リビングには弱いフロアライトだけが残っていた。寝室の扉は固く閉ざされ、温もりをすべて遮っていた。果てのない孤独と疲労、胸の痛みが一気に押し寄せ、宗介の意識は少しずつ薄れ、やがて深い眠りに沈んだ。夢の中で時が巻き戻り、朔也がまだ元気に笑っていた頃に戻った。会社が軌道に乗り、寝る間も惜しんで働く必要がなくなった頃だった。宗介も時間を作り、妻や息子と過ごすようになっていた。週末になると、千景と朔也を車に乗せて出かけた。車内にはいつも甘い果物の香りが漂い、後部座席には朔也の好きなおもちゃや絵本が積まれていた。幼い朔也は、柔らかな髪を頭の上でちょこんと結び、千景の腕の中にすっぽり収まっていた。「パパ」「ママ」と何度も呼ぶ、舌足らずな愛らしい声が車内を満たした。春の郊外には花が咲き乱れ、家族三人で芝生に座ってピクニックをした。千景は果物の皮をむいて一口大に切り、朔也に渡した。それから笑顔で宗介を振り返った。その眼差しは優しかった。朔也は宗介の服を引っ張り、肩車をしてほしいとせがんだ。宗介がかがんで肩に乗せると、子どもの澄んだ笑い声が響いた。これ以上ないほど満ち足り、穏やかな気持ちだった。こんな何げない幸せが、この先もずっと続くと信じていた。たった一度の激しい口論が、すべてを壊すなどとは思いもしなかった。それは、ある日の午後に起きた。その日、宗介は商品化を前提にまとめたデザイン案を持ち帰った。千景は目を通すと、利益を優先しすぎて、二人がジュエリー作りを始めた頃の理念を失っているとはっきり指摘した。互いに譲らず、車の中でも言い争いが続いた。千景は真剣な口調で、一つずつデザインの問題を説明し、案を修正するよう求めた。だが当時の宗介は、プロジェクトの利益に目を奪われていた。千景は頑固で融通が利かず、市場との折り合いを理解していないとしか思えず、苛立ちを募らせた。口論は次第に激しくなり、刺々しい言葉が車内に響き渡った。宗介は怒りに任せてブレーキを強く踏み、人気のない路肩に乱暴に車を止めた。「どうしても、このデザインにこだわるつもりか?」冷たい声を投げつけ、感情を抑えられなくなっていた。宗介はドアを開けて路肩に出た。千景も目を赤くして車を降りた。二人は車体を挟んで背を向け、それぞれ頭を冷やそうとした。怒りに我を忘れ、後部座
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