双子を産んで一ヶ月後、クズ元夫は涙に暮れた朝釣りをしていたおじさんに発見された青山一葉。おじさんが投げた釣り針が彼女の体に引っかかり、どれだけ引いても動かない。近づいてみると、水に浮かぶ彼女の姿に驚愕し、釣竿も放り出して警察に通報する始末だった。
警察が一葉を引き上げた時、一葉の命はもう風前の灯火だった。
救命に当たった医師たちは、もう手の施しようがないと判断した。
夫に緊急の電話が入り、最期の立ち会いのため病院へ呼び出された時。
あの人は、風邪を引いた初恋の相手にしょうが湯を煮詰めているところだった。
来る暇なんてなかったらしい。
そして。
後になって夫は、目が腫れるほど泣きながら、もう一度だけでいい、振り向いて欲しいと一葉に懇願した。