「早川美緒(はやかわ みお)さん、どうかご安心ください。犯人を見つけるため、全力を尽くします」車まで送ってくれた警察官たちは、みな真剣な顔をしている。私はなんとか笑みを作り、うなずいた。運転手は何度もこちらを振り返り、しばらくしてから小さくため息をついた。ティッシュを差し出すと、穏やかな声で尋ねる。「お嬢さん、何かあったんですか?」こぼれそうになる涙をこらえ、どうにか体の震えを抑える。私は小さな声で答えた。「子どもに、ちょっと……」「えっ、ご主人は?どうして1人で警察に来たんですか?こういうときは男の人がそばにいてくれたら、少しは心強いでしょうに」運転手の言葉に、こらえていた涙がまたあふれた。胸を締めつけられるように苦しく、息が詰まる。そうだ。夫は、どこにいる?息子が死んだとき、夫は香奈の妊婦健診に付き添っていた。お腹の子は自分の子でもないのに、悠真よりも大切にしていた。死ぬ間際、電話の向こうで泣き叫んでいた悠真の声が、今も耳から離れない。「ママ、助けて!ママ!」すぐに、犯人の冷たい声が続く。「仕方ないね、坊や。君の家族には、ちゃんとチャンスをあげたんだから」そのあと……頭がひどく痛み始めた。めまいが波のように押し寄せる。ほどなく家に着いた。どうにか車を降り、ふらつく足で玄関まで歩いて、暗証番号を押す。1回、2回、3回……【暗証番号が違います】視界がかすんでいく。どの数字を間違えたというのだろう。0326。息子の誕生日だ。4回目の入力をしようとしたとき、ドアが内側から開いた。よろめいて倒れそうになりながら顔を上げると、そこには得意げな香奈がいた。血の気のない私の顔を見下ろし、鼻で笑う。「かわいそうなふりをして、どうするの?遼介は昨夜、ひと晩ずっと病院で私に付き添ってくれたの。今は寝てるから、そんな顔をしたって誰も見てないわよ。ああ、そうだ。玄関の暗証番号、私がなかなか覚えられないから、遼介が変えてくれたの。0811。お腹の子の出産予定日よ」言い終えると、香奈はさっさと家の中へ戻っていった。私を見下すためだけに、ドアを開けに来たようだった。唇をきつく噛みしめる。悲しみより先に、怒りがこみ上げてきた。大股で追いつくと、香奈の髪をつかんで玄関へ引っ張った。「ここ
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