บททั้งหมดของ 「妹の呪いを代わりに受けろ」と婚約者に命じられましたので、王都を捨てます ~記憶を失う私に、辺境公爵だけが「忘れても、何: บทที่ 11 - บทที่ 20

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第11話 姉なのだから

第11話 姉なのだから王都からの召還を断った翌日の午後、もう一通の手紙が砦へ届いた。今度は王家の紋章ではなかった。見慣れた蝋印。アーヴェル伯爵家のものだった。「お父様から……」リゼットは客室の机に座り、封筒を手にしたまま、しばらく開けることができなかった。昨日、アルベルトへの返書を書いた時よりも怖い。王子からの命令なら、まだ身構えることができる。けれど家族からの言葉は、もっと近い。近いからこそ、簡単に心の奥へ入り込んでくる。窓の外では、北方の乾いた風が庭木を揺らしていた。机の端には、ヴァルドと一緒につけている革張りの帳面が置いてある。昨日の頁を開けば、『怖いと言った。それでも自分で戻らないと決めた』そう書いてある。自分で決めた。確かに昨日はそう思った。しかし、たった一日でその決意が揺らぐこともある。リゼットは自嘲気味に笑った。「本当に、弱いのね」誰も答えない。しばらくして意を決し、封を切った。父の字だった。幼い頃から何度も見てきた、几帳面で癖の少ない文字。最初には、体調を案じる言葉が書かれていた。旅先で不自由していないか。金銭は足りているか。セインフェル公爵家へ迷惑をかけていないか。そこだけ読めば、娘を心配する父親の手紙だった。それが余計につらい。続きを読む。『お前がこれまで祈紡ぎとして多くの負担を背負っていたことを、父として軽く考えていた部分があったことは認める。今ま
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-25
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第12話 助けたいのと、犠牲になりたいのは違います

第12話 助けたいのと、犠牲になりたいのは違います父からの手紙が届いた翌朝、リゼットは珍しく食堂へ姿を見せなかった。眠っていたわけではない。むしろ、いつもよりずっと早く目が覚めていた。窓の外がまだ薄暗いうちからベッドを出て、顔を洗い、着替えも済ませ、それから机の前へ座ったまま動けなくなっていた。目の前には、昨日の手紙がある。『お前は姉なのだ』その一文だけが、何度読んでも目に入る。昨日はヴァルドと話し、少しだけ整理できたと思っていた。姉だからではない。自分が助けたいから、ミレイユを助ける。そう決めた。帳面にも書いた。それなのに、朝になったらまた不安になっている。「人間って、本当に面倒ね……」自分のことなのに、他人事のように呟いた。昨日分かったはずのことが、今日になればまた分からなくなる。気持ちというものは、一度整理したら棚へしまっておける書類のようにはいかないらしい。リゼットは父の手紙を畳んだ。その隣に革張りの帳面を置く。昨日、自分で書いた言葉。『姉だからではなく、私が助けたいから、ミレイユを助ける方法を探す』嘘ではない。けれど、それだけなのだろうか。本当に。自分はただ、妹を助けたいだけなのだろうか。胸の奥に、もっと見たくないものがある気がしていた。扉が叩かれたのは、その時だった。「リゼット様、お目覚めでしょうか」マーサの声だった。「はい」扉を開けると、マーサは朝食の盆を持って立っていた。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-26
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第13話 公爵夫人になればいい

