夫に捨てられた私は 終末世界最強の男と 人類最後の希望になりました

夫に捨てられた私は 終末世界最強の男と 人類最後の希望になりました

last updateÚltima actualización : 2026-09-14
Por:  神木セイユActualizado ahora
Idioma: Japanese
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亡き養父を金銭的な問題で救えなかった蓮花。夫の鈴峯 透が当時「余裕はない」と言ったにも関わらず、後輩の桐生 杏に大金を注ぎ込んでいた事を知る 更に蓮花の勤める旭飛研究所が発見した未知の生命体ASTERを、透は鈴峯研究所で独占してしまう。鈴峯研究所でASTERは独自進化を遂げ、人体へ侵食してしまうのだ。 かつて世界的にも名の知れた研究者の蓮花──Ren.takigawa──は夫との決別を選択。 蓮花は混乱の最中、以前挨拶を交わした医療グループのCEO 御影 燎と偶然再会する。蓮花がワクチン精製出来ることを知った燎は研究施設の提供を申し出る。 だがワクチン精製にはASTER-0を手に入れなければならないのだった。

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Capítulo 1

0.プロローグ〜未知の来星〜

 穏やかな青い海原に一隻の船が浮かんでいた。そこに近付く小さなボート。

 ふわりとした髪を手早く纏めあげると、鈴峯 蓮花は緊張した面持ちでボートから船へ乗り込んだ。

「雨宮博士 ! 」

「レン ! 来てくれたのね ! 」

 作業員に混ざり、一人の白衣を纏った中年女性が顔を上げてパッと明るい笑みを浮かべた。

「久しぶり ! 結婚してから連絡無いからさぁ〜。

 鈴峯会長との新婚生活はどう ? 」

「ええ、彼もしっかりしてますし」

「はぁ〜♡いいわねぇ。わたしには縁遠い生活だわぁ。お養父さんは ? 」

「父は……手術が間に合わなくて……」

「え ? でも、まだ転移もしてなかったって……早期発見だったんじゃなかったの ? 」

「わたし研究資金につぎ込んだり、世界中行き来して勉強したりせいで。お金には無茶をし過ぎて……父がこんなことになるなんて」

「そう……。そうだったのね。

 鈴峯会長は ? ……その……余裕があったんじゃないの ? 」

「……彼も軌道に乗ったばかりですし……流石にその時はまだ」

 気まずそうに話す蓮花の姿に、雨宮博士も納得するしか無かった。

「そう。大変な時期に……来てくれて良かったわ。

 はぁ……わたしの彼氏はコレになりそうよ」

 そう言うと、雨宮博士が眼鏡のフレームを上げ、覗き窓の着いた金属ケースを見下ろす。

「これが…… !? 」

「そう」

 雨宮博士と蓮花。

 二人がケースの中を覗き、眉を寄せる。

「我が旭飛研究所が鈴峯グループの援助を受け宇宙に放った探査ロケット。

 帰還したサンプルポッドが見つかったのは、まさかの鯨の胃の中」

「限界まで小型化しましたからね。鯨が飲み込むのも無理はありません。

 でもこれは……」

 カプセルは本来、研究所へ持ち帰るまで開封しないはずだが、ケースの中にはカプセルポッドからチラチラと出入りする赤紫色の生き物がへばりついていた。

「なんだと思う ? 」

「ポッドの損壊は激しくないですね。鯨が飲み込んだだけでは開きませんし、そもそも海上に墜ちてすぐに海底へ沈む重さです」

「そう。鯨が見つけたのはタイミングなのかコレが何か……誘き寄せたりしたのかどうか。海洋学者の伊藤くんもさっきまで来てたんだけど……既知の分野では考えられないものである、としか。あの様子だと関わりたくないって感じね」

