バーで裕司と鉢合わせたとき、彼の膝には、キャミソールにショートパンツ姿の若い女性が座っていた。細く白い腕を裕司の首に回し、身を寄せて笑う唇には、きらきらしたグロスが塗られている。ボックス席では、既婚者の友人たちが帰り支度を始めていた。裕司に申し訳なさそうな笑顔を向けながら、口々に言い訳をしている。「悪いな、裕司。うちの嫁、こういうのにうるさくてさ。さっきから何回も帰れって電話が来てるんだよ。これ以上遅くなったら、今夜はソファで寝る羽目になる」裕司は、膝の上の女が自分のくわえていたタバコを抜き取り、そのまま口に運ぶのを止めようともせず、鼻で笑った。「どいつもこいつも情けないな。女なんかに尻に敷かれやがって」すると、独身の友人たちが一斉にはやし立てた。「やっぱ裕司は違うな!何時に帰ろうが、白石さんは一度も居場所を聞いてこないんだろ?どうやってそこまで言うこと聞かせたんだよ。俺たちにも教えてくれって!」膝に座っていた女も声を立てて笑い、裕司の胸にしなだれかかった。「ほんとですよ。私とこんなことしてるところ、彼女に見られたらまずいんじゃないんですか?」「あいつは俺にベタ惚れだからな。俺が言えば何でもするし、付き合って3年、一度だって喧嘩になったことがない」「すげえ!さすが裕司だな!」羨ましそうに笑う周りの男たち。「これだけ外で遊び回ってても、彼女は何も言えないんだろ?やっぱ男はそうじゃなくちゃ――」そこまで言いかけた男が、突然口をつぐんだ。少し離れたところに、無表情で立っている私を見つけたらしい。裕司も私に気づいた。しかし、その顔には少しの動揺もなく、ただ膝の上の女を押しのけ、片眉を上げて私を手招きした。「どうしてここにいるんだ?」私は一瞬足を止めたものの、そのまま近づいて落ち着いて答えた。「友達と来たの」押しのけられた女の子は不機嫌そうな顔になり、私を上から下までジロジロと見てから、引きつった笑みを浮かべた。「白石さん」近くで見て、ようやく誰なのかわかった。裕司の会社に最近入ったばかりの秘書で、確か、水野莉奈(みずの りな)という名前だったと思う。学歴はごく普通の私立大学卒だったが、裕司が履歴書の写真を見て気に入り、自ら採用を決めたと聞いていた。まさかこんなに早く手を出していたなんて。私は彼女
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