車内の空気は、焼けつくように熱かった。私ははっと目を覚ました。汗が目に入って視界がぼやけ、喉は焼けるように乾いて痛んでいた。口を開けて息を吸おうとするが、肺に流れ込んでくるのは熱風ばかりだ。窓の外からは、突き刺さるような日差しが降り注いでいる。ドアは固く閉ざされている。私はドアノブに手を伸ばした。ガチャ。ピクリとも動かない。チャイルドロックがかかっているのだ。窓の外へ目をやると、父と母が陽斗の両手を繋ぎ、遊園地の入口へと向かって歩いていた。陽斗の手には、買ってもらったばかりのアイスクリームがある。私は必死で車の窓を叩いた。「お母さん!お父さん!」声はガラガラにかすれ、弱々しく響くだけだ。分厚いガラスが、私の叫びをことごとく遮断している。両手を握りしめ、バン、バン、バンッって窓ガラスを殴りつけた。手のひらが激痛で痺れる。ふと、母が足を止め、車の方へと振り返った。私はなりふり構わず手を振った。だが母は眉をひそめ、父に向かって口を開いた。唇の動きで、何を言っているのか分かってしまった。「あの子ったら、どうせ車の中でエアコンに当たっていたくて降りてこないんでしょ。ほっときましょ。陽斗を連れて遊びに行きましょ」父は振り返りもせず、陽斗を軽々と抱き上げた。「放っておけ。出てこられて水を差されるよりマシだ」陽斗は父の肩越しに、車内の私を見つめていた。両手に持った二つのアイスを持ち上げ、あっかんべーと舌を出した。意地悪な顔をつくり、口元がこう動いた。「あつくなってしんじゃえ」仲睦まじい3人家族の背中は、そのまま遊園地の入口の向こうへと消えていった。車内の温度は、今この瞬間も上がり続けている。外気温40度で、屋外駐車場は遮るものが何もない。黒いルーフに直射日光が容赦なく照りつけ、車内はまるでオーブンのように熱気を溜め込んでいく。めまいと吐き気で、意識がグラグラと揺れる。今朝、39度の高熱を出していた私は、家で休ませてほしいと母に懇願した。しかし母は、私の掛け布団を勢いよく引っぺがしたのだった。「こんな真似をしてどういうつもりよ!今日陽斗が遊園地に行くのに、あなたが行かなきゃ誰が荷物を持つの?今まで誰のおかげで飯が食えて服が着られてると
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