これ以上言葉を交わしたくなかった琴音は、拓真をすり抜けて個室に戻ろうとした。だが、拓真は彼女の手首を力任せに掴み、個室のドアをバンッと乱暴に閉めた。少し離れた廊下には登紀子のボディガードたちが立っていたが、この光景を見ると、申し合わせたように全員が一斉に視線を逸らした。腕を締め付けられる痛みに顔をしかめた琴音は、ふと咲の言葉を思い出した。「彼はいつもああだから、いつまた気まぐれを起こすか分からない。あなたがまた傷つくのが心配なのよ」つまり、拓真はまた、自分を弄ぶ気になったのだろうか?彼女はばかばかしいと思いながらも、口元には自嘲するような歪んだ笑みが浮かんだ。拓真は彼女を見つめ、
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