愛人扱いだった私が結婚、あんたなぜ泣くの?父の教え子と5年間付き合って、彼が浮気していたことが分かった。
友達が、「二股かけてて、鉢合わせしたらどうするの?」とからかうように言った。
鈴木健吾(すずき けんご)はふっと笑って、まったく気にも留めていないようだった。
「なあ、もう一人の女にもさ、ちゃんとしてやれよ。こっちには色々買い与えてるくせに、向こうはまだ安アパート住まいなんだろ?」
タバコの煙をくゆらせていた健吾が、ようやく口を開いた。
「大丈夫。あいつは苦労するのが好きで、そういう贅沢には興味ないから」
「はははは!」
個室に響く笑い声が、私の耳に突き刺さった。
5年間、二人で支え合ってきたのに、返ってきたのは、「苦労するのが好き」の一言だけだった。
私は涙をぐっとこらえて、父に電話した。
「お父さん、この前のお見合いの話、私は受けることにする」
でも、まさか。私がお見合い相手と式を挙げることになったホテルが、健吾の結婚式場とまったく同じだったなんて。
ウェディングドレス姿の私を見た健吾は、血相を変えて私を問い詰めてきた……