爆弾専門家である夫との対決息子の哲也(てつや)が幼稚園から拉致された。
見つかった時、彼の小さな体には時限爆弾が仕掛けられていた。
私は安井薫(やすい かおる)。夫の伊藤一輝(いとう かずき)は、全国トップクラスの爆発物処理の専門家だ。
一輝は急いで現場に駆けつけた。
私は車内で、モニター画面をじっと見つめていた。
画面には、頭に粗末な麻袋を被らされ、全身が激しく震えている哲也が映っている。
一輝の初恋でありアシスタントでもある夏目奈々(なつめ なな)も現場に入っていた。
彼女は爆弾処理に行きたいと言い出した。
「一輝さん、私にも爆弾処理を手伝わせて!私だって、一輝さんのように人を助けたいの!」
一瞬の沈黙の後、一輝は優しい微笑みを浮かべた。
「落ち着いて。赤い線を切ってくれ。万一の時は、俺が責任をもつ」
奈々は覚悟を決めたように、ハサミを手に取った。
一瞬のためらいもなく、彼女はあの青い線を切った。
次の瞬間、爆弾のカウントダウンが、10分から一瞬で残り10秒へと切り替わった!
一輝と奈々は表情を一瞬で変え、パニック状態でその場から逃げ出そうとした。
私は焦り、哲也の元へ駆け寄ろうとした。
その時、小さな手が私の裾を引っ張った。
「ママ……パパが翔太(しょうた)をきっと助けてくれるよね……?」
ふと我に返ると、なんと私のそばに、哲也が立っていることに気づいた。
突然、今朝哲也が言ったことを思い出した。
「ママ!翔太が今日、どうしても僕と服を交換したいって言うんだ。僕の服の方がかっこいいって!」
翔太は奈々の息子、つまり哲也の腹違いの弟である。