髪型良し。爪の手入れ良し。昨日ギャル友の女子から貰ったピアスを耳に付け、鏡の前で微笑んでみる。「うん、今日のオレもイイ感じ!」 流石オレ、ビジュ良〜! 鏡の自分に向かって親指立てて、まだ眠っている愛犬に「行ってきま〜す!」とだけ声かけて学校に向かう。 オレ、日向 真。高校二年生。みんなからは通称ヒナって呼ばれてる。真って呼ぶのは家族くらい。髪を染めて制服を崩して着ていても「まあ無遅刻無欠席なら」と片目を瞑ってくれている。だってせっかくの高校ライフ、地味に過ごすなんて勿体ない。友達たくさん作りたいし遊びたい! となったら話しかけてくれる友人達の影響もあってこんな見た目になった。まあ、通ってる高校がバチクソに拘束厳しいってわけでもないのが幸いだった。 チャラ男だけど一応テスト勉強はしてるし赤点は今の所取ったことがない。だって勉強出来ないかあからさまな派手なヤツって、ちょっとダサいじゃん。だから一般良識はしっかり頭に叩き込んでいるつもりなんだけど……。「日向。また襟足伸ばしっぱなしですか」 校門前、風紀チェックをしている委員長──橘 律に今日も睨まれる。ていうか、他にも規則守ってない生徒はいるはずなのに! なんで委員長はいつも目敏くオレを見つけるんだ。「おはよーございまーっす! 委員長、今日も朝から機嫌悪いですね! そんなに眉間に皺寄せちゃったら、みーんな怖がって逃げちゃいますよ!」 皆から恐れられる橘とのやり取りも数えきれない。もう今のオレにとっては朝飯前だ。皺が寄っている眉間に手を伸ばし指でなぞる。「日向……!」「せっかくイイ男なんだから、モテ期逃しちゃダメだって!」 何を隠そう、この男――橘は男前だった。体は鍛えているのか体格は良く、風紀委員長というだけあって制服は崩して来た事はないし、頭髪も引っかかったことがない。あーあ、この男がチャラ男になったらオレと今仲イイギャル友も橘に一直線になるんだろうな〜……と謎の敗北を感じながら眉間をツンツンしていれば手をバッと取られる。やべ、調子乗りすぎたか。「……に、しろ」「え? なんて?」 いつも発音良いのに今日は小さな声で聞こえなかった。オレよりも身長は高くないから俯かれると表情は見えない。少し屈んで下から顔を覗き込めば、ヌッと手が伸び勢いよく第
Última actualización : 2026-10-12 Leer más