Masuk「おはようございます。日向、また制服を崩して着ていますね」
「……」 「日向。返事をしなさい」 「……」するかよ。昨日は結局一限目遅刻になってしまったし、オレはまあまあ腹が立ってるというのに。何も無かったかのように声をかけてくる黒髪眼鏡野郎をジト、と睨み無視して通り過ぎようとする。
「日向」
手首を掴まれる。これまた半端ない握力。「痛いッ」と顔を歪めれば「やっとこっちを見ましたね」と橘は淡々と言う。
「なんだよ! 構ってちゃんかよ! いつも通りに声かけてほしいならお前から謝れよな!」
「謝る?」首をコテンと傾げられる。コイツ、昨日オレが何故怒ったのか理解してないというのか……!
「あのなあっ! 昨日代わりにチェックして――」
「ちゃんと第一ボタンまで留めるように」また勝手に手が伸びてボタンを留められ、ネクタイもキツく締められる。苦しさに顔を顰めれば「お似合いですよ」なんて言われる。皮肉か。
「マジ萎え……」
「萎え?」 「委員長といると気が滅入るってこと!」背を向けて早々にネクタイを緩める。第一ボタンを外したところで「そうか、自ら留めさせるようにすればいいのか」と橘は呟いている。
「明日には規則正しくしてもらいますよ」
「勝手に言ってろ」なんて事があったのが午前中だったのに。
放課後、オレも美化委員の仕事があって学校に居残って掃除していた。オレが美化って意外? でも掃除するのは案外好き。綺麗になっていく過程が気持ちいいから。やっぱ汚いよりは綺麗の方がいいだろうし。
今日決められた教室を掃除し終え、一人で廊下を歩いていた時。真横の教室のドアが開いて手を掴まれ、中に連れ込まれる。あまりにも強い力で引っ張られ相手にぶつかる。抱き止められ、見上げれば無表情の橘がいる。
「……んだよ」
「日向には明日から風紀を守ってもらいますから」 「良いだろオレがどんな見た目でも。風紀委員以外には迷惑かかってないんだから――」 「強引ですが、失礼します」胸元に手が伸びまたボタン留められる……と思っていたのに。ぷち、ぷち、とボタンを外していく。何をしているんだ? と呆然と手元を見つめていれば今度は勢いよくバッと肌蹴られ上半身が露わになる。
え? 何?
訳わからずに橘を見上げれば、変わらず無表情でも、舌舐めずりしていて……慌てて距離を取ろうとするがしっかり制服を掴まれているため離れられない。肩にかけていた鞄を床に落とし、後退る……が、当然橘も着いてくる。
「な、なんなんだよお前……キモいんだよ!」
罵倒しても橘の力は緩められない。顔が近づき、首筋に舌が這い小さな悲鳴が漏れた。なに、うそ、やだ。オレ、狙われてる? 男が男に狙われてる? 橘にとって、オレって
「……マジやめろって! 痛ぁッ!」
なりふり構わず暴れたら近くにあった机の上に仰向けにさせられる。正面にいる橘の胸を押し返そうとした両手はあっさり掴まれ顔の真横に縫い付けられる。押し付けられた両手は力の差で全く動かせない。オレより身長低いくせに! 力だけなら橘の方があるようだった。体格差ある相手でも抑え込むことが出来るのか。オレはこんなに必死で息も絶え絶えなのに、橘は涼しい顔でオレを見下ろしていることが悔しい。
「マジ、何なんだよ! 何か文句あるなら言えよ! ……それとも何? 風紀委員長ともあろうお方も、えっちには興味あるということデスカ?」
煽ってやったつもりだった。ただ怒っても意味無さそうだったから。橘はオレと会話するつもりは無いのか、静かに見下ろしたまま顔を近づけて胸元に舌を這わした。熱い息、ざらりとした感覚。一気に鳥肌が立ち足をバタバタさせるも効果なく、抵抗は一切出来ない。
「ふざけんな! 調子乗んなよ! 女子に相手にされないからって矛先がオレに向かうのは違うだろ⁉︎ てか、無理やりやってる時点でアウトだよ! 委員長、やめろって言ってんの!」
喚くしか出来ない。上半身を舐めている舌は次第に乳首に近づき舐めていく。橘がオレを
どうしてこんなことしてくるのかわからなかった。オレ、橘とも仲良くなれたらいいなと思っていつも校門で話しかけていたけど、実はストレスだった? その腹いせに、嫌がらせされている……?