第13話 公爵夫人になればいい異変が起きたのは、北方の古い呪術記録を調べ始めて三日目の朝だった。リゼットは資料室で、数十年前に使われていた土地浄化の術式を書き写していた。隣の机ではヴァルドが領内報告を読み、時折、こちらの紙へ目をやっている。「公爵様」「何だ」「先ほどから三回ほど、こちらをご覧になっていますよね」「見ていない」「では、何を見ているのですか?」「窓だ」「窓は私の後ろです」「なら、その辺りだ」「ずいぶん雑な言い訳ですね」ヴァルドは無言で報告書へ目を戻した。リゼットは小さく笑う。この数日で、二人の距離感は奇妙なくらい変わっていた。親しいと言い切るほどではない。まして恋人でもない。けれど、以前のように一つ一つ言葉を選んで相手の機嫌を窺うことは減った。ヴァルドも、リゼットの「大丈夫です」をそのまま信じない代わりに、必要以上に何かを命じることもしなくなった。それが心地よかった。「この術式、面白いです」リゼットは古文書を指差した。「呪滓を完全に消すのではなく、いくつかの地点へ分けて流す方式になっています。もし同じ原理を使えるなら、ミレイユの呪いも一人で全部引き受けなくて済むかもしれません」ヴァルドが報告書から顔を上げた。「確実か」「そこまでは言えません。ただ、考え方としては使えると思います」「なら術師にも見せろ」「はい」リゼットは少し嬉しくなった。まだ方法は見つかっていない。それでも、自分以外の道を探している。以前なら、
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-27
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第14話 契約結婚の条件

第14話 契約結婚の条件「では、まず婚姻期間について決めましょう」法務官の言葉に、リゼットは目の前に置かれた書類へ視線を落とした。ほんの少し前まで、自分は北方へ逃げてきただけの伯爵令嬢だった。それが今は、公爵家の応接室で「結婚後の取り決め」について話し合っている。しかも相手は、数日前に街道で出会ったばかりの北方公爵だ。人生というものは、もう少し段階を踏んで変わるものだと思っていた。少なくとも朝食の時点では、自分が今日中に結婚を決めるとは夢にも思っていなかった。「リゼット」ヴァルドに名前を呼ばれ、我に返る。「聞いているか?」「聞いています」「今、明らかに別のことを考えていただろう」「少しだけです」「その少しは信用しないことにした」「公爵様は最近、私に対して疑い深すぎませんか?」「君が何度も『大丈夫』『少しだけ』『何でもない』を乱用した結果だ」言い返せない。リゼットは小さく息を吐き、書類へ向き直った。法務官が咳払いをする。「では、改めまして。今回の婚姻は正式なものとして届け出ます。ただし、お二人の間では別途契約を交わし、一定の条件が満たされた場合に離婚手続きを行えるようにする。それでよろしいですな」「はい」リゼットが答える。ヴァルドも頷いた。「条件とは、王太子との婚約関係が正式に解消されること。それから、王家がリゼットへ強制的な召還を行えない法的な立場が整うこと。この二つでいい」「基本的には」法務官はペンを走らせる。「ただし、婚姻後すぐ離婚というわけにもいきません。政治的には、少なくとも一定期間は夫婦として存在していた
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-28
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第15話 私の夫は、とても不機嫌でした

第15話 私の夫は、とても不機嫌でした婚姻が正式に成立したのは、日が沈んでから間もなくのことだった。砦付きの法務官と司令官が証人となり、必要な書類へ署名をし、セインフェル公爵家の印章が押された。王都にある中央登記局への正式な届けは翌朝早くに早馬で送られることになったが、領内法と貴族法の双方に照らして、ヴァルド・セインフェルとリゼット・アーヴェルの婚姻そのものは、その場で成立した。つまり。ほんの数日前まで王太子アルベルトの婚約者だったリゼットは、その夜から北方公爵夫人になった。実感は、まるでなかった。「……終わったのですね」法務官が書類を片づけるのを眺めながら、リゼットは小さく呟いた。ヴァルドが隣から答える。「何が」「結婚です」「始まったんじゃないのか」その言い方に、リゼットは目を瞬いた。「そうですね」形式だけとはいえ。終わったのではない。今日から始まるのだ。一年か、あるいはもう少し短い期間かもしれない契約結婚が。法務官が最後の一枚を革袋へ収めた。「それでは、公爵閣下、公爵夫人。改めまして、ご婚姻おめでとうございます」リゼットの背筋が固まる。公爵夫人。自分が呼ばれたのだと理解するまで、一拍遅れた。「……ありがとうございます」どうにか答える。隣を見ると、ヴァルドもどこか居心地が悪そうだった。「閣下も何かおっしゃってはいかがですかな」「何を」「新妻へ」「今、必要か?」法務官が呆れた顔をする。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-29
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第16話 夫婦の寝室問題

