それは志望校を決めるときの話だった。担任は遠方のさらにレベルの高い大学に挑戦するよう勧めてきた。「この大学も素晴らしいと思うが、君の成績なら申し分ない。選択肢はいくらでもあるぞ」私は志望校の調査票を見つめ、最終的には地元の難関国立大学を第一志望に記入した。祖父たちの家からそう遠くないからだ。新幹線で1時間ちょっとの距離。祖母の膝が痛んだり、祖父の具合が悪くなったりした時、すぐに駆けつけられると思ったのだ。週末に時間が空けば、帰省して一緒にご飯を食べることだってできる。担任は少し意外そうだった。「本当にこれでいいのか?」私は頷く。「はい」彼はしばらく私を見つめていたが、やがて笑みを浮かべた。「まあいいだろう。大学も申し分ないし、学部も素晴らしい。結城君自身が納得しているなら、それでいい」……合格通知書が届いた日、祖父はわざわざ綺麗な服に着替えてから配達員を出迎えた。封筒を受け取る時、彼はまるでとてつもなく高価なものを扱うように、うやうやしく受け取っていた。祖母が傍らでしきりに急かす。「早く開けておくれよ」祖父は彼女を睨みつけた。「何を慌ててるんだ。こんな大事なもの、紬自身に開けさせなきゃダメだろうが」私はハサミで封を切り、中から合格通知書を取り出した。エンジ色の立派な表紙。そこには、私の名前がしっかりと印字されていた。結城紬。自分の名前を見つめていると、不意に心の底から安堵感が湧き上がってきた。この何年間、私はずっと「誰かが自分に居場所を与えてくれる」のを待っていたような気がする。両親が私に1本の鍵をくれるのを。彼らが、私もまた娘であると思い出してくれるのを。あの家が、私のために1つの明かりを灯して待っていてくれるのを。けれど今、私はついに自らの力で、自分の道を切り開いたのだ。その後、大学から連絡があった。入試成績が極めて優秀だったため、授業料が全額免除される上に、新入生向けの特別奨学金まで給付されることになったのだ。私はそのことを祖母に伝えた。彼女はぽかんと呆気にとられていた。「本当にタダになるのかい?」私は頷いた。「おまけに奨学金ももらえるよ」祖父が傍らでポンと膝を打った。「でかした!よくやった!」彼は
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