「つまり……海の生き物では無さそうですね……」

「そう言う事。それでも海で見つかったら我先に研究したがるのが普通だけど、流石の伊藤くんもドン引き。

 とにかくラボに戻って、分析を進めるしかないわ。まさかこんなモノを付けて戻ってくるなんて予想してなかったし、現場は混乱してる」

 ケースの中で粘膜を出しながら動く奇妙な生命を見詰め不穏な空気に変わっていく。

 そこへ船上員の一人が駆け寄ってきた。

「雨宮博士、会長からお電話が」

「え…… ? 」

 これには蓮花が驚いて顔をあげる。

「夫から ? 」

「あら、レン。会長はここに来ているのを知ってるの ? 」

「いいえ。知らないはずです。わたしがプロジェクトに関わっていたのも知らないはずですし、何より今は休職中ですし」

「……変ね……」

 雨宮博士は船内に入り、数分後には顔面蒼白で戻ってきた。

「雨宮博士 ? 」

「鈴峯会長は……。これを自分の鈴峯研究所へ引き渡すように要求してきたわ」

「えっ !? これは旭飛グループの探査機ですよ ? 鈴峯研究所より設備も揃ってるのにどうして ! 」

「……契約上、共同研究の上、出資の割合から考えても断れないと思うわ。回収ポッドの中身は分配権があって、当然出資の多いところがその分を手に入れる規約もあるから」

「これは回収ポッドの中身とは言いきれませんよ。砂や石と違うんですよ ? 」

「分かってるわ。旭飛もこのヘンテコ君の存在で大混乱。サッと隠して隠蔽工作して……なんて映画みたいにはいかないものね。

 特にスポンサー兼共同研究の鈴峯研究所には連絡を入れない訳にもいかず──今や鈴峯研究所の権力は恐ろしいくらい。旭飛グループに選択権は存在しないわね」

「鈴峯研究所に、こんな得体の知れないものを渡すなんて……。まだ研究員も成長途中に見えます」

「レン。鈴峯研究所で現場復帰をしてみたら ? 」

「いえ……。あの、わたしは……。実は夫に旭飛グループの社員でも、事務員だったと嘘を……」

「事務員 ? ……どういうこと ? 貴女ほど優秀な研究者がどうして……」

「夫の鈴峯研究所の方針は、わたしの考え方と合わなそうだし……父の看病も優先したかったので、つい当時は嘘を……」

「そう……研究方針かぁ。これを独占する気だもの、先が思いやられるわね。

 どちらにせよ……この奇妙な生命体が、地球にとって有益なものである事を願うだけだわ」

「本当に全て譲るんですか ? サンプルとして少し切除して、手元に残すべきです」

「ええ。抜かりないわよ」

 そう言い、雨宮博士が別のケースを開ける。

 目の前のポッドの中身が、多岐に渡る数多くの試験管に厳重保管されていた。

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0.プロローグ〜未知の来星〜
 穏やかな青い海原に一隻の船が浮かんでいた。そこに近付く小さなボート。  ふわりとした髪を手早く纏めあげると、鈴峯 蓮花は緊張した面持ちでボートから船へ乗り込んだ。「雨宮博士 ! 」「レン ! 来てくれたのね ! 」 作業員に混ざり、一人の白衣を纏った中年女性が顔を上げてパッと明るい笑みを浮かべた。「久しぶり ! 結婚してから連絡無いからさぁ〜。  鈴峯会長との新婚生活はどう ? 」「ええ、彼もしっかりしてますし」「はぁ〜♡いいわねぇ。わたしには縁遠い生活だわぁ。お養父さんは ? 」「父は……手術が間に合わなくて……」「え ? でも、まだ転移もしてなかったって……早期発見だったんじゃなかったの ? 」「わたし研究資金につぎ込んだり、世界中行き来して勉強したりせいで。お金には無茶をし過ぎて……父がこんなことになるなんて」「そう……。そうだったのね。  鈴峯会長は ? ……その……余裕があったんじゃないの ? 」「……彼も軌道に乗ったばかりですし……流石にその時はまだ」 気まずそうに話す蓮花の姿に、雨宮博士も納得するしか無かった。「そう。大変な時期に……来てくれて良かったわ。  はぁ……わたしの彼氏はコレになりそうよ」 そう言うと、雨宮博士が眼鏡のフレームを上げ、覗き窓の着いた金属ケースを見下ろす。「これが…… !? 」「そう」 雨宮博士と蓮花。  二人がケースの中を覗き、眉を寄せる。「我が旭飛研究所が鈴峯グループの援助を受け宇宙に放った探査ロケット。  帰還したサンプルポッドが見つかったのは、まさかの鯨の胃の中」「限界まで小型化しましたからね。鯨が飲み込むのも無理はありません。  でもこれは……」 カプセルは本来、研究所へ持ち帰るまで開封しないはずだが、ケースの中にはカプセルポッドからチラチラと出入りする赤紫色の生き物がへばりついていた。「なんだと思う ? 」