第16話 夫婦の寝室問題翌朝。リゼットは、食堂へ入った瞬間から何となく空気がおかしいことに気づいた。マーサが妙に機嫌よく笑っている。ノエルもこちらを見るたび、何か言いたそうな顔をしている。ロイスに至っては、傷のためまだ身体を庇いながら食事をしているくせに、リゼットとヴァルドを交互に見て、露骨に笑いを堪えていた。「……何ですか?」リゼットが席へ着きながら尋ねる。ロイスが慌ててパンへ齧りついた。「何も言ってませんよ」「言っていなくても、顔がうるさいです」「閣下の影響を受けてきましたね」「誰の顔がうるさい」向かいに座っていたヴァルドが低く言う。ロイスはすぐ姿勢を正した。「閣下ではありません」「なら誰だ」「俺です」「自覚があるなら黙って食え」「はい」あまりにも素直な返事に、リゼットは少し笑った。だが、やはり何かある。マーサまで楽しそうにこちらを見ている。「マーサさん」「はい」「何かありますよね」「何か、と申しますと?」「皆さん、今朝から様子が変です」「そうでしょうか」「はい」リゼットはヴァルドを見る。「公爵様も気づいていますよね」「ああ」「では、何なのですか」ヴァルドは黙って紅茶を飲んだ。嫌な予感がする。「公爵様?」「食事が終わってから話す」
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-30
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第17話 あなた、笑うと普通なのですね

第17話 あなた、笑うと普通なのですね夫に寝相を知られた翌朝ほど、顔を合わせづらいものはない。少なくともリゼットは、そう思った。昨夜までは、同じ部屋で眠ること自体に緊張していたというのに、朝になってみれば問題は別のところへ移っている。寒さで布団を蹴飛ばし、そのたびにヴァルドが掛け直してくれたという事実が、思った以上に恥ずかしかった。しかも、その話を扉の外にいたマーサに聞かれた可能性が高い。「リゼット様、今朝はずいぶん暖かそうなお召し物でございますね」朝食の席でマーサに微笑まれた瞬間、リゼットは確信した。聞かれている。「……北方は寒いですから」「ええ。夜中にお布団がなくなっても大丈夫なように、暖かくしておいた方がよろしいかもしれませんね」「マーサさん」「はい?」「聞いていましたね」「何のことでございましょう」全く悪びれない。向かい側ではヴァルドが無言で紅茶を飲んでいる。助けを求めるように見たが、目を合わせようともしない。「公爵様」「何だ」「何だ、ではありません。少しくらい助けてください」「私にどうしろと」「否定するとか」「事実を?」ひどい。リゼットは睨んだ。「公爵様だって、昨日は耳が赤かったではありませんか」ヴァルドが咳き込んだ。ロイスがパンを喉へ詰まらせそうになり、ノエルは露骨に下を向いた。マーサだけが平然としている。「なるほど」「マーサ」ヴァルドの声が低くなる。「何も
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-01
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第18話 妹から届いた手紙