「マジ、やめて……ね、聞いてる? やめて、ほしいんだけど……」
橘からの返事は無い。会話が出来ない。ただひたすらに乳首をぺろぺろ舐められていく。ぎゃんぎゃん喚いても意味ないなら、黙ってやり過ごすことしか出来ない。屈辱を感じながら目を閉じて耐えていれば。ふと両手が自由になる。恐る恐る目を開けると、橘は小型の容器を取り出し、中に入っているクリームをオレの乳首に塗りたくった。
隙を突いて立ち上がり逃げ出そうとしたけれど、また背後から抱き竦められひたすら乳首を触られる。クリームが肌に馴染むように、しっかりと。
「あ……⁉︎」
ズク、と熱を持った途端快感が走る。ビリビリと電気が走ったような衝撃に膝から崩れ落ちへたり込む。
「やめろ、やめろ……なんか、変っ」
必死に首を振って一旦止めるように言うけれど橘は聞こえないとでもいうようにひたすら両手で弄ってくる。触れば触るほど乳首は熱を持って硬くなり、指でしつこく弄られる度に下半身も熱くなっていくことが不思議でならない。
感じたくないのにモロに乳首は快感を拾っている。さっき塗られたクリームのせいだ、とは思うものの遅い。乳首を弄る橘の両手を止めようと掴むも力が出ずされるがままだった。「マジ、やめて。やだ……」と力なく呟きながら、びくびく震えるしか出来ない。
「日向も、媚薬を塗れば大人しくなるのですね」
耳元で囁かれる。全てが今のオレには刺激になって体を震わすしか出来ない。
「委員長ともあろう方が。こんな節操もないことしやがって。……はは、ほんとに猿なのはどっちなんだよ……ぁあッ⁉︎」
耳を舐められる。「あ、あ」とオレは情けない声を上げながらジッとしていることしか出来なかった。橘から逃げ出すことも出来ぬまま、乳首も容赦なく弄られ続けていき。
「あ、ん、んんぅ……ふ、ぅ……やめ……っ」
下半身が、どんどん膨れ上がっていく。乳首と耳で感じているのか、オレは。信じられない。
「猿に盛られて、逃げ出せない日向も惨めですね」
「……! この……っ!」風紀の顔を被った変態。振り返って睨めば、獲物を仕留めたように目を細めて微笑んでいて――とんでもない人に目をつけられてしまったのだと漸く悟る。上手く力が出ない中、下半身にも手が伸びる。何されるのかが嫌でもわかってしまって、両手で顔を覆った。
「おはようございます。日向、また制服を崩して着ていますね」「……」「日向。返事をしなさい」「……」 するかよ。昨日は結局一限目遅刻になってしまったし、オレはまあまあ腹が立ってるというのに。何も無かったかのように声をかけてくる黒髪眼鏡野郎をジト、と睨み無視して通り過ぎようとする。「日向」 手首を掴まれる。これまた半端ない握力。「痛いッ」と顔を歪めれば「やっとこっちを見ましたね」と橘は淡々と言う。「なんだよ! 構ってちゃんかよ! いつも通りに声かけてほしいならお前から謝れよな!」「謝る?」 首をコテンと傾げられる。コイツ、昨日オレが何故怒ったのか理解してないというのか……!「あのなあっ! 昨日代わりにチェックして――」「ちゃんと第一ボタンまで留めるように」 また勝手に手が伸びてボタンを留められ、ネクタイもキツく締められる。苦しさに顔を顰めれば「お似合いですよ」なんて言われる。皮肉か。「マジ萎え……」「萎え?」「委員長といると気が滅入るってこと!」 背を向けて早々にネクタイを緩める。第一ボタンを外したところで「そうか、自ら留めさせるようにすればいいのか」と橘は呟いている。