宗介は今、あの頃とよく似た色合いの石を選び、職人に教わりながら、自分の手で一から仕上げた。不慣れな作業で、手にはまた細かな傷がいくつも増えていた。そうして昔のものによく似たペンダントを完成させ、ブランドの展示スペースの入口で千景を待っていた。宗介がそのペンダントを首にかけようと手を伸ばした瞬間、千景は反射的に半歩後ろへ下がった。明らかに距離を置き、苛立ちをにじませながら言った。「宗介、何度も言ったでしょう。こんな無意味なことは、もうやめて。私はとっくに欲しくなくなったの」どれほど心を尽くしても、返ってくるのは冷たい拒絶だけだった。毎日のようにつきまとわれ、千景もついに我慢の限界を迎えた。これ以上、生活をかき乱されたくなかった。そこで携帯番号を変え、スタジオにも入退室管理を導入した。以後、関係者以外は立ち入れないようにした。宗介は千景に連絡することも、近づくこともできなくなった。焦りと絶望は胸の中で膨らみ続けた。以前、千景がふと、一度バンジージャンプをしてみたいと話したことがあった。だが当時の宗介は、仕事が忙しい、危険だと、そのたびに断り、一度も付き添わなかった。追い詰められた宗介は、一人で車を走らせ、郊外のバンジージャンプ施設へ向かった。数十メートルの高さにあるジャンプ台には強い風が吹きつけ、眼下には激しい川の流れがあった。スタッフが安全器具を装着した。周囲は宗介も刺激を求めて来た客だと思っていた。だが宗介の胸にあるのは、千景に許してもらいたいという執念だけだった。ジャンプ台の縁に立ち、カメラに向かって声を張り上げた。叫び声は強風に引き裂かれた。「千景!俺が間違っていた!もう一度、俺を見てくれ!今回だけは許してくれ!」叫び終えると、宗介は台を蹴り、真っ逆さまに落ちていった。居合わせた客が撮った動画をSNSに投稿すると、わずか数時間でトレンドの最上位に上がった。動画には、宗介が取り乱して叫び、飛び降りる姿が映っていた。二人の離婚、息子の死、朋花の嘘をめぐる騒動が再び掘り返され、ネット上では、この常軌を逸した復縁騒ぎについて賛否入り乱れた議論が巻き起こった。動画が広まったその夜、宗介は全身の痛みも、力の入らない脚も顧みず、足を引きずりながらタクシーで千景のブランドの展示スペースへ駆けつけた。
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