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1.夫婦二人で歩む道
 あれから三年後── 爽やかな秋晴れの空の下、蓮花とその夫、鈴峯 透《すずみね とおる》は霊園へ訪れていた。 墓石に刻まれた『滝川』とは、蓮花の旧姓であり、その墓に眠るのは三年前に病で無くなった養父である。「お父さん……」 仏花を手にしたまま未だ癒きっていない蓮花の手を離し、透は手提げ桶の水を掬い、持参した雑巾で綺麗に墓石を拭い始める。「ほら、綺麗にしてあげないと」 透に促され、蓮花も小石の隙間から伸びた雑草を抜き取る。「早いものだね。俺にあの時、手術費を工面する甲斐性があったら……」 そう言い、透は自分を責め続けている。「透さんのせいじゃあ……わたしがそもそも仕事に追われて……」「仕方ないさ。旭飛の社員とはいえ、高給取りの研究者達とは扱いが違うんだから」「……そう。ただのお茶汲み要員だったしね」「真面目に働いてたんだ。お父さんも文句なんか言わないさ。 それにあの時蓮花の援助がなかったら、俺も鈴峯研究所を軌道に載せられなかった」 当時、透の立ち上げた鈴峯研究所は蓮花の貯蓄まで切り崩し、ようやく立ち上げた新進気鋭の研究所だった。 その頃同時に婚約をし、後に鈴峯研究所は見る見る間に力を付けていった。 そして例の、未知の生命体の研究が始まると一躍脚光を浴び、透自身もメディアや化学雑誌に引っ張りだこの生活を送っていた。「そう……ね。確かに、あの頃のわたしたちは全てのタイミングがズレてて……。間に合わなかった……」「人生って、そういうものなのかもな。でも、蓮花。大事なのは俺たちがお父さんの死を受け入れ、忘れないで感謝する事さ」「透……。そうね」 透は手を洗い流すと、蓮花の肩を抱き寄せ真っ直ぐと墓標を見上げた。「お
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2.幸せのすぐそばで
「……これなら人前で使っても……。でも高いかなぁ……いや、もうそういう物を持つのが相応しい立場だし……」 蓮花は一人、老舗の判子屋で高級万年筆が売られているのを目にして悩んでいた。 持ち手が象牙で出来たシックで一点物の美麗な万年筆。 透も最早、誰に紹介しても恥ずかしくない男になった。 付き合いたて当時、安定した環境、収入で研究に打ち込んでいた蓮花からみて、社会人になりたてのまま彷徨っているようにみえた。 とにかく起業に研究所を選ぶのは茨の道で、まず必要なのは金、金、金。疲弊しきった頃、最終試験のように襲ってくるのが人脈の有無。 透は一代でそれを築き上げた成功者である。「うん。これにしよ ! 」 来週の結婚記念日のプレゼントとして、蓮花はこの万年筆を選んだ。 結婚当初はマンションも無理をして買った。 今はその分を取り戻す期間。 あまりに無理をしたせいか、養父の治療にかかった費用の半分も蓮花は未だ貯蓄出来ていない。 透も勿論そうだろう。 メディア露出は多いものの、知名度が上がっても収入源の研究所は発見から開発までそう短期間とはいかないもので、更に今は最重要機密情報を有する研究所となってしまった。 研究がどうなっているかなど、蓮花でさえ透の口から聞けないのが現状だ。 あの未知の──後にASTERと名付けられた──謎の生命体の搬入を境に、鈴峯研究所は要塞に変貌してしまった。 清潔感のある明るい未来をイメージしたフロント内装から一転、対爆庫のように分厚く重々しい物に取って変わった。「ラッピングはサービスです。何か、袋にお入れしますね」「ありがとうございます ! 」 華やかなリボンが見え隠れする小さな紙袋を提げ、次はケーキショップへ足を運ぶ。「透はチョコレートケーキ、お義母さんはレアチーズケーキだったわね。わたしはミルクレープがいいかなぁ」 ショップの取っ手に指をかけた瞬間、背後を救急車が一台通過していく。ガラスに写る赤色灯の数に、蓮花は思わず振り返って路上を見る。 遠くから、もう一台の救急車が右折していくのが見え、その後続車も緊急車両が何台も列をなし、蓮花の目の前を通っていく。荒々しいサイレンが頭の中までジリジリと揺れるような大きな音を立てていく。 蓮花はぼんやりと店の中に入ると、店員もまた目を丸くし、窓の外を見ていた。「なん
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