「明日には規則正しくしてもらいますよ」「勝手に言ってろ」 なんて事があったのが午前中だったのに。 放課後、オレも美化委員の仕事があって学校に居残って掃除していた。オレが美化って意外? でも掃除するのは案外好き。綺麗になっていく過程が気持ちいいから。やっぱ汚いよりは綺麗の方がいいだろうし。 今日決められた教室を掃除し終え、一人で廊下を歩いていた時。真横の教室のドアが開いて手を掴まれ、中に連れ込まれる。あまりにも強い力で引っ張られ相手にぶつかる。抱き止められ、見上げれば無表情の橘がいる。「……んだよ」「日向には明日から風紀を守ってもらいますから」「良いだろオレがどんな見た目でも。風紀委員以外には迷惑かかってないんだから――」「強引ですが、失礼します」 胸元に手が伸びまたボタン留められる……と思っていたのに。ぷち、ぷち、とボタンを外していく。何をしているんだ? と呆然と手元を見つめていれば今度は勢いよくバッと肌蹴られ上半身が露わになる。 え? 何? 訳わからずに橘を見上げれば、変わらず無表情でも、舌舐めずりしていて……慌てて距離を取ろうとするがしっかり制
髪型良し。爪の手入れ良し。昨日ギャル友の女子から貰ったピアスを耳に付け、鏡の前で微笑んでみる。「うん、今日のオレもイイ感じ!」 流石オレ、ビジュ良〜! 鏡の自分に向かって親指立てて、まだ眠っている愛犬に「行ってきま〜す!」とだけ声かけて学校に向かう。 オレ、日向 真。高校二年生。みんなからは通称ヒナって呼ばれてる。真って呼ぶのは家族くらい。髪を染めて制服を崩して着ていても「まあ無遅刻無欠席なら」と片目を瞑ってくれている。だってせっかくの高校ライフ、地味に過ごすなんて勿体ない。友達たくさん作りたいし遊びたい! となったら話しかけてくれる友人達の影響もあってこんな見た目になった。まあ、通ってる高校がバチクソに拘束厳しいってわけでもないのが幸いだった。 チャラ男だけど一応テスト勉強はしてるし赤点は今の所取ったことがない。だって勉強出来ないかあからさまな派手なヤツって、ちょっとダサいじゃん。だから一般良識はしっかり頭に叩き込んでいるつもりなんだけど……。「日向。また襟足伸ばしっぱなしですか」 校門前、風紀チェックをしている委員長──橘 律に今日も睨まれる。ていうか、他にも規則守ってない生徒はいるはずなのに! なんで委員長はいつも目敏くオレを見つけるんだ。「おはよーございまーっす! 委員長、今日も朝から機嫌悪いですね! そんなに眉間に皺寄せちゃったら、みーんな怖がって逃げちゃいますよ!」 皆から恐れられる橘とのやり取りも数えきれない。もう今のオレにとっては朝飯前だ。皺が寄っている眉間に手を伸ばし指でなぞる。「日向……!」「せっかくイイ男なんだから、モテ期逃しちゃダメだって!」 何を隠そう、この男――橘は男前だった。体は鍛えているのか体格は良く、風紀委員長というだけあって制服は崩して来た事はないし、頭髪も引っかかったことがない。あーあ、この男がチャラ男になったらオレと今仲イイギャル友も橘に一直線になるんだろうな〜……と謎の敗北を感じながら眉間をツンツンしていれば手をバッと取られる。やべ、調子乗りすぎたか。「……に、しろ」「え? なんて?」 いつも発音良いのに今日は小さな声で聞こえなかった。オレよりも身長は高くないから俯かれると表情は見えない。少し屈んで下から顔を覗き込めば、ヌッと手が伸び勢いよく第







