将吾は、手のひらを少し擦りむいているだけだった。「俺は平気だよ」彼は笑顔で私を見つめた。そこでようやく、私は駿斗へ目を向けた。彼はかなりの怪我を負っていた。腕にも脚にも包帯が巻かれている。駿斗は私を見つめ、必ず自分の味方をすると確信した口調で言った。「俺はこんな目に遭わされたんだぞ。お前はこんな男と付き合うのか?」私は将吾を振り返った。彼は何か言おうと口を開いたものの、結局何も言わなかった。そのまま目を伏せ、まるで判決を待つ罪人のように立っている。以前の私なら、駿斗がどんな騒ぎを起こしても、必ず彼の後始末をしていた。けれど、今はもう違う。私の愛情は、愛する価値のある人に注ぎたい。「彼が、理由もなくあなたを殴るはずがないでしょう?あなたが彼の会社へ押しかけて騒がなければ、殴られることもなかったはずよ」将吾は、褒めてもらった子犬のようだった。その瞳が一気に輝く。彼は駿斗を見ると、勝ち誇ったように眉を上げた。私はおかしくなり、将吾の手を取った。「行こう」背後から駿斗の声が聞こえた。「......俺がこんなに怪我してるのに、面倒も見てくれないのか?」私は振り返らず、病院の入口で目を赤くして立っている未鈴を見た。「あなたの面倒を見てくれる人なら、ほかにいるでしょう」――お正月の家族の集まりは、私が将吾を正式に恋人として柳井家へ連れていく初めての機会だった。彼はひどく緊張していた。前の晩から、柳井家へ行くときはグレーと黒、どちらのネクタイを締めるべきか悩んでいたほどだ。「もう......お父さんとお母さんに会うのは、初めてじゃないでしょう?」「でも、君の恋人として会うのは初めてだから。やっぱりきちんとしておきたいんだ」翌日、彼はグレーのネクタイを選んだ。それは、私が買ってあげたものだった。食卓では、駿斗が険しい顔で誰とも口を利こうとしなかった。一方の将吾は、次第に口数が増えていった。養父とも楽しそうに話が弾んでいる。「春花、将吾さんとの結婚式の準備はどうなっているの?」養母が尋ねた。「ほとんど終わってるよ。あとは衣装を決めるだけ」「そう。二人が幸せに暮らしてくれることが、何より大切だからね」私は笑って頷いた。「駿斗から聞
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