穏やかな青い海原に一隻の船が浮かんでいた。そこに近付く小さなボート。 ふわりとした髪を手早く纏めあげると、鈴峯 蓮花は緊張した面持ちでボートから船へ乗り込んだ。「雨宮博士 ! 」「レン ! 来てくれたのね ! 」 作業員に混ざり、一人の白衣を纏った中年女性が顔を上げてパッと明るい笑みを浮かべた。「久しぶり ! 結婚してから連絡無いからさぁ〜。 鈴峯会長との新婚生活はどう ? 」「ええ、彼もしっかりしてますし」「はぁ〜♡いいわねぇ。わたしには縁遠い生活だわぁ。お養父さんは ? 」「父は……手術が間に合わなくて……」「え ? でも、まだ転移もしてなかったって……早期発見だったんじゃなかったの ? 」「わたし研究資金につぎ込んだり、世界中行き来して勉強したりせいで。お金には無茶をし過ぎて……父がこんなことになるなんて」「そう……。そうだったのね。 鈴峯会長は ? ……その……余裕があったんじゃないの ? 」「……彼も軌道に乗ったばかりですし……流石にその時はまだ」 気まずそうに話す蓮花の姿に、雨宮博士も納得するしか無かった。「そう。大変な時期に……来てくれて良かったわ。 はぁ……わたしの彼氏はコレになりそうよ」 そう言うと、雨宮博士が眼鏡のフレームを上げ、覗き窓の着いた金属ケースを見下ろす。「これが…… !? 」「そう」 雨宮博士と蓮花。 二人がケースの中を覗き、眉を寄せる。「我が旭飛研究所が鈴峯グループの援助を受け宇宙に放った探査ロケット。 帰還したサンプルポッドが見つかったのは、まさかの鯨の胃の中」「限界まで小型化しましたからね。鯨が飲み込むのも無理はありません。 でもこれは……」 カプセルは本来、研究所へ持ち帰るまで開封しないはずだが、ケースの中にはカプセルポッドからチラチラと出入りする赤紫色の生き物がへばりついていた。「なんだと思う ? 」
Última actualización : 2026-09-14 Leer más