の生活費や通院費だって200万以上出したんだぞ。今すぐ全部返せ!」美咲は、詰め寄ってきた悠人を押し返した。「勝手に払ったのはそっちでしょ。今さら返せなんて言われても、知ったことじゃないわ」ずっと思い続けてきた相手から、金づるにすぎなかったと言い切られ、悠人はとうとう怒りを抑えきれず、美咲につかみかかって何度も頬を打った。「金を返さないなら、ただじゃ済まさないぞ!」何度も頬を打たれ、美咲は口元から血を流し、顔もひどく腫れ上がっていた。美咲は怒りに任せて悠人の急所を思い切り蹴り上げた。
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第12話

あれ以来、悠人は新しい番号から何度も電話をかけ、メッセージを送りつけては、しつこく復縁を迫ってきた。【柚希、本当にごめん。今さらって思うかもしれないけど、もう一度だけやり直したいんだ】【会いたい。柚希がいない毎日なんて、もう耐えられない。頼むから戻ってきてくれ】もちろん、返事をする気はなかった。今さら何を言われても遅い。届いたメッセージを削除し、その番号もブロックした。悠人とやり直すつもりなど、少しもなかった。これでさすがに諦めると思っていたのに、今度は家まで押しかけてきた。ある日、仕事を終えて家に戻ると、玄関前に悠人が立っていた。「悠人?どうしてここにいるの?」悠人は私を見るなり駆け寄り、懐からいちごミルクを取り出して差し出した。「柚希、これ。好きだっただろ?冷たいのは苦手だったから、少し温めておいたんだ」その言葉に、付き合い始めたばかりの頃を思い出した。あの頃、悠人は仕事帰りの私を迎えに来るたび、いちごミルクを用意してくれた。冷たいものが苦手な私のために、いつも懐に入れて少し温めてくれていたのだ。けれど、一緒に暮らすようになってからは、いつの間にかそんな気遣いもなくなった。私も、いちごミルクを口にしなくなっていた。差し出されたいちごミルクは同じでも、私たちはもう、あの頃の2人ではなかった。私が何も言わずにいると、許してもらえると思ったのか、悠人は私の手を握り、すがるように見つめてきた。「柚希、今まで本当に悪かった。自分がどれだけひどいことをしたのか、やっとわかったんだ。美咲に騙されていたとはいえ、柚希を傷つけたことに変わりはない。虫のいい話だってわかってる。それでも、もう一度だけやり直せないか?今度こそ大切にするから」私は冷たく言い返した。「もういい。そんなことを言ったって無駄よ。私を愛してるから来たんじゃなくて、美咲に捨てられたから、私ならまだ受け入れてくれると思っただけでしょ。何を言われても、やり直すつもりはないわ。もう諦めて」悠人はなおも食い下がろうとしたが、私はうんざりして、その手を振りほどいた。「離して。気持ち悪い」私がどうしても首を縦に振らないとわかると、悠人は急に声を荒らげた。「柚希、俺がここまで言ってやってるのに、いつまで意地を張るつもりだよ!中絶
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第13話

