圭介の顔から、笑みがすっと消えた。「どういう意味だ?」「そのままの意味。今日はもうお開きにする」嘉人が眉をひそめた。「真由、もう下まで来てるんだろ?今さら帰ってもらうなんて、美羽に恥かかせる気かよ」「だったら、場所を変えればいいでしょ」「料理だってもう全部できてるのに、今さら場所変えるのかよ」すると、今度は翔平がテーブルの料理を指さしながら口を挟んだ。「それに、みんな一日かけて準備したんだぞ。せっかく集まれたのに、一人増えたくらいでそんなに機嫌悪くすることないだろ」一日かけて準備したって?嘉人が持ってきたのは、たったのコーラ2本。翔平に至っては、ポテトチップスを1袋持ってきただけだった。圭介はグラスを6個洗ったものの、そのうち1個は割ってしまった。美羽なんて、来てからずっとソファに座って写真ばかり撮っていて、ナプキンがどこにあるかまで私に聞いてきた。私はこれ以上何か言う気にもなれず、スマホを取り出した。「下の店、今ならまだ個室取れるよ。料理は私が詰めるから、そのまま持ってけば?それなら真由も帰らなくて済むでしょ」圭介が、スマホを持つ私の手を押さえた。「もういいって。そこまでしなくていいだろ。俺たちが美羽のこと気にかけてるのが、そんなに気に入らないのか?真由だって初めて来るんだし、今日くらいいいだろ」そのとき、インターホンが鳴った。美羽は慌てて玄関へ走っていった。ドアを開けると、ケーキの箱を抱えた真由が入ってきた。私を見るなり、一瞬固まった。「え?今日は残業で、晩ごはんには戻らないんじゃなかったの?」その一言で、部屋の中がしんと静まった。私は圭介を見た。圭介はさっと目をそらし、嘉人はうつむいたままペットボトルをいじった。翔平も、聞こえなかったふりをした。その瞬間、全部わかった。真由は急に呼ばれたんじゃなかった。最初から来ることになっていた。みんな知っていたのに、私にだけは何も言わなかった。今日の食事に、最初から私の席なんてなかった。美羽の顔から、みるみる血の気が引いていった。「私、勘違いしてたみたい。圭介から、彩香は残業になるかもって聞いてたから……」「言い訳しなくていいよ」私はキッチンから空の容器を出し、料理を詰め始めた。「最初からそう
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