第11話 姉なのだから王都からの召還を断った翌日の午後、もう一通の手紙が砦へ届いた。今度は王家の紋章ではなかった。見慣れた蝋印。アーヴェル伯爵家のものだった。「お父様から……」リゼットは客室の机に座り、封筒を手にしたまま、しばらく開けることができなかった。昨日、アルベルトへの返書を書いた時よりも怖い。王子からの命令なら、まだ身構えることができる。けれど家族からの言葉は、もっと近い。近いからこそ、簡単に心の奥へ入り込んでくる。窓の外では、北方の乾いた風が庭木を揺らしていた。机の端には、ヴァルドと一緒につけている革張りの帳面が置いてある。昨日の頁を開けば、『怖いと言った。それでも自分で戻らないと決めた』そう書いてある。自分で決めた。確かに昨日はそう思った。しかし、たった一日でその決意が揺らぐこともある。リゼットは自嘲気味に笑った。「本当に、弱いのね」誰も答えない。しばらくして意を決し、封を切った。父の字だった。幼い頃から何度も見てきた、几帳面で癖の少ない文字。最初には、体調を案じる言葉が書かれていた。旅先で不自由していないか。金銭は足りているか。セインフェル公爵家へ迷惑をかけていないか。そこだけ読めば、娘を心配する父親の手紙だった。それが余計につらい。続きを読む。『お前がこれまで祈紡ぎとして多くの負担を背負っていたことを、父として軽く考えていた部分があったことは認める。今ま
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-09-25 อ่านเพิ่มเติม