「川島柚希さんですね。小暮修平(こぐれ しゅうへい)です。今日はよろしくお願いします」「こちらこそ、よろしくお願いします」そう答えながら修平の顔を見ていると、どこかで会ったことがあるような気がした。けれど、いつどこで会ったのかは思い出せなかった。「よかったら、好きなものを頼んでください」修平がメニューをこちらへ寄せてくれた。何を頼もうかとメニューを開いたとき、突然、悠人が私たちの席へやって来た。「柚希、どういうつもりだ。俺の彼女のくせに、ほかの男と見合いなんかしてるのか?」突然の怒鳴り声に、店中の視線がこちらへ集まった。客たちは食事の手を止め、何事かと私たちを見ていた。私が反論する前に、悠人は私の腕をつかんで席から引っ張り出し、そのまま店の外へ連れていこうとした。「帰るぞ!」私はつかまれた腕を振りほどこうとした。「離して。私たちはもう別れたでしょ!」けれど悠人は、私の腕をさらに強くつかんだ。「俺は別れたつもりなんてない。勝手に終わったことにするな。柚希、子供のことでまだ怒ってるんだろ。でも、俺たちならやり直せるし、子供だってまたできる。だから、もう意地を張るのはやめろ」その言葉に、向かいに座っていた修平が思わず口を挟んだ。「子供って……妊娠していたんですか?」すると悠人は私の肩を抱き寄せ、修平に向かって言った。「そうだよ。こいつ、俺の子を妊娠してたんだ。それなのに、俺がほかの女と親しくしてたのが気に入らなくて、腹いせに中絶した。そこまでするくらい俺に惚れてるんだよ。わかったら、さっさと帰れ。俺たちの邪魔をするな」店内がざわつき、近くの客たちは私を見ながら、ひそひそと話し始めた。中には、修平に聞こえるように忠告する客までいた。「悪いことは言わないから、その人はやめておいたほうがいいよ」「かなり訳ありみたいだし、関わらないほうがいいんじゃない?」修平は何も言わず、眉をひそめた。それを見た悠人は小さく鼻で笑い、私の耳元へ顔を寄せた。「お前が結婚する相手は、俺しかいない。何をしても、絶対に逃がさないからな」私がどんな思いで子供を諦めたのかも知らず、悠人はそのことを、自分が愛されている証拠のように話していた。あまりの言い草に吐き気がした。肩に回された悠人の腕を振りほどこ
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第14話

「甘いものを食べると、少しは気分も晴れるらしいよ。今日は私がごちそうするから、遠慮せず好きなものを頼んで」私は修平に微笑んだ。「その……さっきから、いろいろありがとう」修平は少し目を細めた。「私にまで他人行儀だね、ゆず」ゆず?その呼び方を耳にした瞬間、私ははっと顔を上げ、修平を見つめた。さっきまでは、まともに顔を見る余裕がなかった。けれど改めて見ると、その目元には昔の面影がはっきりと残っていた。間違いない。何年も前に海外へ行った幼なじみの修平だった。私たちは幼い頃から一緒に育ち、大学へ進学するまでは、どこへ行くにも2人一緒だった。けれど高校を卒業したあと、修平は家族の都合で海外へ移ることになった。あまりにも急な話で、ゆっくり別れを惜しむ時間さえなかった。海外へ移ってからは少しずつ連絡が減り、いつしか完全に途絶えてしまった。やがて悠人と付き合うようになると、悠人のことばかり考えるようになり、修平を思い出すこともほとんどなくなった。けれど、こうして向かい合って話し始めると、離れていた時間が嘘のようだった。子供の頃の話で盛り上がり、気づけば時間を忘れて話し込んでいた。しばらくして、修平がまっすぐ私を見つめた。「ゆず。私は昔からずっと君が好きだった。よかったら、これからは恋人として君のそばにいさせてくれないかな?」けれど、今の私にはその気持ちに応えられなかった。「修平くん、気持ちはうれしい。でも私、まだ失恋したばかりで、自分の気持ちも整理できてないの。そんな状態で付き合うのは、修平くんに失礼だと思う」修平は昔のように、私の頭をぽんぽんと撫でた。「答えを急がなくていい。君が前を向けるまで、ゆっくり待つよ。もう20年以上も想い続けてきたんだ。あと数年くらい、どうってことないよ」その後も嫌がらせを繰り返した悠人は、名誉毀損や業務妨害で逮捕され、実刑判決を受けたそうだ。一方、修平は私を急かすことなく、変わらず思いを伝え続けてくれた。修平との再会を知った両親と遼介も大喜びし、何かと口実を作っては私たちを2人きりにして、背中を押してきた。修平と一緒に過ごす時間が増えるにつれ、私も自然と修平を意識するようになった。そして、15回目の告白で、私はようやく修平の気持ちに応えた。それから間もなく
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