「この3年間、支えてくださった榊教授に心から感謝しています。今日、この賞をいただけたのも……」壇上の莉央を見上げる怜司は、誇らしさを隠しきれずにいた。周囲からは、羨むような声が漏れ聞こえてくる。「榊教授ってば、あのときも三崎先生をかばい通したもんね。義理のお母さんが手術台で死にかけたのに、責任を問わなかったんだから」「それだけじゃないよ。教授の強力なバックアップのおかげで、三崎先生はうちの病院の賞を総なめにしている。理想のカップルだよね」気づいたときには、頬は冷たい涙で濡れていた。私のために必ず責任を取らせると誓った夫は、まるで花を慈しむように、あの子を大切に守り育てていたのだ。壇上から下りた莉央は、急にひどく傷ついたような顔をして、怜司の胸へ飛び込んだ。「まだ3年も前のことを言ってくる人がいるの。怜司さんも、私が悪いと思う?」怜司は彼女の髪を愛おしそうに撫でながら慰めた。「ばかだな。あの件はお前のせいじゃない。俺がついてるんだから、誰にも文句は言わせないさ。あんなことより、お前が楽しく過ごせるほうが大事なんだ。俺がいるから、気にするな」莉央が感激して何度も涙を拭うそのそばで、私の心はすっかり打ち砕かれていた。母が寝たきりになってからの3年間、私はずっとふさぎ込み、薬に頼ってどうにか今日まで生きてきた。そんな私を心配して、怜司は飲み込んだ睡眠薬を何度も吐かせてくれた。「怖がらなくていい。俺がいるから」あのときと同じ言葉が、今はひどく空々しく響いた。問いただそうと一歩踏み出した矢先、莉央が恥じらうように避妊具を怜司の白衣のポケットへ忍ばせたのが見えた。「受賞のお祝いだから、今日は5回してもいいよ。途中でやめてなんて言わないから」怜司の喉仏が動き、その顔にかすかな欲がにじんだ。結婚を控えた頃、怜司は【性欲低下】の診断書を私に見せ、「結婚しても、満足させられないかもしれない。それでもいいか、よく考えてほしい」と言っていた。それでも予定どおり結婚し、どうにか彼を喜ばせようとあれこれ試したが何をしても駄目で、8年間で体を重ねたのは数えるほどしかなく、ひどいときには寝室から追い出されることさえあったのだ。親密に寄り添う2人を見ているうちに、うっかりスマホを落としてしまった。振り向いた怜司の顔には明らかな動揺
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