腰を強かに打ちつけた瞬間、激痛が走り、目の前がぐらりと暗くなった。次の瞬間、生温かいものが脚を伝って流れ落ちていくのが分かった。みるみるうちに服の裾が濡れていく。視線を落とすと、床に赤が滲んでいる。その場の空気が、一瞬で凍りつく。ひなたもようやく黙り込み、青ざめた顔で立ち尽くしていた。「澪!?」諒が駆け寄ってくる。「どうした!?これは……なぜ血が!?」痛みに身体を折ったまま、私は声も出せなかった。冷たい汗が背中を伝っていく。諒は私を抱き上げるなり、取り乱したように研究室を飛び出した。「澪、しっかりしろ!すぐ病院へ連れていくからな!」次に目を開けたとき、鼻をついたのは消毒液の匂いだった。ぼんやりした視界の先に、葵の顔が見える。彼女はベッドのそばに座り、私の手を強く握っていた。「澪、気がついた?」掠れた声だった。葵はほんの一瞬だけためらったあと、それでも覚悟を決めたように口を開く。「澪……赤ちゃん、だめだった。その……無理しないでね……」その言葉に、一瞬頭が真っ白になった。けれど、すぐに麻痺したように何も感じなくなった。「大丈夫……もう、この子を産むつもりはなかったから」ちょうどその時、病室のドアが開いた。入ってきた諒は、ひどく顔色が悪かった。血の気の引いた顔のまま、虚ろな目で私を見つめている。やがて、ようやく乾いた声を絞り出した。「赤ちゃんは……いつ、できてたんだ?僕、どうして気づかなかった……?」葵が冷たく笑う。「気づくわけないでしょ」その声は容赦なく鋭かった。「毎日教え子のことばかりで、朝早くに出て夜遅くに帰ってきて。そんな生活で、澪の変化に気づけるわけないでしょ!?」諒は打ちのめされたように一歩後ずさった。次の瞬間、張りつめていたものが切れたように、ぼろぼろと涙をこぼした。彼はベッドに縋りつくように膝をつき、私の手を握った。額をベッドの縁に押しつけたまま、掠れた声で何度も何度も繰り返す。「ごめん……ごめん、澪……ごめん……」私はゆっくりと、その手を引き抜いた。「いいの」自分でも驚くほど、声は静かだった。「私が妊娠していたこと、天野は知らなかったはずよ。知っていたら、あんなふうにはならなかったと思う。だから……責めないであげて」「
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