Semua Bab 私が愛していたのは、最初からあなたじゃない: Bab 11 - Bab 13

13 Bab

第11話

私は複雑な気持ちで俊平を見つめた。ありがたいと思う一方で、申し訳なさもある。俊平だって、今の状況を快く思っているはずがない。それでも何も言わず、私に余計な負担をかけようとしなかった。私がずっと愛してきたのは、こうして私を大切にしてくれる俊平だった。「ちゃんと話しつけてくるね。ありがとう」私は俊平を抱きしめ、階下へ向かおうとしたのだが、背後から俊平に呼び止められる。「凪」「ん?」振り返ると、廊下の明かりの下で俊平が微笑んでいた。眉の下に落ちた影で目元はよく見えなかったけれど、その声はかすかに震えている。「戻ってきても、俺のこと好きでいてくれる?」やっぱり、気になっていたんだ。私は思わず笑顔になり、駆け寄って俊平にキスをする。「10分で帰ってくるから」……真冬の雨は、肌を刺すほど冷たかった。裕司の顔は驚くほど青白く、普段は無造作に立ち上がっている硬い黒髪も、今は濡れて額に張りついている。まつ毛の先から滴る雨粒は、まるで涙のようだった。でも、裕司が泣くはずはない。私は彼の前で足を止めたが、しばらくはどちらも口を開かなかった。やがて裕司は、震える指でタバコを地面に投げ捨て、ようやく話し始める。「凪、あいつがお前にしてやれること、俺にも全部できるとしたら……戻ってきてくれるか?」よりを戻してほしいと頼んでいるくせに、その態度にはまだ妙な意地が残っていた。私は頬を伝う雨を拭った。「裕司は本当に私が好きなわけじゃないでしょ?ただ、振られたことが悔しいだけ」「なんでそんなことがお前にわかるんだよ?」裕司は掠れた声で言った。「凪、お前は俺じゃないだろ。勝手に俺の気持ちを決めつけんなよ。なんで俺がお前を好きじゃないって言い切れるんだ!?」私は戸惑って顔を上げる。「まさか、本当は私のことが好きだったって言うつもり?」裕司が何か言おうと口を開いたので、私はその前に笑って続けた。「私たちが付き合っていた3年間、あなたは私の気持ちなんて一度も考えず、いつもほかの女の人をそばに置いてた。私が喜んでいるか、悲しんでいるか、怒っているかなんて気にも留めず、私が尽くすのをいいことに、好き勝手に振る舞ってたよね?私がどんな気持ちでいるかには興味もないくせに、私には自分だけを愛してほしい。でも、自分
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第12話

「もしもなんてないよ。たとえ裕司が本当に私を愛してくれていたとしても、俊平は裕司よりずっと前から私を愛してくれてたんだから。私にとって初めてのことは、全部俊平と一緒だった。誰かを愛する気持ちも、全部俊平に注いできたの。裕司が今になって約束してくれることだって、俊平はとっくの昔に約束してくれてた」私は裕司の指を一本ずつ引き剥がした。自分でも少し残酷すぎるかな、と思うくらいに。「裕司、私は本当に一度もあなたを好きになったことはないの。あなたにしてきたことは全部、彼にしたことの繰り返し。最初から最後まで愛してなんかいなかった。ただ、あなたの中に彼の面影を探していただけ。好きになってくれたことには感謝してる。でも、私にはもう必要ないから」本当は、ここまで言うつもりはなかった。けれど、裕司がいつまでも諦めてくれないのだから仕方がない。それに、心のどこかで少しだけ胸がすく思いもしていた。かつて裕司は私にあれほどひどい仕打ちをしたのだ。今度は彼が同じ思いをする番になっただけ。彼の手を完全に振り払い、時計に目を落とすと、ちょうど10分だった。ベランダからは、俊平が私を見つめている。その夜、裕司が何時までマンションの下に立っていたのかはわからない。寝る前、私と俊平はいつものように体を重ねた。裕司のことが気になっていたのか、その夜の俊平はいつも以上に激しく、私はすっかり疲れ果てて眠ってしまった。夜中の2時、喉が渇いて目を覚ました。水を飲もうとリビングのベランダを通りかかると、裕司がまだ下にいるのが見えた。雨はすでにやんでいたが、街灯の下に立つ彼の指先には、タバコの火が小さく赤く灯っていた。翌朝、出勤するためにマンションを出た私は、昨夜裕司が立っていた場所にちらりと目を向けたのだが、街灯の下には、雨に濡れたタバコの吸い殻が一面に散らばっていた。それからしばらくして、裕司が酒を飲みすぎて胃から出血し、入院したと聞かされた。連絡してきたのは裕司の友人で、どうしても一度見舞いに行ってほしいと頼まれる。「なんだかんだ言っても、一度は付き合った仲じゃないですか。別れたからって、そこまで冷たくしなくてもいいのでは?」私はきっぱりと断った。「もう私には関係ありませんので、今後、裕司のことで連絡してこないでください」数日前には、莉奈
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第13話

もしかして、裕司は本当に私を愛しているとでも言うのか?そう考えた途端、あまりにも馬鹿馬鹿しくて、思わず笑いそうになった。私が何でも言うことを聞き、ずっとそばにいた頃は、あれほど私に無関心だったのに、別れた途端、突然愛していたことに気づき、大切さがわかったとでも?人間とは、どこまで身勝手な生き物なのだろう。「私とあなたは違う」私は座り込んでいる裕司を見下ろした。「私は俊平を愛してるから、俊平を傷つけるようなことは絶対にしない。それに、俊平がいればほかの人なんて必要ないの。そこどいてくれる?家に入るのに邪魔だから」照明の下で、裕司の目に涙が滲み、しばらく揺れていた涙は、とうとう頬を伝ってこぼれ落ちた。すっかり正気を失って、その場に座り込んでいる彼の姿を見ていると、以前、道端で見かけた、飼い主に捨てられた犬をなぜか思い出した。私が玄関に入ろうとしたとき、背後からかすれた声が聞こえた。「もし、あのとき……俺がお前をちゃんと大切にしてても、お前はあいつとよりを戻してたか?」私は一瞬だけ足を止めたけれど、振り返ることなくドアを閉めた。一枚の扉が、私と裕司を完全に隔てた。私はドアにもたれ、タバコに火をつけた。鼻を抜けるほのかなミントの香りに、タバコ特有の刺激が混じる。深く煙を吸い込んだ。分からない。私には本当に分からなかった。私は裕司を好きになったことがあったのだろうか?いや、おそらくなかったと思う。だって、最初から最後まで、裕司は私に、彼を好きになるきっかけさえ与えてくれなかったから。けれど、夜更けまで肌を寄せ合って過ごした時間も、ふとした瞬間に感じた抱擁の温もりも、確かにあった……もしあの頃、私たちが本当の恋人同士のように付き合えていたら、私は裕司を好きになっていたのだろうか?分からない。ただ、今となってはもう、すべて意味のないことだ。結局、私たちは最初から結ばれる運命ではなかった。俊平と一緒に海外へ行くことを決めたのは、夏の盛りを迎えた頃だった。俊平の会社が海外市場に進出することになり、私もちょうど海外支社への異動が決まったため、2人でこの国を離れることにしたのだ。かつて私たちを傷つけた出来事や、煩わしい人間関係から遠く離れてこそ、本当の意味でやり直せるのかもしれない。空港で保安検査
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