第18話 妹から届いた手紙その手紙は、王家の紋章も、アーヴェル伯爵家の正式な封蝋も使われていなかった。午後の資料整理を終えた頃、ノエルが「リゼット様宛てです」と持ってきたのは、淡いクリーム色の封筒だった。宛名の文字を見た瞬間、リゼットは息を止めた。見覚えがある。昔より少し細くなった文字。けれど、間違えようがない。「……ミレイユ」名前を口にすると、向かいで報告書を読んでいたヴァルドが顔を上げた。「妹か」「はい」リゼットは封筒を持ったまま動けなかった。心臓が速い。父からの手紙よりも、王都からの召還状よりも怖かった。ミレイユから直接手紙が来るとは思っていなかった。あの日。王宮の治療室で。泣きながら「死にたくない」と言った妹。あれから何を考えたのだろう。自分を恨んでいるだろうか。当然だと思う。姉には助ける力がある。それなのに、見捨てて北へ逃げた。そう受け取られても仕方がない。「開けないのか」ヴァルドが尋ねる。リゼットは小さく息を吐いた。「怖いです」以前なら、そんなことは言わなかった。今は少しだけ言える。「何が書いてあるか」「そうか」ヴァルドはそれ以上言わなかった。開けとも、後にしろとも。リゼットは封筒を見る。逃げても内容は変わらない。ゆっくり封を切った。中には
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-02
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第19話 それでも妹を助けたい

第19話 それでも妹を助けたいミレイユを北へ呼ぶ。昨夜、ヴァルドが口にした時には、それまで見えなかった道が突然開けたように思えた。けれど翌朝になり、リゼットが紙へ必要なことを書き出してみると、その道には思っていた以上に多くの障害が並んでいた。第一に、ミレイユ自身の体調。第二に、王都から北方までの長距離移動。第三に、父と母の許可。第四に、王家、とりわけアルベルトが彼女を王都から出すことを認めるか。第五に、北方へ来たところで、本当に別の治療方法が見つかる保証はない。書き出した項目を見つめているうちに、昨日までの期待が少しずつ現実の重さへ変わっていった。「……簡単ではないわよね」一人で呟く。当然だ。妹を一人、王都から北方へ連れてくれば済む話ではない。ましてミレイユは今、呪いに侵されている。健康な人間でも数日の移動は身体に負担がかかる。馬車を乗り継ぎ、悪路を通り、気候まで大きく変わる北への旅ならなおさらだ。リゼットは紙の下へ、さらに書き足した。『医師の同行』『途中の宿泊場所』『急変時の処置』『魔力遮断布』そこまで書いたところで、扉が叩かれた。「入ってもいいか」ヴァルドだった。「はい」扉が開く。ヴァルドは朝食を終えたばかりらしく、まだ外套を着ていなかった。片手には何枚かの書類を持っている。「何をしている」「ミレイユをこちらへ呼ぶ場合に、必要なことを考えていました」机の上を見せる。ヴァルドが紙を覗き込んだ。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-10-03
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第20話 王女のように育った妹が北へ来た

第20話 王女のように育った妹が北へ来た知らせが入ったのは、昼前だった。リゼットは資料室で北方の古い呪術記録を読み、ヴァルドは向かいの机で領内の報告書へ目を通していた。ここ数日はその形がすっかり当たり前になりつつあり、時折言葉を交わしては、またそれぞれの書類へ戻るという静かな時間が続いていた。扉が強く叩かれた。「閣下!」ノエルの声だった。ヴァルドが顔を上げる。「入れ」扉が開く。ノエルはいつになく息を切らしていた。「南の監視所から早馬です。王都方面から来た馬車が一台、領境を越えました」ヴァルドの眉が寄る。「誰の馬車だ」「アーヴェル伯爵家です」リゼットの手が止まった。胸の奥で、嫌な音がした。「お父様?」思わず立ち上がる。ノエルは首を横に振った。「いえ」そこで。なぜか言いづらそうにリゼットを見る。「乗っているのは……ミレイユ・アーヴェル令嬢だそうです」一瞬。意味が分からなかった。「……誰が?」「ミレイユ様です」聞き間違いではない。リゼットは椅子へ手をついた。「どうして」昨日。手紙を送ったばかりだ。いや、到着にはまだ時間がかかる。ミレイユがこちらへ向かっているのなら、リゼットの手紙を読んでから出発したはずがない。つまり。妹は。リゼットから北へ来ないかと尋ね
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