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12 Chapters

第11話

それは志望校を決めるときの話だった。担任は遠方のさらにレベルの高い大学に挑戦するよう勧めてきた。「この大学も素晴らしいと思うが、君の成績なら申し分ない。選択肢はいくらでもあるぞ」私は志望校の調査票を見つめ、最終的には地元の難関国立大学を第一志望に記入した。祖父たちの家からそう遠くないからだ。新幹線で1時間ちょっとの距離。祖母の膝が痛んだり、祖父の具合が悪くなったりした時、すぐに駆けつけられると思ったのだ。週末に時間が空けば、帰省して一緒にご飯を食べることだってできる。担任は少し意外そうだった。「本当にこれでいいのか?」私は頷く。「はい」彼はしばらく私を見つめていたが、やがて笑みを浮かべた。「まあいいだろう。大学も申し分ないし、学部も素晴らしい。結城君自身が納得しているなら、それでいい」……合格通知書が届いた日、祖父はわざわざ綺麗な服に着替えてから配達員を出迎えた。封筒を受け取る時、彼はまるでとてつもなく高価なものを扱うように、うやうやしく受け取っていた。祖母が傍らでしきりに急かす。「早く開けておくれよ」祖父は彼女を睨みつけた。「何を慌ててるんだ。こんな大事なもの、紬自身に開けさせなきゃダメだろうが」私はハサミで封を切り、中から合格通知書を取り出した。エンジ色の立派な表紙。そこには、私の名前がしっかりと印字されていた。結城紬。自分の名前を見つめていると、不意に心の底から安堵感が湧き上がってきた。この何年間、私はずっと「誰かが自分に居場所を与えてくれる」のを待っていたような気がする。両親が私に1本の鍵をくれるのを。彼らが、私もまた娘であると思い出してくれるのを。あの家が、私のために1つの明かりを灯して待っていてくれるのを。けれど今、私はついに自らの力で、自分の道を切り開いたのだ。その後、大学から連絡があった。入試成績が極めて優秀だったため、授業料が全額免除される上に、新入生向けの特別奨学金まで給付されることになったのだ。私はそのことを祖母に伝えた。彼女はぽかんと呆気にとられていた。「本当にタダになるのかい?」私は頷いた。「おまけに奨学金ももらえるよ」祖父が傍らでポンと膝を打った。「でかした!よくやった!」彼は
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第12話

母は私のその一言を聞いて、ようやく肩の荷が下りたように息を吐いた。帰る時、彼女は何度も振り返って私を見た。私は庭の入り口に立ったまま、追いかけることはしなかった。かといって、後ずさりすることもしなかった。私と彼らの間には、ようやく「適切な距離」が見つかったような気がする。決して近くはない。だがもう、互いに傷つけ合う必要もない距離だ。……出発の日。まだ空が白み始めたばかりだというのに、祖母はもう起きていた。台所でせわしなく立ち回り、卵焼きとおにぎりを作っている。祖父は私のキャリーケースを何度も何度も点検した。「合格通知書は入れたか?キャッシュカードは?充電器は忘れてないか?」私は笑った。「おじいちゃん、それ聞くのもう5回目だよ」彼はフンと鼻を鳴らした。「これから1人で暮らすんだ、用心するに越したことはない」祖母が、食べ物の詰まった袋をキャリーケースのポケットに押し込んだ。「これは途中で食べなさい」私は中を覗き込んだ。卵焼き、おにぎり、牛乳、それに綺麗に洗われたフルーツ。私は言った。「おばあちゃん、新幹線の中で駅弁とか売ってるから大丈夫だよ」彼女は返す。「外で買うものが、家の味に敵うわけないだろう」私はそれ以上何も言わなかった。ただ、その袋を丁寧にしまい直した。家を出る前、私は一度自分の部屋に戻った。ベッドはすでに綺麗に整頓されている。勉強机の上のデスクライトはそのまま。壁に貼られた賞状もそのままだ。窓辺には、祖母が野花を空き瓶に生けてくれていた。黄色と白色の、どこにでも咲いているありふれた花。でも、とても綺麗だった。私はキャリーケースを引きながら入り口に立ち、その光景を長く見つめた。この部屋は、長い間私に寄り添い続けてくれた。小さかった私が、これから大学へ進学するまでに成長する日々を。深夜まで必死に勉強する姿を。1人でこっそり涙を流す姿を。そして、合格通知書を握りしめて笑う姿を知っている。これから先、私は色々な場所へ行くだろう。大学の学生寮で一人暮らしを始める。新しい机を買い、新しいベッドで眠り、新しい友人を作る。けれどこの部屋は、いつでも私のために明かりを灯して待っていてくれるのだ。外で祖母が呼ぶ
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