All Chapters of 二度目の人生、兄と婚約者にさよならを: Chapter 11

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第11話

颯太は、菫と出会った頃のことを思い出していた。当時の彼女は、まだ一介のアシスタントにすぎなかった。質素な服を着て、化粧っ気のない素顔には、白百合を思わせるような清らかさがあった。高級ブランドに興味を示すこともなければ、見栄を張ることもない。そんな飾り気のない雰囲気に、颯太は強く惹かれた。この人こそ運命の相手だと、本気で信じていたのだ。だが、菫はそんな颯太の想いを鼻で笑った。「お金に興味がない人間なんて、いるわけないでしょ?あなたにお金がなかったら、私が近づくわけないじゃない。そんなこと、本気で信じていたの?笑わせないで。あなたはここで一人、惨めに生きていけばいいのよ」彼女は乱れた服を整えると、そのまま部屋を出て行こうとした。この首の傷を見せれば、修司はきっと同情してくれる。うまくいけば、修司との関係も元に戻せるかもしれない。そんなことを考えながら扉へ向かった、その瞬間だった。扉を開けた菫の行く手を、二人の警察官が塞いだ。「1月15日に発生した藤原家への住居侵入および傷害事件の件で、あなたに容疑がかかっています。署までご同行ください」菫の顔色が、みるみるうちに変わった。「ち、違う……私、関係ない!」その背後から、颯太の怒鳴り声が響く。「お前か……!俺をここまで落ちぶれさせたのは、お前だったのか!母と枝里にまで手を出したのも、お前だったのか!」捜査が進むにつれ、事件の全貌は次第に明らかになっていった。犯行グループは、もともと藤原家に強い恨みを抱いていた。彼らの会社は颯太によって倒産に追い込まれ、両親はその衝撃で脳出血を起こして倒れた。すぐに病院へ運び込まれたものの、手術費も入院費も工面できず、家族は途方に暮れていた。菫はその窮状につけ込んだ。見舞いを装って彼らのもとを訪れ、治療費を渡す代わりに、すべては枝里が裏で颯太を焚きつけたせいだと吹き込んだ。そうして彼らの怒りを藤原家へと向けさせ、憎しみを煽っていった。それだけじゃない。藤原家に侵入する日時や場所まで、菫が細かく指示していたことも判明した。取調室でも、菫は声を枯らして容疑を否認し続けた。だが、動かぬ証拠の前では、どんな言い逃れも通用しない。犯行グループの供述。菫とのやり取りの記録。さらに、彼らへの送金記録――
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