白斗はロボット掃除機の箱を開けながら、真剣な表情で言った。「これ、最新型なんだ。すごく賢いんだぞ。どんな汚れでもきれいに取れるんだって。穂香はきっと楽になる」私は箱に書かれた値段を見た。54万円。たしかに安くはない。以前の私なら、きっとこう自分に言い聞かせていたのだろう。白斗は私を愛している。ただ、その愛し方が現実的すぎるだけなのだと。けれど今夜、私はあんなにも盛大な花火を見てしまった。金色の光が海面から空の果てまで伸び、まるでいつまでも終わらない夢のようにきらめいていた。それなのに、その夢は私のものではなかった。私はそっと尋ねた。「今夜の花火、白斗がデザインしたの?」白斗の手が一瞬止まった。けれど、口を開いたときには、いつもと変わらない調子だ。「ああ。千夏が帰国したんだ。彼女には毎年花火を打ち上げるって約束してるからな」毎年。その言葉がゆっくりと響き、心の奥に何かがじわりとのしかかってきた。私は7年も待っていた。白斗に余裕ができるのを。彼の言う「今度」を。そして、いつか必ず、いちばんきれいな花火を作ってやると、彼が口にするその日を。けれど、千夏は待つ必要なんてなかった。毎年、花火を見られるのだから。白斗は私が黙り込んだことに気づいたのか、傍らに寄ってきて私の手を握った。「穂香、花火なんて、燃え尽きたらそれで終わりだろ。掃除機を買ったのは、本当に少しでも楽になってほしいと思ったからなんだ」私は小さく笑った。昔のように、責め立てるような口調で問い詰めたりはしなかった。白斗はほっとしたように息をつき、私の頭を撫でた。「気に入ってくれると思った。穂香は昔から聞き分けがいいからな」聞き分けがいい。また、その言葉だ。この7年、私は何度もそう言われてきた。誕生日に花束がほしいと言えば、白斗は新しいオーブンを買ってきた。「花なんて数日で枯れちゃうだろ。こっちなら何年も使える」記念日には海へ行きたいと言ったのに、渡されたのはマッサージ器だった。「いつも肩や首が痛いって言ってるだろ。わざわざマッサージ店に行くより、こっちのほうが役に立つぞ」もう少し特別なことがしたいと言うと、白斗は笑いながら私を抱き寄せた。「もうこんなに長く一緒にいるんだ
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